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「おきてー?」


 顔を優しくぺちぺちされたかなでは寝ぼけ眼で目をこすりながら、ぺちぺちしてきた相手をぼーっと見つめる。口をもにょもにょさせたかなでがへにゃっとさせた口調で挨拶する。


「あ、もみじちゃん。おはよう。みどりちゃんもおはよう」

「かなでさんって朝苦手なん? なんか口がもにょもにょしとるけど」

「そんなにもにょもにょしてるかなー? 朝は苦手じゃないつもりなんだけどねー?」


 ふにゃふにゃの口調で話すかなでを見たもみじは不思議そうに首を傾げるが、途中で朝ご飯のことを思い出したもみじは慌てた様子でかなでを起こそうとする。


「もにょもにょー? あ、お姉さん朝ご飯あるから早く起きなきゃ!」

「あら、それは大変ね。早く起きないとね」

「ほら、それじゃあ早く行くで。青藍のやつがお腹減ったって泣き叫んどったし」


 クックっと笑いを抑えた様子のみどりの後ろから青藍がむすっとした表情で現れる。


「別に泣き叫んでない。でも、遅すぎてお腹減ったのは事実」

「おん? 我慢できずに来てしまったん?」

「だって、お腹空いた……」

「あら、ごめんなさいね。今すぐ行くわ」

「うん。あれ、別に担がなくても大丈……」


 謝るかなでに頷き返す青藍を、かなでは何を思ったのか担いでリビングまで運び出す。


「おや、かなで起きたのかい。あー、青藍ちゃんをおろしてあげて?」

「あ、ごめん苦しかった? 青藍ちゃん」

「別に大丈夫。むしろ歩かなくて済んだから楽だったくらい」

「そう? それならよかった。あら、桔梗ちゃんと茜ちゃんは?」


 リビングにたどり着いてから青藍をおろしたかなでは、眠気が少し冷めてきたのかきょろきょろと周りを見渡して、桔梗と茜がいないことに気が付く。


「二人ともあっちに行ってる。なんかあまり管理者がいない状態で離れるのはダメみたいなこと言ってた」

「そうなの? ご飯とかどうするのかしら」

「ご飯は持って行ってたよ。少し大きめのかご持って行ってたから多分大丈夫」

「それならよかった」


 かなでがほっと息をついたタイミングでみどりともみじがやってくる。そのあとでからかい気味にもみじを見ながらみどりが笑う。


「いきなり青藍を担いでいったからびっくりしたわ。もみじがすねとったで?」

「拗ねてないもん。ただ、私も担いでもらいたいって思っただけだもん」

「それじゃあ、ご飯食べた後はもみじちゃんを担いでお部屋に行きましょうか」

「ホント!?」


 担がれるのが面白そうに見えたのかかなでの提案に嬉しそうにもみじが目を輝かせる。


「ええ、その前にご飯を食べましょうね」

「うん!」

「うれしそうやなぁ。あ、うちも一緒してええ?」

「え? 担がれたいの?」

「いや、そっちやなくて、ご飯の話や」


 かなでの言葉に呆れた顔をするみどりに、かなでも勘違いに気が付いたのか頷いて親指を立てるしぐさを見せる。


「あ、そっちか。もちろんオッケーよ!」

「むしろ大人の姿のうちを運ぶって発想が出てくるのに驚いたわ」

「あはは、運んでほしいのかなって思ったんだもの。運んでもいいのよ?」


 軽く笑って提案するかなでに、みどりは苦笑いしつつ首を横に振る。


「やめとくわ。それで、腰痛められたりしたらかなわんし」

「腰は、怖いなぁ。大丈夫と言えないのがホントに怖いわ」

「せやろ? って、青藍が怖い顔しとるから早くご飯食べよや」

「別に怖い顔してない。でもお腹空いた」


 いつも通りの無表情で首を横に振って否定する青藍の言葉に頷き、かなで達はテーブルに着く。それを見ていた静人が黙っていた口を開く。


「今日はちょっと軽めにしとこうと思って、フレンチトーストなんだけど足りるかな?」

「私は大丈夫だけど、もみじちゃん達はどうだろう」

「うーん、多分足りないかも」

「私も多分足りない」

「うちはこれで十分やけど、もみじ達はダメかもやな」


 もみじと青藍は少し遠慮がちに伝え、みどりもそれを肯定する。そんなみんな様子を見た静人は飲んでいた飲み物を置いてキッチンに向かう。


「やっぱり足りないかぁ。ご飯はあるから他にも目玉焼きとか作っとこうか」

「お魚無し?」

「お魚は夜にしようかなって思ってるんだけど」

「夜でも食べられるならいい」


 静人がツナ缶を取り出して生卵に絡める。それを玉子焼き用のフライパンで焼いていく。


「卵焼きにシーチキンとか入れてみようか。一応シーチキンはお魚だよ」

「そうなの?」

「海のお魚だけどね。青藍ちゃんは見たことないかも」

「見てみたい」

「ご飯食べた後に一緒に調べようか」

「うん。調べる、楽しみ」


 和やかに話す静人と青藍たちをみどりはほんわかした気分で眺めていると、みどりの持っているスマホが震える。


「ホンマ魚好きなんやなぁ。っと、うげ、会社から連絡やな。あー、ちょっとこれ食べたら今日は帰るわ。暇になるはずやったんやけどなぁ」


 スマホを見て会社からの連絡であることを確認したみどりは落胆したように肩を落とす。


「あー、会社から呼ばれちゃった?」

「おん、まぁ、すぐに終わると思うけどな。また暇になったら来るわ」

「まだ時間あるならご飯食べちゃいましょ」

「せやな。いただきます」

「どうぞ」


 しばらくしてすぐに食べ終えたみどりは手を合わせる。そのあとに慌てた様子で家を出ていく。


「ごちそうさまでした。それじゃあ、うちはここでいったん抜けるわ。また後でな」

「また後でねー」


 会社に向かうみどりを気の毒そうに見送り、しばらくして朝食を食べ終えたかなでは、すでに食べ終えていたもみじを約束通り担いで部屋へと向かう。もみじはかなでの腕の中でだらんとするのが楽しいのか動きはしないがずっと笑顔だった。残った静人は青藍と一緒にパソコンで海の魚を調べることにした。


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