第三話『陽になれない陰と理由』
キーンコーンカーンコーン。
キーンコーンカーンコーン。
「起立」
「それでは一限目を始めます。礼! 着席」
……
……
……
「起立」
「礼! これで4限目を終わります。ありがとうございました」
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……あれから、国語。世界史。理科。体育、と筋肉痛の痛みがまだ少しだけある俺にとっては過酷な体育を乗り切り、ようやく昼休みとなった。
「……い〜やおい! 結局いつき先生、教室にも外にもいなかったじゃんかよぉ!?」
「仕方ないじゃん。あの人今日初めて来たんだろ? そりゃあ事務的こともあって大変なんでしょ」
確かに、ユウキの言う通り、これからいつき先生はうちのクラスの補助的な先生としていることになっているのだが、今日は朝の自己紹介以来目にしていない。初めてきたということで忙しいのだろう。
「くっそぉ〜。俺早く話したいよぉ!」
「お前さ、気になった女子が出来ると、いっつもそんなこと言うけど、いざ話すとなると勇気なくなるじゃんか。大丈夫?」
「任せとけって」
「(もちろん任せれない。……がこいつのことだしいいか)」
「とりあえず教室に戻って昼飯食べに行こうぜ。俺まだ足痛いから座りたいし、もう腹減った」
〜〜〜
「いてて……」
「お前、痛み止め飲んだんじゃないのか」
「飲んだけど痛てぇんだよ、何でそこまで動けるんだよ……?」
「筋肉の量が違うんだよ」
「はいはい、そうですね……」
「ん?? あ、いたぞ」
ユウキと教室に戻ると、あのいつき先生がいた。そうして予想通り、周りにはたくさんクラスメイト達が喋りかけていたが、どうやら少し困惑した様子だった。
「おぉ。ほら、せっかく居たんだし喋りかけろよ。あれだけ気にしてんだからいけるだろ。ほらほら」
「お、押すなって! い、いや無理無理無理」
「何でだよ、『任せとけ』って言ってたじゃん? ほら早く早く」
ユウキは強いて言うのなら、『陽キャぶった陰キャ』。直前では意気込んでいても女子と喋ることさえままならないし、一目惚れをした先生になら尚更だろう。
元々運動は得意な男だし、勉強も出来るので、少しくらいは女子から異性として見られるのだが、喋った瞬間、男としての威厳がなくなるほど小声で早口になってしまうので、女子から「キャーキャー」言われるということは99パーセントない。古くから付き合いのあるトオルからしても、本当に惜しい男だ。
「ったくお前は……。ユウキっていう名前のくせに勇気ないよな」
「だっ、黙れよ! 名前と性格は別だろ!?」
そうして赤面になっていたユウキを嘲笑い、昼食を取り始めた。
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昼食を食べ終わる時まで進む
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〜〜〜
『いつき先生って、何で先生になったんですか? 美人さんなんだからもっと他のこと出来そうじゃないですか?』
「確かにそうですね……。でも元々、私って人の成長を見るのが好きなんですよ。誰かと誰かが支え合って、共に成長する様子とか」
『え~! そうなんですか!?』
「はい、ちょっと言うのは恥ずかしいですが……。まぁそんな素晴らしい様子を間近に見たいと思った時、先生という立場が1番あってる気がして、先生になったんですよね。」
「……」
「だ、大丈夫ですか……?」
『いつき先生、最高ですぅう!!!!!』
〜〜〜
トオルが昼ごはんを食べ終わった時に、聞こえたクラスメイトといつき先生の会話だった。
「(すげぇなぁ……)」
この会話はトオルにとって、とても斬新なものだった。なぜならだいたい先生になる人は「人に教えるのが好きだから」とか、「自分の頭の良さを活かせるから」とか、そういうありきたりな理由が殆どだと思っていたのに、いつき先生は違っていたからだ。
「成長を見るのが好き」。こんな理由で先生になる人がいるということに、ただただ驚いていた。
「(世の中にはスゲェ理由で先生になる人もいるもんなんだなぁ……)」
※修正するまで読みずらい・誤字があるかも! ごめんなさい!!
正しくない、とか、らしくないを意識してみた話です
なんかこう書くのって普通に難しい