37
「おにいさん、これ意外に楽しい」
「そうかい? それは良かった。青藍ちゃんがここまでものづくりにはまるとは思ってなかったけど。楽しそうで本当によかったよ」
「急かされないでのんびりやる分にはいいかも。どんどん出来上がっていくのが楽しい」
そう言いながら見上げるとそこには完成マジかの小屋の姿があった。この短時間で基礎工事どころか小屋が立つところまで完成していた。静人もこれは予想していなかったのか少し顔を引きつらせている。
「なんだかんだで短時間で小屋づくりも覚えて完成間近だし。才能があるのかもね」
「ふふん。意外な才能発見しちゃった? この体だと疲れを感じないからどんどん出来ちゃう」
「あれ? そうなのかい?」
「うん。精神的には疲れるけど体的には疲れない感じ? 逆にこれだとどこまでやればいいか分からないから時間ある限りし続けちゃいそう」
「それはまた。お腹もすかないのかい?」
「ううん。お腹は空く。というか空いた」
「あはは、だったらこれからはお腹がすくまで続けるようにしようか。とはいえ、小屋、もう完成しちゃったからね。次はまた別の物を作ろうか」
「うん。楽しかった。余ったので椅子とか机とか作ろうかな。足りる気がするし」
「そっか、それなら次は机作りだね。でもその前にご飯が先みたいだね」
「ん?」
静人の言葉に首を傾げた青藍は静人の目線を辿ったあと納得した表情で頷くと持っていた道具を地面に置いて静人と共に歩き出す。その先には満面の笑みで走ってくるもみじの姿があった。その後ろにはかなでが歩いてついてきている。
「おーい! 青藍ちゃん、お兄さん。ご飯できたよー!」
「あら、もう小屋完成しちゃったの? 早くない?」
「青藍ちゃん、こういうの得意みたいでね。あっという間に完成させちゃって僕が教えられることもなくなっちゃった」
「あらら、とはいえまだ一人でさせるのは許可しないんでしょ?」
「まぁね。まだもう少しは様子見かな。基礎は教えたからあとはもう自分なりのやり方を身に着けるしかないんだけどね。でも、物の整理整頓がちょっと苦手みたいだしそこは教えていこうかな」
「整理整頓? 確かに大事だけど先に教えるのがそれなの?」
「整理整頓が出来ないと物を無くしたり、最悪ケガにつながるからね。どこに置いてたか忘れててそれを踏んでバランス崩して転倒なんてこともある。だから、先にそのことの注意かな」
静人の説明に納得した様子で頷くかなではもみじのことを語りだす。
「なるほどねー。それなら確かに先に教えたほうがいいわね。怪我したら大変だもの。もみじちゃんには料理を少しずつ教えていきたいんだけど、私たちが持ってきた本全部読み終えたらしくて新しく買った本とかも交えつつやっていこうと思うわ」
「もう読み終わったのか。すごいな。分かった、あとはガスが用意出来ればいいんだけど」
「そこはみどりちゃん待ちだしね。今日は忙しくてこれないって話だしまた今度ね」
「そうだね。村作りをするみたいな話もあったけどさすがにこの人数じゃ厳しいものがあるし。そこもまた保留かな」
「そうね。っと、ご飯作り終わったし食べましょう?」
「そうだね、こっちも小屋づくりは終わったし休憩に入ろうか」
「分かった。キリがいいしご飯食べる。そのあとまた机作り?」
「そうだね。あとは椅子を作ればもう終わりかな」
「もうないの? いろいろ作ってみたかったのに……」
残念そうな雰囲気を漂わせる青藍を見た静人は腕を組んで頭を悩ませる。少しして思いついたことがあったのか早速青藍に提案してみる。
「そうだね……、机はどういうものを作る予定とか考えてたかい?」
「え? さっき見た雑誌に書いてあったもので考えてるけど」
「それじゃあ、その机のデザインを変えていろいろと作ってみようか。一人用の机でもいいし。僕たちが食事をするときに使う机でもいい。本を読むときに使う机もいいね。もみじちゃんが勉強するときに使えるようなものでもいいよ。とにかく雑誌で見たデザインのものを使わずに試行錯誤して作ってみようか」
「どんなのでもいいの?」
「うん。でも今の所はご飯を食べようか。そのあとで紙の上で絵を描いてデザインを決めよう。みどりさんが用意する資材にも限りはあるだろうし。少しでも無駄にしないようにね」
「分かった。とりあえずご飯。お腹空いた」
「えへへ、自信作だから、期待しててね!」
「……お肉ある?」
「あるよ! 唐揚げ作ったの!」
「唐揚げ。お腹空いてきた……」
唐揚げを想像した青藍は切なそうにお腹をさすりそわそわしだす。そんな青藍に気が付いた静人達はクスリと笑いあいながら急いで戻ることにした。




