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HERO/ヒーロー  作者: 牙/キバ
第一章 【ヒーロー】
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第二話『美or恋?』

 「なんだこの蒸し暑さは……」

 

 家を出発してからといってから、この体中をかきむしりたい蒸し暑さにウンザリしていた。何故こんな蒸し暑いのだろうか。そう思って、ふと地面を見てみたら水たまりが出来ていた。どうやらこれだけ蒸し暑くなっているのは昨日の夜に雨が降っていたから、らしい。


 「あぁ〜、暑い。早く学校へ向かおう」


 現在の時刻は7時。学校へは30分ほどかけて自転車で行くのに対して、8時までには学校に着かなければいけないことを考慮すると、充分時間はある。しかしこの暑さには流石に勘弁だ。なので脚の痛みを我慢しつつ、立ち漕ぎに切り替え、急いで冷房が効いた教室へ向かうため高校へ向かった。


 〜高校へ到着〜


 「つ、着いたけど、どのみち暑いじゃん…… 今日はことごとく運が味方してくれないな」


 朝の筋肉痛。集中できず結局やっていない課題。そして蒸し暑いのを回避しようとして急いで冷房が効いた学校へ行くも、結局暑い。この悪運、いやトオル自身が招いた状況にトオルは悪運だとして逃げていた。


 「さぁ早く早く。早く学校へ行こ……」


 「おっ!? トオルじゃん!」


 門を急いでくぐり抜けた時に、後ろから聞こえてきた声はユウキの声だった。


 「ん? お、よっ!」


 「『よっ!』……じゃねぇよ! なんだあのLINEは!?」


 あのLINEというのは、俺が今日ユウキに送った「意外と願いって叶うもんだな」という返信についてだろう。


 「あぁ、あれか」


 俺は笑いながら、


 「俺も筋肉痛になったから、俺以上に走ったお前も筋肉痛になっててほしいなぁ、なんて?」


 「っだと!?」


 そうして俺達は教室へと足を運んだ。


 ※※※※※※


 「いやぁ、トオルがそんなクズだとは思わなかったよ」


 「クズクズうるせぇなー。お前も昔から、おんなじようなことしてたろ」


 「それは言ってはダメというお約束があるんだよ、トオルくん……」


 「……あぁ〜、まぁそれは置いといてだな。お前新しい先生来ること知ってた?」


 「え、そうなんだ。知らなかった」


 「どうやらエグいぐらいに美人らしいぞ。いやぁ女好きの俺としては心が踊るねぇ」


 新しい先生……か。今の教師には対応といい色々な面から満足しているが、その先生も良い人だといいな。


 「女好きってお前が言うことかよ……。まぁその先生については、ちょっと気になるけども」


 「いやぁ、やっぱり高校生ともなると、気にしちゃうじゃん、女のこと。しかもさ、その先生世界中を旅したことがあるらしくて。だから話すキッカケも既にあるとか、もう最高だわ」


 「へ〜後は?」


 「なんだぁ? お前も人のこと女好きとか言うわりには、興味あるじゃんか」


 「いいから話を続けろ、筋肉バカ」


 「んっっっだと!?!?」


※※※※※※


 キーンコーンカーンコーン


 ガラガラガラガラガラガラ……バン。


 「はい皆さーんおはようございます! 今日は新しい先生がやってきますよ〜!」


〜〜〜


 『例の先生だぞ』

 『美人さんだってね』

 『怖い先生じゃありませんように……』

 『新しい先生、はやく!!』


〜〜〜


 「おっもうくるのか」


 「それでは、いつき先生。こちらに来て自己紹介をお願いします〜」 


 「……分かりました。」


 ガラガラガラガラガラガラ………スタスタ…


 ━━開いた口が閉まらない。こ、これが「美しい」なのか。「可愛い」ではない。「美しい」だ。


 「魅緑高校の新たな先生としてやってきました。『音有ねあり いつき』と言います。たくさんの迷惑もかけると思いますが、約1年間よろしくお願いします」


 クラスメイト達もあまりの美貌さに驚いたのか、自己紹介が終わり次第、「うおおおおおおっ」と小さな歓声が上がった。


 「トオル……。流石の俺でもこの美しさにはチビるぞ」


 先生にバレないようにユウキは後ろを向いて、俺に話した。確かに俺もこんな綺麗な人は初めてで正直ビックリしている。


「いやぁ、ありがとうございます〜。ということでいつき先生は約1年間、教科問わず毎授業このクラスに来てくださるので、分からないことがあれば、ドンドンいつき先生に聞くように〜」


〜〜〜


 『毎授業!? このクラスのために来てくれた女神みたいなもんじゃん!!』

 『めっちゃ美人さんだ……』

 『全教科対応してるんだ』

 『やばい、今年初めて恋したかもしれん』


〜〜〜


 クラスのメンバー達は小声ながらも、かなりの様子で盛り上がっていた。


 「あっ……!」


 「いつき先生! どうかしましたか?」


 「いやっ、生徒の皆さんに言いたいことがあって」

 

 「それはそれは! お構いなくどうぞ〜」


 「ありがとうございます。あ、あのですね。分からないことだけでなく、相談なんかにも乗りますので、何かあったら気兼ねなく相談してほしいな……と。高校生ってやっぱり先生とかにも話しづらい年頃だとは思うんですけど、気に恥ずかしくならず、一緒に私と悩んで一人で抱え込まらないようにしてほしいです」


 そう、いつきは微笑みながら言った。


 「それは生徒にとっては大きな支えになると思います〜。高校生ともなると、本音も打ち明けにくいので大変だとは思いますが、乗ってくれるのならば生徒たちに紳士に寄り添ってあげてください〜」


 「はい。頑張ります」


 うちの担任は今、「本音も打ち明けにくいので」と発言したが、まず相当な美人である点から、同級生からの人気は高くなり繋がりも深くなるだろう。そしてオーラ的にも包み込むような優しい感じがするので抵抗感もそこまでないだろうと推測できる。つまり、本音を出しやすい相談相手としてはピッタリなのだ。しかも今の、「はい。頑張ります」にクラスメイトの大半は既に心惹かれていた。


 「トオル……」


 「ん? どうした」


 「俺の恋の春、ついに到来したかもしれない」


 そして、ユウキはいつき先生に一目惚れしたようだった。

ユウキくん、先生に恋しちゃったよ!!(恋愛小説ではありません)

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