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嫌な仕事

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

 2つの相反した意見がある。

1・どんなことも勉強になるのだからやってみるべき。

2・嫌なことは嫌だとして、やらないこと。


 今の仕事を会社から打診されたとき受けるべきか断るべきか迷った。幸いどちらにするかは私の意向によって決めされせてくれるところだった。


 問題はそんなにやりたい仕事ではなかったことだ。キャリアに直結する仕事ではない。

 でも、経験しておいて後で役にたつんじゃないかなと思って即決せずにしばらく考えさせて貰うことにした。上司は1週間くれた。


 嫌な仕事をやるかやらないか。受けるべきか断るべきか。神社に行っておみくじをひいてみた。「小吉」。いいことはあんまり書いてない。内容からすると凶だ。


――嫌なことがあるだろうが、地道に努力せよ。されば良きことがある。


 正直、僕は断るのが怖かった。次が無いかもしれない。

 そう考えて、仕事を受けることにした。友人が派遣でCADの仕事から工場の現場に回されたことがある。給料が半分になったと嘆いていたが現場をしることも重要だよと言われて受けたそうだ。


 順番が逆じゃ無いかと思ったけど、そう仕事は選べる物でも無かったし、なにより僕の場合は給料が上がるという条件だった。


 仕事に入ってみると案の定、ストレスが多い。同僚には欝になって辞める人まで出てきた。


 僕はマラソン選手が次の電柱までだけ走ってそれの連続で走破するという話を思い出して1週間だけ1週間だけと淡々と仕事をこなしていった。もちろん、突発的に休みたいと思ったときは体調不良とかで休んだけど、それもあんまり無かった。


 気がついたら6ヶ月たっていて、プロジェクトは一段落した。僕も慣れてきたのか、淡々と仕事がこなせるようになった。


 プロジェクトが終了したとき、上司からねぎらわれた。

「いやー、君のおかげでこの困難なプロジェクトも一段落したよ。助かったよ」


 上司はそう言って胃薬を飲んだ。

 上司も嫌な仕事だったらしい。まあそうだよな。


「リストラ推進部の仕事って辛いですね」


 次の日僕は退職願を出した。

全ての著作権は私、葉沢敬一にあり、勝手な書籍化、マンガ化、ドラマ化、映画化などは禁止します。

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