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 二人の少女はじっと動かずに一か所を見ていたが、風鈴の音が聞こえると同時に動きだして鳥居のほうに走り出した。しばらくしてから二人の少女が戻ってくると一緒に二人の大人が付いてきた。


「こんばんは、もみじちゃん、青藍ちゃん」

「今日も料理一緒に作りましょうね」

「こんばんは! お兄さんお姉さん。はい。今日もよろしくお願いします」

「こんばんは-。私は食べる係ということで」

「青藍ちゃんも一緒に作るの!」

「お風呂に入ったから、あんまり動きたくない」

「気持ちはわかるけど……」

「そうね、気持ちはわかるけど。よし、手伝わなかったらご飯抜きね?」

「そんな! 私の唯一の楽しみを奪うなんて……」

「手伝ってくれるよね?」

「はい」


 青藍は食べられなくなるというのが嫌なのか抵抗もせずうなだれる。それを確認した静人達はいつものようにテーブルを台所代わりにして料理を始める。


「今日は食材を切る練習をしたいので、豚汁にしたいと思います。まだまだ寒いしね」

「というかこれから寒くなっていくんだけどね。豚汁は体が温かくなるし美味しいしで冬とか寒い時はいいよね」

「簡単に作れる?」

「うん。簡単に作れるよ」

「がんばる。切るのは得意」

「青藍ちゃんはそうだね。昨日も切るの上手だったし今回も任せようかな」

「任せて、たくさん切る」

「私も頑張る! 青藍ちゃんに切るのは任せて私は料理を作る細かなことを覚えたい!」

「そうだね。それじゃあ昨日は僕たちがやったことを手伝ってもらおうかな」

「うん!」


 青藍はかなでに食材の切り方を教えてもらいながら切っていく。青藍は二回目の作業ではあるが、昨日と切り方が同じものはさくっと終わらせて、切り方が違うものはかなでに教えてもらいながら順調に終わらせていく。静人ともみじはそんな青藍たちの作業を見ながらもう一つテーブルを出して食事の用意をしていく。


「あら、もう切るものがないわね」

「終わり?」

「私たちの作業は終わりね。あとはもみじちゃんとしず君にお任せしましょうか」

「よし、ゴロゴロする」

「手を洗いましょうか。こっちに手を洗う用の水を用意したから」


 かなでと青藍は黙々と食材を切っていたが、いつの間にか全部終わらせていた。

 ゴボウはささがきに、大根はいちょう切りに、ニンジンは半月切りに長ネギは斜めに薄切り、こんにゃくは半分に切ってから薄切りにして、最後に豚バラ肉を一口大に切って包丁を置いた。

 青藍は自分の仕事が終わったのを聞いて、すぐに用意されたテーブルに向かおうとしたが、それを予期していたかなでに手洗い場に連れていかれた。


「おー、青藍ちゃん手つきがよくなってたね」

「もともとさばいたりするの上手だったから。私も頑張る」

「一緒に頑張ろうか。とはいってもやること自体は難しくないんだけどね」

「そうなの?」

「うん。重要なのは入れる順番かな」

「順番? 美味しくなるのに関係あるの?」

「あるよ。料理にとって入れる順番って結構大事な要素なんだよ?」

「そうなんだ!」

「それじゃあ、一緒にしてみようか」

「はーい!」


 もみじは料理を覚えるのが面白いのか真剣な表情ながらも終始楽しそうにしていた。野菜の灰汁取りまでしっかりと教えて、最後にみそを溶かし入れて完成した。


「あ、終わったの? お風呂の準備してたんだけど先にご飯ね」

「え!? お風呂の準備!?」

「近くの川からお水汲んできただけだから、お湯沸かしてないけどね。というか川が遠いから、近くから汲めるようにしましょうか」

「とはいっても何をするの? 自然破壊はだめだよ?」

「そうね、用水路でも作ろうかしら」

「用水路を僕たちだけで作るつもりかい?」

「出来ないかしら?」

「時間かければいけるだろうけど……、大人二人と子供二人じゃ厳しくないかな」

「楽できるなら頑張る」

「それじゃあ、少しずつやっていこうか? 正直な話、そういうのはテレビでやってるのしか見たことないから、手探りで調べながらやることになるんだけどそれでもいいかい?」

「少しでも楽できるなら頑張る。でも、用水路ってどうやって作るの?」

「その話の前にご飯食べる。お腹空いた」

「それもそうだね。食べよっか。みんな席に着いて」


 青藍はお腹が空いたのかお腹を押さえながらジト目で静人達を見る。話の続きはご飯を食べながらでも出来ると納得したのか、静人はみんなを席に着くように促して、席に着いたのを確認した後手を合わせる。


「いただきます」

「「「いただきます」」」


 手を合わせみんなで合唱したあとすぐに食べ始める青藍を見ながらさっきの話の続きを始める。


「用水路だけど木の板で道を作るかい? 正直すぐに壊れそうだからどうせならコンクリとで舗装したいけど」

「こんくり?」

「コンクリートって言って、なんというかすぐに固まる石みたいなものかな」

「そんなのあるんだ」

「でも、それを使うのって自然破壊につながりそうよね」

「そうかい? でも一応用水路がコンクリートなのも理由があるんだよ?」

「理由? 草が生えづらいとかかしら?」

「それもあるだろうけど、昔流行った地方病で日本住血吸虫症っていうのがあってね?」

「名前は聞いたことあるけど」

「百年ぐらい原因が分からなかった病気でね。その病気の原因が小さい貝なんだけど、その貝が地面に定着するのを防ぐっていう理由もあるんだ。詳しくは家に帰ってからネットで調べて」

「とにかく危ないのね?」

「ものすごく危ない。僕たちは普通の人間だから僕たちがここの水を使ったら感染する可能性もある。というか今更だけどここの川って生き物は住んでるの?」

「住んでるよ! たまに魚とか取りに行く」

「ここら辺の川でその小さい貝がいたって話は聞かないけど、一応安全のためにね」

「でも、コンクリートも高いでしょう? 作るのにもコツがいるって聞くし」

「そこらへんは頑張るしかないね。まぁ、コンクリ使ってもいいのならだけど」

「いいよ。どういうものなのか気になる!」

「それなら少しずつ作っていこうか。正直大変なんだけどね」

「頑張りましょう。私としてはあの道を往復させないといけないのはきつすぎると思うのよ」

「そんなにかい?」

「普通に往復するだけならいいけど、重い水を持ち運んでだと地面も凸凹してるから歩きにくくて転びそうなのよね」

「なるほどね。出来るだけ早く用水路を作ろうか。お金はあるし」

「あんまり使わないものね。貯めておくのもいいけど使って経済をまわさないとね」

「っと、もう食べ終わったね。ごちそうさまでした」

「「「ごちそうさまでした」」」

「今日は帰って、明日から少しずつ用水路を作ることにしようか」

「そうね。ちょっと早いけど今日は帰るわね」

「えー、はい。明日も来てね?」

「もちろん!」


 もみじはいつもよりも早く帰る静人達に残念そうな顔をしていたが、引き留めることはできないと思ったのか、笑顔で送り出すことにした。次の日、静人達は本屋で買った『簡単! 用水路の作り方』というどこで売ってるのか分からない本とコンクリを持ってきて、すぐに用水路工事に取り掛かった。



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