009 今後の方針
さて、今後の方針転換を余儀なくされた『屯田2号』一同だが・・・
「これからの事を考えれば、資源の確保が大事になる。 武器弾薬の生産には必要不可欠だからな・・・ 早急に量産体制を確立し襲撃に備えなければならないだろう。」
「では?」
「ああ、中止していた鉱物資源の採取を再開する。
計画自体は既にあるから、ピッツ班長主体で作業にあたってくれ、それと安全確保の為、人による現場確認は省略する。
最初から最後まで作業機械群は遠隔指揮で運用してもらう。」
「はい。 調査班から2名専属担当者を出します。」
「分かった。 それと、船のクルーからも2名出すので面倒を見てやってくれ。 指揮は交代制とし、採掘現場は24時間フル操業で頼む。」 (基本、3人による8時間勤務の3交代制、4人で行う事で順番に休日を取る事が出来る。)
その後も話し合いは続き、戦闘ボット等の増産も決まったがのだが、制御部の高性能AI作製に必要不可欠な希少資源が未発見の為、マスタースレーブシステムの導入が決まった。 (今ある戦闘ボットをマスターとし、高性能AIによる指揮制御を行い、今後作られる戦闘ボットをスレーブとして手足のごとく使うシステムである。 少ない数の高性能AIで多数の戦闘ボットを効率よく運用する事ができる。)
その次に決まったのが基地の拡大だ。 今は半径1kmの円を描く様に堀と土塁で守りを固めているが、これを半径10kmの円に広げるのだ。 (今後、半径1km圏内には各種製造ラインを敷設する予定。)
こちらは山下班長指揮の下に護衛班が中心となって作業にあたった。 因みに、作業機械や作業ボットは資源採取や製錬作業に集中投入されているので、こちらは戦闘ボットに排土板を取り付けるなどして作業にあたった。 (製錬された金属は更に精錬を行い純度を高めなければ使い物にならない、専用の製造ラインと作業機械が出来るまでは作業ボットによる手作業となるので、初期段階は余計に手が足りない。)
それから数日後、三浦船長は山下班長と2人っきりで話を
「山下さんから見て皆の様子はどうでしょうか? 不満を溜め込んでいたりしませんかね?」
「そうですね・・・ 私には大丈夫そうに見えます。 救助が5~6年後と言っても、元々の帰還予定は3年後でしたし、こんな商売です。 多少仕事が伸びた程度にしか思っていないかと。
ただ、敵の正体や目的が分からない事に漠然とした不安を感じている様ではありますな。」
「山下さんもですか?」
「まさか・・・ 私や護衛班の連中は早く戦いたくてうずうずしていますよ。 ところで、私からも聞きたいことがあるのですが?」
「おや、何でしょう」
「屯田2号の後部船体は無事でしたし、応急修理でテラ19に帰れませんか?」
「それについては、イブ班長と支援班に協力してもらって試案の作成と検証をしてみたのですが・・・
切断部の船体補強とカウンターウエイトの搭載、スラスターの増設。 資材を集中投入すれば、半年ほどで自立航行が出来る様にはなります。 更にセラミックでの耐熱補強をおこなえば、大気圏突入も出来るでしょう。 しかし、超光速航行に必要なフィールド形成に難があり、通常航行でテラ19に向かえば1000年経ってもたどり着けないでしょう。」
「そうですか・・・ それなら帰る事はできなくても、最悪の場合はこの星から脱出する事は出来そうですね。 救助隊が来るまで小惑星帯にでも隠れて過ごすのもいいかもしれませんな?」
「成程、そういう事なら船体の応急修理と食料の備蓄を始めた方がいいですかね?」
「まぁ、切れる手札は多い方が良いですからな。 もっとも、いっぺんにあちこちに手を出してどっちつかずになっては困りますが・・・」
「では、慎重に計画をたてるとしましょう。」
軍関係者枠での参加者内トップ2人は力強く握手を交わし、今後も協力していく事を確認した。