新人のための教えその一
新人教育のため綿子とマナは受注できるクエストを見ていた。
「まず、生活する上で大切なアメの稼ぎ方ね
最初の頃はクエストも難易度の低いものしか受けれないの」
(角煮食べたいなぁ)
「なぜだかわかる?」
「はい!わかりません!」
「少しは考えようね?」
「先生もわからないときはわからないって素直に言えって言ってました!」
(角煮も良いけどパフェも食べたいなぁ)
難しい話は聞かない綿子にマナは不安を覚えるも説明を続ける。
「まったく・・・難易度の高いクエストを規定の日数以内にこなせなかった場合違約金が発生するの
そうなると連合の信頼にも関わるし、個人の信用にも関わるから制限がかけられてるの」
「なるほど」
「だから、ある程度強化が進まないと次のクエストが受けられないの」
「決める人っているですか?」
「うちでは隊長のチクフルさんね。ほむさんには尊師って呼ばれてるわ」
「覚えました!」
「綿さんは武器はまだ持ってなさそうだからまずは町のパトロールから始めてもらうわ」
「パトロールって危ないんじゃ・・・」
「大丈夫よ
あなたも見たと思うけど治安は良いの
でもたまに喧嘩があったり、店にクレームつける人もいるからそういう人たちを見つけたら連合に報告してほしいのよ
首を突っ込まなくてもどこどこで何が起きてるって教えてくれたら対処できるメンバーが駆けつける。
連合同士で競い合うから早い者勝ちね」
町を見回り、揉め事があれば報告して達成報酬をもらう仕事のようだ。
「ところで、あなた渡辺っていうんですって?
珍しいわね」
「そうですか?私の住んでいたところでは良くありましたけど・・・」
「あなたもしかして日本人なの?」
「そうですけど・・・」
「私もなのよ!本名は伊藤和代。あまり好きじゃないからここではマナって名乗ってるわ」
「あなたも日本人ならどうして角煮を普及してくれなかったんですか!?」
「えっ・・・」
「えっ・・・」
ザ・ワールド
「・・・まぁいいわ
とにかく、まずはパトロール
稼いだアメで遺物を集めることから始めましょう」
「遺物ですか?」
「遺物はあなたが強くなるために必要なものよ
アメジストを使って整えることが何よりも大切なの
その次が遺物の強化
クエストで達成してアメとは別に遺物を動かして強度をあげるために使うわ」
「ほえー」
まるで分かってない様子。
「この遺物はデスキング様が作られたアーティファクトでみんな同じものを持てるけど上納の意味でもアメを使うの」
世の中アメが全てでガチャや遺物の入手など様々な場面で必要になって前世の貨幣のようになっている。
「ひとつ質問いいですか?」
「どこかわからないところであったかしら?」
「全く分からなかったので最初からお願いします」
マナの動きが止まり諦めた雰囲気を漂わせている。
こうしてマナの新人教育は今までにない苦悩の始まりとなった・・・