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第15章 忍び寄る夜

 黒い沼のが落ちる。


 天頂は群青色ぐんじょういろに染まり、太陽の名残りをとどめるかのように西の空はだいだい色に輝く。


 立ち枯れの木々が美しい夕焼けの中に影となって刻まれる姿は、この世のものとも思えない荘厳そうごんさを持っていた。しかし、天頂からのとばりが太陽の名残を消し去るころには、ふたたび不気味な墓標ぼひょうのような光景となる。


 遠くの木々のあいだから緑色かかった気味の悪い光がぽつぽつと現れ、次第に数を増していった。沼地を踏みしめる足音も、しだいに大きくなる。


 魔法のランタンを持った、骸骨の戦士(スケルトン)たちの行進であった。


 その数は、少なく見積もっても三百はいるだろう。


 眼を細めると、枯れ木を組んで作られた御輿みこしのような台に、ロスロナスが鎮座ちんざしている姿が見て取れた。骸骨たちがその御輿をかつぎ、その姿が揺れている。


 静かに見守っていたコノル少年がフィラーゲンの白いローブのすそをつかんだ。見たことのない威容いように、マルフォイも恐れを隠し切れぬ表情で生唾を飲み込む。


 ただ、竜のように眉目秀麗びもくしゅうれいなフィラーゲンの眼差しは、動じることなく穏やかにその姿を観察していた。


「これはもう、軍勢だね。ロスロナス軍」


 マルフォイが震える声で言う。


 いかにサントエルマの森屈指の魔法使いといえど、この苦境を覆すことができるようには思えなかった。


「・・・あの親父、やりたいのは王様ごっこか?」


 フィラーゲンは不敵にささやいた。


 それから、コノルとマルフォイに向き合う。


「おまえたちに重要な役割を果たしてもらいたい」


 普段より真剣な面持ちでそう言うと、手に持っていた立派な銀色のつえをまえに差し出した。


「この杖を託す。そして、これから言うことを良く聞いてほしい」


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