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 静人が一人で朝食を食べ終えたころに玄関から人が入ってくる音が聞こえた。買ってきたのはもちろんかなでだ。かなでは帰ってくるなりきょろきょろと静人を探す。


「ただいまー。しず君いる?」

「おかえり。いるよ。何かあったのかい?」

「ううん、そういう訳じゃないんだけどね。今日ね。朝寝てたらもみじちゃんが起こしてくれたの。お腹に頭突きしてだったけどね?」


 今日あった出来事を伝えたいのか笑顔で話し出す。だが、なぜかかなでの瞳はうるんでいた。そんなかなでを見た静人はうるんだ瞳を見なかったことにして笑顔で話を聞く。


「あはは、朝から元気だね。もみじちゃんに起こしてもらったのか。そっか……」

「うん。やっぱり子供はいいわね。私たちにはもう無理だけど。ある意味しず君がもみじちゃんに出会ったのは必然だったのかもしれないわね」

「そう、だね……。もしかしたらあの時あの山に登ったのは神様の導きがあったのかもしれないね」

「そうだったら運命を感じるわね。ふふ、今まで子供がいなくて出来なかったことをたくさんするわ」

「嫌がるようなことはダメだよ?」


 静人の確認するような問いにかなではとびっきりの笑顔で答える。


「もちろん! 頭なでたり抱きしめたり。一緒に勉強したり料理作ったりそのくらいよ」

「そうだね。料理したいって言ってたもんね。……治療は続けるのかい?」

「ううん。もういいの。そんなものに使うくらいなら私はもみじちゃん達にいろいろプレゼントしたいわ」

「そっか。……そうだね。それじゃあ、今度もっといろいろ買っていこうか」

「ええ。楽しみね。今日の夕方が」

「そうだね。もう寒い時期も終わりそうだし最後に鍋でも食べようか。みんなで一緒にワイワイ食べれるしいろんな野菜も食べれるし」

「いいわね! 魚も入れることが出来るしお肉も入れることが出来るし。水炊き? それともお味噌? 他にもいろいろあるけどどうするの?」

「今日は水炊きにしようかな。最後だし僕の好きな方でいいかな」

「どっちでもおいしいって言ってくれると思うから良いんじゃないかしら? ポン酢持って行く?」

「そうだね。しゃぶしゃぶのたれとかもあるよ。どうせならいろいろ持って行こうか。最後は王道のポン酢になりそうだけど」

「私はポン酢ね。さすがに焚火でやるのはきついわよね」

「今日はガスコンロ持って行こうか。今度囲炉裏の作り方でも覚えて作ってみようかな」

「囲炉裏良いわね。なんで囲炉裏とかの火って落ち着くのかしらね」


 囲炉裏のことを思い浮かべたのかかなでの雰囲気が和む。そんなかなでに静人も同意するように頷く。


「たしかに見てるだけで落ち着くよね。あー、でも僕の知り合いで火を見ると目が疲れるって言う人もいるから全員ではないのかな」

「へー、疲れる……かしらね?」

「こればっかりは人によるとしか言えないよね。さてと、もみじちゃん達の所に行くまで時間あるし今日は何しようか」

「あ、だったら買い物に行きたいな。もみじちゃんのために本を買いたいのよ。この前の本は読み終わったって言ってたから」

「それなら建築の本も買っていいかい? 青藍ちゃんのことだからすぐに読み終わってしまいそうだし。呑み込みも早いからね。少し難しい本とかを用意してあげたいんだ」

「伝統技能とか? でもあれって物凄く細かいミリ単位での作業が必要なんじゃなかったかしら?」

「そうなんだけどね? 青藍ちゃんならなんとなくで作れてしまいそうなんだよね。技術さえ知ってれば。この前の小屋作りの時も最初のころは定規使ってたけど、途中からは使わなくても綺麗にサイズそろえれてたしね」

「そうなの? それなら確かにやり方さえ覚えればいけそうね」

「それじゃあ一緒に買い物行こうか」

「ええ! お鍋の具材も買わなきゃね」

「そうだね」


 買い物に出かけるということで準備をしているとかなではついといった感じで言葉を漏らす。


「もみじちゃん達ともこうやって一緒に買い物できたらいいのだけど」

「さすがに無理させちゃうのはね」

「分かってるわ。何とか出来たら一緒に買い物に行けるのだけどね。みどりちゃんに相談してみようかしら」

「みどりさんと二人きりの時になら相談してもいいんじゃないかな」

「ええ。ばれたら無理してきそうだものね。こっそり相談してみるわ。そういえばだけど桔梗ちゃんってお外に出れるのよね?」

「そうだね。僕たちと初めて出会った時も外だったし」

「今度家に招待してみようかしら。早く帰ってきてほしいわね」

「招待したら、あとの二人も来そうだけど」

「私は一向にかまわないわ!」

「まぁ、無理はさせないようにね」

「もちろんよ!」


 家に入って来たときとは違い楽しそうに外に向かうかなでを追いかける静人は、桔梗が帰ってきたらすぐに家に招きそうだなと苦笑しながら後を追うのだった。


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