第八話『ShortTime!!」
梅雨に近づきつつある中、外は酷く「じめって」いる。そんな日の午前10時20分。
あの少年が起きる5分前の話だ。
ピロロピロロと通知音と共にヴァイブレーションの振動の音で起きてもおかしくないのだが、この少年は起きない。寝ているその顔は、まるで快感の先をいくような、「『感』」にとりつかれている顔をしていた。
どうしたものだろうか。疲れているのか?
否、疲れてはいないだろう。いつもより少〜しだけ頑張った結果だ。
「ムニャムニャ………」
〜その頃、ユウキは〜
「(あいつ遅くね……!?)」
割と焦ってる。何で「あいつ」がまだ学校に来てないのか、ということを。今は放課中のため、「LINEのスタ連でどうにか反応をもらう作戦」を実行中だが、既読さえ付かないものだから焦りに焦っている。
しかも追い打ちをかけるように、30分には3時間目が始まってしまう。ユウキ的にはトオルがこないと心配してしまうもんだから、どうにかして連絡を取らなければならなかった。
「(マズイ、25分だ。流石に連絡しておこう)」
そう思って、スマホをメールから電話へとChangeした。そうしたのち、電話をかける。
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
「(おいおいおいおいおい……。まさかこれで寝てるのか!?)」
「(マナーモードとかにしてるのか……??)」
「(……おいっっ!!!!!)」
「やばい、流石にこれは先生に言わないとマズい。」という言葉が脳で走るように回った。
何故ここまで焦るのか。それは確かにトオルを心配していることも大きく関係しているが、先生に「トオルはお昼までには来ます」と自信満々に言ってしまったからだった。これではユウキは先生に「嘘つき」という印象を持たれてしまう。それだけは避けたい。
しかも、その先生というのは……。そう、ユウキが一目惚れした「いつき先生」のことだ。どうだろうか。一気に事の重みが増しただろう。
「あああ!せっかく良い感じに先生と話せたのに、これじゃマズい!!早く来てくれええ!!!」
〜そのころ〜
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
…
……なんだこの煩わしい、糞みたいな音は。
………あ、机で寝てたのか。んじゃ、ベットで寛ぐとしますか、、、
…………んにゃ…?何でカーテンの下、光ってん…だ?
ベットについたものの、浮かんだ疑問があまりにも非現実的なことだったから面倒くさがりつつも起き上がって時計を見てみた。
「んん〜?」
「あれれ? おかしいぞ。今何時だ」
「ふぅ、なるほどね……。ッて、やっべぇええええ!!!」
と、時刻を見てみれば10時26分になっていたわけだ。
_________
あー! まずいぞ。入学以来、のほほんと生きてたけど今日に限っては「のほほん」としていられない。
ただ、、この感覚は久々だな。
受験時はしゃきっとしていたが昔から寝坊はよくあることだった。それで怒られていたのも今となっては懐かしい。
でも何か重要なことがある日は早起きを必ずしていたし、ましてや徹夜をすることもなかった。
だが、最近はやはり疲れていたのだろう。およそ2年ぶりの寝坊だ。
「早く!早く!」
人は時間に支配されていると感覚が麻痺して焦りに焦る。どれだけ気楽にしていても、どれだけサボっていても、時間というものは容赦なく人を裁きにくるのだ。今回の場合、もちろんトオルは時間に支配されている人例になるだろう。
「持ち物は全部持ったな…?? いっいってきます!!!」
鍵を締め急いで学校へ向かった。
〜時は午前の11時まで進む〜
「門空いてるな!?」
急いで教室に向かう。
普通だったら校内は涼しく快適なものだが、常に時間に追われている、いや不具合があって時間に追われている人はいくら涼しくとも「汗の量」がハンパない。実際として、トオルの額からは汗がじっとり付いていた。少しだけ辛口に言うと、触りたくもない汚さがどこかにある。
バーン!!
ガッチャーン!!
「おぉ…! 送れましたァ……」
「おや、トオルくんこれはこれはお疲れ様。授業にえーっと? 31分遅れですね」
「…………す、すみm…」
「!?!?」
またもや2年ぶり。ネッチューシヨーの発症だ。
ようやく投稿出来た…!!