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027 海底の宇宙船

 さて、進言に従いスライムリアクターを停止したのだが、少々問題が・・・

 大量の電力供給を見越して各基地の兵装にレーザー砲や電磁投射砲を増設していた為、電力不足を起こしてしまい防衛力が低下する事態に、 (さらに、飛行母艦や護衛艦は通常動力のため問題無いが、ガンシップや造船所の試作艦はスライムリアクターを搭載している為使用不可に)

「この状況で敵襲が有ると不味いですが、レーザー砲や電磁投射砲をシャットダウンします。 各基地の警戒エリアを広げ敵の早期発見に努めて下さい。」 (レーザー砲や電磁投射砲は使用しない状態でも待機電力を多く消費します。 その為、完全に電源を切る判断を下しましたが、これらの兵器はレーザー発振部の励起等に時間が掛かるせいで電源を入れても直ぐに使用する事は出来ません。 少しでも早く敵を発見し各兵器が使用可能になるまでの時間を稼ぐ為の指示です。)


 そんなこんなでバタバタしているうちに部隊が爆発現場に到着し作業を開始。

 そして、調査結果が・・・


「どうやら爆心地は当初懸念していたスライムリアクターではなく、『屯田2号』の様ですね。 ログを確認したい所ですが、回収出来るようなデータや器機類は一切無しとは・・・ どれだけ凄まじい爆発があったのか・・・」


「そもそも、『屯田2号』の燃料や弾薬だけであれほどの規模での爆発が? おかしくないか?」

「船長、何の前触れも無くいきなりの爆発だ、未知の攻撃を受けた可能性も有ると思うが?」


「「!?」」


「確かに、海洋進出に対する報復的な攻撃の可能性も・・・」

「宇宙に逃げ出そうにも『屯田2号』を失ってしまった。

 船長・・・ 宇宙船の再建は出来そうか?」


「・・・残念ながら、宇宙船の建造に必要な設計図や各機器の図面は『屯田2号』のデーターベースと共に喪失しました。 宇宙港にも作業の為、多少のデータのコピーが有ったんですが・・・ それも共に・・・」


「「・・・」」 絶望的な状況に皆が言葉を失う。


 それでも何とかしなくてはならないと、それぞれ出来る事を確認する為にも作業に戻って行った。

 まずはスライムリアクターの再起動と警戒態勢の強化指示・・・

 そして、有人型・無人型それぞれ1機ずつ本部基地に配備してあったシャトルの活用方法について・・・


「宇宙港でシャトルが全滅しなかったのは幸いでした。 シャトルをそのまま使って衛星基地に脱出するもよし、シャトルを分解し調査する事で宇宙関連技術のデータを蓄積するもよし。」


「そうですね・・・ 港湾基地の造船所に残されている船舶用 、主に潜水艦のデータと合わせれば宇宙船も何とかなるかもしれませんね。」


 早速とばかりに各基地に残されたデータの確認を始める一同。

 そして・・・


「さて、原因不明の爆発事故により母船である『屯田2号』と多くのデータを失う事となりましたが、皆の努力の甲斐あって大型のシャトル程度なら建造できる技術データが集まりました。

 私としては、爆発事故の原因が此方の探知能力を上回る敵の攻撃であった可能性を考え、早急に大型シャトルを建造し、衛星基地に避難すべきではないかと考えますが・・・

 皆の意見を聞かせてください。」


 この三浦船長の言葉を基に色々な意見が話し合われた。

「新たにシャトルを建造しなくとも現行のシャトルで速やかに衛星基地に脱出するのではいけませんか?」


「現在の衛星基地には簡易的な居住区画しかなく、このままで行けばほとんどの人がコールドスリープ装置で強制睡眠状態になります。 居住区画として再利用できる機能を付与した大型シャトルの建造は必須と考えています。」


「そもそも、今のところ攻撃を受けていないからといって衛星基地は安全なのでしょうか?」


「「・・・」」


 そんな中、イブ班長が・・・

「宇宙船なら海中で見つけたではありませんか、あれを修理して使ってはいかがでしょうか。」


「「えっ・・・」」

 一気にその場がざわめく。

 

「そんな事をすれば又攻撃を受けるのでは?」

「だが、『屯田2号』の爆発が攻撃を受けたとの確証も得られていないぞ・・・」

「「・・・」」


 皆が考え込むなか、三浦船長が「実際問題として、海底のあれは宇宙船? 回収可能な物なのか? 出来なければ絵に描いた餅なのだが・・・」

「海底調査は途中で中断しましたが、ある程度のデータは取れていたので解析をしていたのですが、後部に大型の反動推進装置が確認できたのでほぼ100%宇宙船で間違いないかと・・・

 又、内部への浸水はほとんど無い事が分かりましたし、船殻も軽量合金が多用されている事から大型のバルーンを複数使用する事で浮上可能と判断します。

 後はどうやって港湾基地に移動させるかですが、計画中の戦艦や空母等の大型艦を使っての曳航を考えています。」


 その後、何やかんやありながらも回収計画が実施される事に・・・


 計画第1段階、曳航作業に使用する大型艦の建造。

 第2段階、海底宇宙船の引き揚げ。

 第3段階、宇宙船を港湾基地に移動。

 第4段階、港湾基地の造船ドックに入渠した宇宙船の修理と改造。




 だが彼等は気付かなかった・・・ いや、『屯田2号』と共に多くのデータを失った為気付けなかった。

 その宇宙船は、数千年前に人類発祥の他である地球を破滅に追いやった『ファースト』と呼ばれる異星人の戦闘艦と同型艦であることに・・・


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