005 ゴブリン(仮)は知的生命体?
やれる事、それは・・・
三浦船長は堀や土塁を作った時の残土が粘土質だった事から、セラミックレンガの量産を命じたのだ。
1つ1つの大きさはそれ程大きく出来ないが、比較的形状を自由にできる事から建材として使いやすい物であり、強度もそれなりに高く、鉄鉱石等が手に入りづらい現状では基地の強化に有効と判断、腐食耐性の高さから堀や土塁の表面加工や構造体として採用された。
そうこうしているうちに、遂に正体不明知的生命体を発見したのだが・・・ 噓から出た実、どう見てもゴブリンとしか言い様のない姿形をしていたのだ。
さて、定例のテレビ会議で、
「このゴブリン (仮)ですが、本当に接触を計るのですか?」
「規則だからな、知的生命体や先住民を発見したら意思疎通を図らなければならん。」
「知的生命体ですか?」
「火を使っているし、基準は満たしている。 ところでイブ班長、彼等の言語解析は進んでいるか?」
「現在、集めた言語サンプルを基に作業を進めてはいますが・・・ サンプルが少なく、順調とは言い難いです、更なるサンプルの収集は可能でしょうか?」
「・・・分かった。 山下班長、護衛班と調査班から数人選び専属チームを作り、対象の監視とサンプル収集にあたってくれ、ピッツ班長は残った人員を指揮してベースの通常任務を出来る範囲でこなしてくれ。 一時的に業務過多となるが、よろしく頼む。」
「「「了解」」」
さて、『屯田2号』の搭載シャトルはAI制御の無人型が2機、AI制御だがコクピットが有って手動操作も出来る有人型が2機の総数4機だが、現在、無人型1機を除く残り3機が地上の簡易ベースに配備中である。
専属チームを任された山下班長は護衛班から1名、調査班から2名を選び有人型のシャトルで対象の居住エリアの近くに進出、警戒ドローンを中心に監視及びサンプル収集を始めた。
但し、シャトルのペイロードの関係で戦闘ボットは小型機を6機しか持ってこれなかったので、こちらの存在がばれて戦闘になったりしない様に慎重な行動を心掛けた為、サンプルの収集には予想以上に時間が掛かる事となった。
「班長~ もう一週間ですよ、携帯食料にも飽きたし帰りましょうよー」
「うるさいぞ歌子、あっちの2人を見てみろ。 もんく1つ言わずに仕事をしているじゃないか、お前も少しは見習ったらどうだ?」
「私の仕事は戦闘がメインなんですよ? こんなコソコソしてたんじゃやる事なんてないですよ・・・
いっその事、対象を何体か攫ってきましょうか? そうすれば、チマチマと情報収集なんて続けなくていいし?」
「ダメに決まっているだろう。 何の為に規則が有ると思っている。」
何だかんだ言いつつも、歌子は山下班長に甘えているだけであり、それを見せつけられている残りの2人は半ば現実逃避のごとく仕事に集中する事に・・・ (バカップルか!)
歌子は意図せずに仕事の効率化に貢献していたが、それでも必要なサンプルを収集するのに10日程かかり、調査班の2人は心に大きなダメージを受ける事となった。 (バカップルめ!)
それでも何とか翻訳機の完成にこぎつけ、ファーストコンタクトに・・・
それで、最初のターゲットに選ばれたのは、集落から離れて行動中の3体のゴブリン (仮)であった。
「対象を目視、最後尾の槍を持った大き目の個体をα1、こん棒を持った個体をα2、ナイフ状の石を持った個体をα3と呼称する。 間もなく接触する。」三浦船長はインカムに話しかけると、わざと音をたてながら近づいて行く。 (船長の三浦がわざわざ地上に降りてきてゴブリン (仮)に話しかけるのは、知的生命体とのファーストコンタクトは、責任者が行わなければならないと言う規則が有るからである。)
「了解。 ちゃんと隠れてガードしてますから。」
耳元から聞こえる返事に安堵しながら目標に話しかける。
「こんにちは。//ギャギョ 敵ではない。//ギュギャギャ 話がしたい。//ギョギョ」
だが、返事は無く・・・
「ギャギャ//何だあれ」
「ギョギャギャギュ//何でもいい 食えそうだ」
「ギャギャギョ//よし 殺そう」
物騒な会話が聞こえて来る。
ぎょっとした三浦は慌てて逃げ出すが、α1~3は思いのほか素早い動きで周りを取り囲んでしまい身動きできない状態に・・・
そこに銃声が3発、槍とナイフを持ったα1とα3はヘッドショットで即死、α2は腕を撃ち抜かれ武器を落とした所を戦闘ボットのスタンガンで捕獲された。
「状況終了、集まれ。」
「「了解。」」
「船長、大丈夫でしたか?」
「ああ、助かったよ。 皆いい腕だな。」
「まぁ、訓練は欠かしていませんから。」
すると調子に乗った歌子が「そうなんですよ、班長って訓練訓練って煩いんですよ・・・ 船長から少しは部下を労わるように言ってやって下さいよ。」
ゴン。 山下班長のげんこつ一発で話は終わった。




