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第13話 戦いはすでに始まっている

「なんだかここ最近、ずっと神の森は天気が悪いなあ。何かの吉凶じゃなきゃいいが。」


大陸を4分する大国のひとつ、北の連合国の最果ての地カンネル。

連合国の首都からも随分と遠いド僻地だ。

そんな田舎に唯一の「街」と呼んでもそん色のない開拓民の居住地がある。

所詮は数千程度の人口だがこの地域全体の治安の監視を行う役割も担っている。


20メートルはあろう見晴台で監視にあたる担当者が双眼鏡から目を離した。

はるか地平線まで延々と続く未開の森。

そんな「神の天罰が始まる地」と呼ばれる森がこの数か月もずっと。暗い雲が垂れ込めて雷が走り嵐が吹き荒れ続けている。


世界中に神の裁きが下されるのではないかと皆が恐々とする。4大国の首脳陣、王族や皇帝といった統治者にも最重要事項として伝えられている。



そのはるか森の奥深くで、自称人間の魔導士がひとりきり異界の魔獣王と精霊王に奮戦を続けていることに気づくものはいない。

戦いは神の森が天変地異に包まれたときから始まり終わる気配を見せない。


異界の炎を司どる精霊王灼熱魔人。

闇をつかさどる魔竜王暗黒竜。


どちらも単体でこの惑星の生命体を滅すことが可能な異界の天使だ。

灼熱魔人は星のすべてをマグマで覆い、暗黒竜は闇の魔力で大地を覆い光を遮断するだろう。


「あちい、あちいっつーのコノヤロー!!」


灼熱魔人から放たれる獄炎から、暗黒竜から放たれる闇の呪言から。魔法をすり抜けるように空を飛び交う一人の男。

年はいまだ二十歳に届こうか届くまいかという若き青年。


青年の名はユーリ・エストラント。この世界でも識者のみが知る「種族限界を超えた存在」オーバースペックだ。

人間でありながら人族の限界を10倍も超えた魔法レベルを持ち、神の加護がナビゲートする。


シュウシュウ


彼の手の中の魔法ロットは先端の魔石から激しく煙が噴き出し点滅を繰り返す。もう何度目かのオーバーヒート状態。

再び使用するにはしばらくの時間を空ける必要があった。


このロットを経由した魔法は青年の魔法を倍増する効果がある。

伝説級の武具であり頑強さが売りであるロットですら、この闘いでは長期間使用することはできずオーバーヒートしてしまう。交戦で互いに放つ魔法ひとつひとつが大陸一つを焦土へと変えてしまう威力なのだから。

最大出力が延々と続く状況に神話級の魔法杖が悲鳴をあげるのだ。


刻一刻と変わる戦況。

有利になり、不利になるのシーソーゲーム。


最初にこの地で戦闘がはじまった際は、青年ひとりに対して敵は炎の軍団10万。

雑魚を蹴散らしボスである灼熱魔人へとどめを刺そうともくろんだその時。

暗く暗黒の雲の中から、魔人と同格のラスボス級の暗黒竜が降り立つ。

異界からボス級が降臨してくるには数週間かかるということに彼は気付く。

その青年は時間をかけ過ぎたことに歯嚙みする。


兵隊10万など相手にならないが、自分と対等の実力を持つボス級はやっかいだ。しかも魔人と竜は魔法系統が異なり互いに威力を補完して増幅する相性の良さ。

青年は精霊の加護を受ける地の利があるが、手数で押され魔法系統に手間取る。

結果として現在は押したり引いたりが数か月も続く。


「このまま次のボス級が出てきたらお手上げだ。どうする?」

頭の中で神の加護であるナビゲーターへと確認するが応えは芳しくない。


『ワタシから創造神へ援軍を嘆願しましたが時間勝負ですね。いつ来るかわからないのが玉に瑕です』


今晩は2話同時掲載です(2話目は明日の朝までには。。。)

説明話っぽいお話だけというのもアレですので。

14話もお楽しみください。

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