第2話 この女子高生Vtuberは基本的にク●野郎です。
あの。
ねえ、みんな。ちょっといい?
『どうした?』『どしたん?』『どしたー?』『なに?』
真面目キャラやってたら、ゲボ吐きそうなんだけど。
ああっ、腕にじんましんが。ああっ……
『真面目アレルギー!?』『ああっ、俺の足にもじんましんがっ』『雀田の顔面が月面みたいに!!』『雀田、ご臨終です。』
お前らも真面目アレルギー持ちだったか。お互い苦労するなっ。
あと、ここまで来て人を貶す害悪共。後でちょっとお話しよっか?
『サービスタイムだ』『サービスタイムや』『サービスタイムですね』『サービスタイムだな』
と、とにかくあんな気張ったんだから、この後はもうリラックスさせてっ。
このままだと、また社畜に乗っ取られちゃうっ!!
『社畜雀田、謝罪しかできんそう』『お前が始めた物語だろ』『雀田、ご臨終です。』
さっきからご臨終ネタやめてくんない。末代まで呪うよ?
お、おほん。
ここまではあたしのルーツについては話した。
こっからは皆の知る、あたしがVtuberを始めた時の話をしようと思う。
『待ってました』『雀田まりんちゃんだった時の奴や!!』『あんなに清楚だったのに』『雀田、やっぱりご臨終です』
ええっと、まずVtuberを始めた時なんですけど。
さっそくあたし、挫折したんです!! 知ってましたか? 皆さん。
『同接1人!!』『同接1人!!』『同接1人!!』『同接1人!!』『同接1人!!』
ひでえ、みんな同じことしか言わねえ。
いや、まあ今こうして見られている数からすると信じられない人数だよな。
『おい、雀田。5万人いってっぞ!!』
5万人? はいはいスゴイスゴイ。そんなん東京ドーム満席に――
――ってほわっ、5万人!? マジで!? ホントに集まってるんですけど!! あの、スカウターぶっ壊れてない? コレ。
もしやワイ、企業勢なれる!? ついにバーチャルでも企業戦士になっちゃうのん!?
『雀田の人望』『これはまりんちゃん』『まりんちゃんが生き返った』『雀田、復活です』
あたし、歓喜でマジで全快するかもしれん。
やべえよ、おまえら。ここにいる全員からスーパーチャットもらえたらあたし億万長者なれるくね? あの世行く前に億り人なれるくね?
いよいよ死ねなくなったんだけど。
『谷底にズドーン』『5000人退去、感謝』『すばらしい』『It's show time!! hahaha!!』
あ、ああー!! 嘘です嘘です!! もう同接5000人減ったんだけど!!
許して、許してよマザー。こんなつもりじゃなかったんだ。
ただ、少しだけ。ほんの少しのぬくもりと、暖かい言葉が欲しかったんだ。
『雀田の人望』『これは雀田』『おろかな埋葬』『53』『それでこそ雀田!!』『雀田、ご臨終です』
そ、そうだ。
ここはお涙頂戴エピソードを披露して、客を戻すんだ。
そうすれば、純真なキッズ共は心打たれて戻ってくるかもしれん。
お前ら、拡散だ。雀田ラストライブで拡散ダァ!!
マネーと呼ばれても、あたしはめげないっ!!
『拡散しました』『雀田、死に際に金銭要求。拡散しました!!』『心の声も含めて全部拡散しました!!』
ありがとう、これであたしは汚名でいっぱい!! お前ら全員地獄に落としてやるからな!!
『あのー、話進めてほしいんですけど』
す、すみません。脱線しちゃいましたねっ。
今からっ、今から話すからねっ。ちょーっとまっててねぇ。
えーとですね。
まず、チャットでも流れたと思うんですが。あたしも最初は同接1人だったんですよ。
個人勢でやっていく以上、どうしても企業という力強い後ろ盾がないので拡散力もありません。
当然、知ってもらうための宣伝、営業も何もかも全部自分でやらないといけません。
これが、まあ大変なんです!!
最初こそ同接1人なんてこともありましたが、0人なんてことも普通にありました。
始める前は、Vtuberって今流行ってたらさすがに50人はいくっしょとか、そんな舐めたこと考えてましたよ。
だってあたしカワイイし。
そう思ってたらだーれも集まらない!!
どんなに滑らない話こさえてきても、話す人いないからどうしようもない!!
どうすればいい、どうすればいい!?
そう、これがVtuber人生において待ち構えていた最初の苦難なのです!!
『壁とやりとりしてた時期か』『友達ゼロ人時代』『大後悔時代』『まだ清楚だったころ』
そうだよ、こうなる前は純朴で清楚だったんだ!!
でも、お前らみたいなやべー奴らに染められちゃったんだ。汚されちゃったんだ!! ううっ。
あたし、今みたいな姑息な手で売名なんてしてなかったのにっ!!
こんなんじゃお嫁に行けないっ!!
『くたばれ』『地獄に堕ちろ』『くたばれ』『4ね』『53』『バケモノには無理』
くぅ~、辛辣ぅ!! 五臓六腑に染み渡るぅ!!
きんっきんに冷えたビールのようですねぇ。おいちいっ。
『ただのドMで草』『草』『雀田は平常運転』『かわいそう』
まあ、そんな修羅の国に生まれたあたしは、何とかしてこの詰んでる状況をどうにかしたかったのよね。
そう、盤面をひっくり返したかったの。
その為には、何か強烈なインパクトを与えなきゃいけない。
そう、この後第一波をぶち込んだんだけど。それが何か分かるかな? お前ら。
『ま、まさか……』『あの伝説の』『お前、それ以上は……』
ふ、ふふふ。そうさ、そういうことさ。
あたしが売名の為に己を犠牲にして実行したファーストインパクト。それは……
『自分から傷口をえぐると言うのか!!』『だめだ、それ以上はいけないっ!!』『ヤメロォ!!』
し、質問コーナーでぇっす。
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