001 テラ19国
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よろしくお願いします。
人類が宇宙に進出し、幾つもの星間国家が生まれ、今なお人類の生存圏は拡大の一途をたどっていた。
そんな中、永らく星系国家と言うか殆ど単一の惑星国家と言えるほど小さい『テラ19国』と言う国家が存在していた。
何千年も前に数百年かけ通常の反動推進だけで移民してきた人類の末裔だ。
だが、そんな『テラ19国』に最近、他の人類国家からの来訪者と共に空間圧縮航法システムによる超光速航行の技術がもたらされた。
そして、何処か閉塞感に似た思いを感じていた『テラ19国』の人々は、他の人類国家との貿易、星系内の本格的開発へと突き進んだ・・・
そして遂には、未開の他星系への進出をも・・・
テラ19国は宇宙軍の旧型輸送艦を基に各観測装置の増設や空間圧縮航法システムへの換装等を行い、開拓型調査船を多数用意し、各地の調査航宙へと乗り出したのだ。
開拓型調査船の所属は改造と同時に宇宙軍から宇宙開拓局へ移管されており、乗員20名の内約半数は退役軍人などの軍関係者、残りは学者などの専門職で構成されていた。 そんな中、開拓型調査船『屯田』型2番艦『屯田2号』は観測整理番号B-010081星へ向かっていた。
「こちら船長、本船は約6時間後に次の観測点に到着する。
今回の惑星には、先行させているUAV (無人偵察機)からの観測情報で生命体らしきものの反応が見つかっている。
簡易ベースを設置しての精密調査を行う事になるので各員準備物資等、間違えのないよう注意するように。
繰り返す。 本船は約6時間後に・・・」
船内放送と共に俄かに活気づく船内、艦橋では船長と各班長による打ち合わせが行なわれていた。 (乗員20名の内訳、上陸調査班:学者5名 上陸護衛班:軍関係者5名 後方支援班:学者5名 船長を含む残りの5名は船の運用要員)
「さて、現場到着までにUAVからの情報を基に降下地点を決めます。 護衛班による現場の安全確認後、調査班の出番となります。
では山下護衛班長、手順の説明をお願いします。」
「はい、降下手順はUAVからの特異情報が無い限りは、いつも通りを考えています。 (今回の行動において、B-010081星は37番目の調査対象であり、31回は軌道上からの観測だけで見込み無しと判断、5回ほど見込み有りでシャトル降下による簡易ベースを設置を行っている。)
実施計画は、先ず無人シャトル1機とUCAV (無人戦闘航空機)3機を降下させます。 着陸後、シャトル搭載の警戒ドローンと戦闘ボットを展開、着陸地点の安全を確保します。
この時点でUCAVは周辺の広域警戒の為、行動範囲を広げます。
次にシャトル2機により護衛班5名と調査班5名及び機材を降下、以後このシャトルによる資材等のピストン輸送を実施します。 (シャトルは貨物スペースを分離できるブロック構造としているので、そのまま地上での部屋や倉庫として活用できる。)
また、先着の無人シャトル1機は、各上陸班の緊急脱出用に現場に待機となります。 非常時にはこのシャトルに集合してください。」
「問題無いようですね。 調査班、支援班、何かありますか?」
「「ありません。」」
「では、各自行動に移ってください。」
「「「了解。」」」
そして6時間後、『屯田2号』はB-010081星の静止衛星軌道上の観測ポイントにたどり着き、早速無人機群による第1陣が着陸ポイントに向け大気圏突入を開始した。
暫くした後、着陸ポイント周辺の領域確保と大気や土壌等のチェックが終わり、本格的な降下作戦が開始された。
この時点で着陸ポイントを中心に半径1000メートルの円状に無人機による警戒監視網が構築されており、本隊はこれから中心部に一辺300メートルの正方形をした基地建設を行う事になる。
因みに、300メートルの外周部分はワイヤーネットを支えに薄い金属膜を張り付けたもので、ワイヤーで強度を保ちつつ特殊な金属膜で外部からの視界と各種センサーによるスキャンを遮る構造になっている。
この金属膜付きワイヤーネットは、長さ150メートル幅3メートルを一つの束とし、トイレットペーパーのように巻いて円筒型の容器に格納され現場に持ち込まれており、8個必要とされる。
空の格納容器は、4個を基地の四隅に設置しワイヤーネットの支えにすると同時に、15ミリ対地対空両用砲の基部として活用、残りの4個は基地の東西中央に2個づつゲートの門柱として活用されている。 (この時点で空の円筒形の容器には石や砂等が詰め込まれ重さと強度が増している。)
基地の内側は中央に100×100メートルの主要部があり、戦闘指揮所やラボなどが設置されている。
北側の100×300メートルは航空機の離発着スペース、南側の100×300メートルは各種作業機械や戦闘ボットの整備保管場所となっている。
残りの中央部東西スペースには倉庫群が設置されているが、ゲート周辺と南北を結ぶ連絡通路の部分は幅20メートル程空けられている。
そして、これらの資材は調査終了後に回収され、整備後に次の降下作戦に使用される。