第七話『「僕の『気持ち』と『感じ方』っておかしいのかな」』
カキカキカキ……
「……集中出来ねぇなぁ。まぁ今日は色んなことがあったからしゃーない……か」
いつき先生に、親の関係性について相談しようと決めた5分後のことだ。
勉強をしようとシャーペンを握るが、全く集中して出来ないのだ。それはそうだろう。何故ならばトオルは今日だけでも信じられないような濃い1日を送っていたからだ。なので集中なんて、とても出来ないぐらいに疲れていた。
とはいえ、それはトオル本人には「充実性の欠片もない軽い1日なのに、何故か疲れてる」というようにしか受け止められなかったが。
「それにしても高校に入ってから、もう一ヶ月か……」
トオルが高校に入ってから1ヶ月が過ぎようとしていた。入学式に、見たこともない生徒達、そして成績に反映される小テストのマシンガン。どれもトオルを疲労を貯めるには十分すぎた。
「あとあと? そういえば隣の舞さんはもう彼氏が出来た、とか言ってたなぁ。どうか幸せになってほしいけどなぁ……」
トオルにもちろん結婚願望はない。とはいえ、他の人の恋は応援したくなるし幸せになってほしい。今の場合、隣の席にいる舞さんが既に彼氏を作ったというので幸せになって欲しいと思うわけだ。
「……あぁ! クソ!」
「こんなこと考えてるなら勉強しろよって話だよな!」
そうして集中力がないなか、GWの課題に手を付けた。
カキカキカキカキ……。
カキカキカキカキ……。
「(それにしても、両親はいったいどんなふうになるのだろうか。離婚……。別居……。はたまた俺を巻き込む大事になるかも……)」
トオルは親のことが大好きだ。だからこそ両親の喧嘩を見ると胸が痛む。もちろん反抗する時はしっかりと反抗するが。
でも、例えば母親が父親の愚痴を呟いていたり、逆に父親が母親の愚痴を呟いていたりする様子を見ると、これ以上にないぐらいに悲しい気持ちで一杯だ。また、父親に関しては母親への愚痴を言っているときは手が付けれないほど怒っているため、どうしょうもない。
最近は心の疲れが出ているのか。もう両親の仲については諦めているが。勝手に仲良くなったり悪くなったりしたりすればいい。
本当に俺はどうすればいいんだ。こんな胸のざわつきを抑える方法を教えてくれよ。神様でもなんでもいいから。
両親についてこんなに悩む俺はおかしいのかな。
〜〜〜
「しゅ…しゅう…りょぅう……」
ようやくGWの課題が終わった。実は言うと他にも課題は山のようにあるのだが、もうダメだ。眠気に勝てない。というか、そもそも勝ちたいなんていう気持ちさえ沸かない。
……パッと机の右上にある置き時計を見た。
「1時17分……。5時50分には起きるから、だいたい4時間30分ぐらいしか寝れないのかぁ……??」
朝から夜までネガティブ気味だった。と言いたいが最近のトオル自体、結構ネガティブチックに生きていた。ここ最近で言えば受験の合格発表が一番ポジティブになっていたのではないだろうか。
「カーテン閉めて寝る……か」
夜は意識さえすれば色々な音が聞こえてくる。
近くの用水路で流れる水の音が聞こえる。
時計の「チックタック、チックタック、チックタック」なんて音も聞こえる。
エアコンの動作音も聞こえる。
色々な音が聴こえてくる。綺麗で澄んだ音だ。
「わぁ…キレイだなぁ……」
更には、椅子に座ったままカーテン閉めるときに上を見上げたら、三日月があった。眠気がなかったらカメラに納めたいぐらいのキレイなキレイな三日月だ。
「さて…ねぇ…る……」
そうしてトオルは机の上で爆睡してしまった。
アラームをかけずに。
〜〜〜
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
ピロロロロンッ♪
「…」
「んぁ?? なんだよぉうるさいなぁ……」
「あぁー机の上で寝ちまったのかぁ。ベットで寝よぉー、ん?」
カーテンの下から光が漏れ出している。何故だろうか。今は夜のはずだ。しかもこの音は電話の音だ。
「んん〜? あれれ?おかしいぞ。今何時だ」
「……ふぅ。やっべぇええええ!!!」
時刻を見てみれば10時25分になっていた。
それはトオルが初めて経験する「遅刻」というもなだった。
話の進行がハチャメチャで絶対に混乱すると思います。でも今回に限ってはそれさえも表現として、わざと訂正せずに公開します
よろしくお願いします。