WHERE〜どこで間違えたんだ?〜
俺たちはダンジョンの内部をズンズン進んでいく。
「そういえば、お前の名前は?」
「僕ですか?僕は、ジュンって言います。」
「ジュンっていうのかー。いい名前だな!」
リュウはそういうと再び親指を立てて今度はウインクをした。
「っていうか、お前のスキルはなんなんだ?」
「僕のスキルは……。」
ふたりな間にしばし沈黙が流れる。
「じゃ、じゃあ、俺から言うぜ!俺のスキルは『オネスト』って言って、相手の状態を正直な能力値にするんだ。ちなみに、その能力値にはスキルが含まれてねえから相手のスキルも無効化できるんだぜー」
リュウは自慢げに自分のスキルについて語る。
「なるほどー。だからさっきもモンスターのスキルを消せたんですねー。」
そんなスキルがあるんだ。世界も広いなー。ん?モンスターがスキルを持っている?まさ
か……。
「あの……ここって何階層ですか……?」
「あ?何階層って、そりゃ50階層だよ。」
「50階層⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
僕は自分でも驚くほどの大きい声を出してしまった。
「おいおい、どうした?30階層にでも来てたつもりか?」
「いえ、僕は本当に30階層に来ていただけなんです。」
でもなんで?いきなり30階層から50階層に移動したんだ?
「確か、30階層には隠しルートがあった気がするぞ。昔の盗賊が30階層からいっきにぶち抜
いたとか。」
「じゃあ僕はそこを通ってきたということですか。」
「可能性としては高いかもな。」
そんな話をしていると僕たちはボス部屋に到着した。
「さあ、いくぜ。」
「は、はい!」
リュウは指をポキポキと鳴らすと扉に手を当てた。
「オープン!」
大きな扉が音を立てて開く。
「ここがボス部屋ですか。」
「そうだ、気を付けろよ。ここはポイズンのスキルを持ったボスだ。」
「ポイズン……。」
すると頭上から大きな音が聞こえた。
「きたぜきたぜ!ポイズンヌー‼︎」
ボスは僕たちの前に現れると大きな咆哮をあげる。
「なんか強そうですけど大丈夫なんですか?」
「ああ、大丈夫だよ。なんせ、俺がいるんだからな!」
リュウがボスに向かって駆け出す。
「ギャアアアアアアアア‼︎」
「元気だな‼︎いくぜ!」
ボスは口から紫色の液体を出す。おそらく毒だろう。
「へへ!オネスト‼︎」
リュウがスキルを発動さあせるとたちまち毒は浄化され水となりリュウに被さった。
「全く。おい!お前も参加しねえと何にも貰えねぞ!」
「分かった!」
でも、僕のスキルは今使えない。リュウが戦闘したのが無駄になってしまう。なら……!
「リュウ‼︎どいて‼︎」
「あ⁉︎分かった!」
僕はボスの前に立ち叫んだ。
「来い‼︎毒をはけ!」
「おい!何する気――」
「ギャアアアア‼︎」
ボスは僕たいして毒を吐く。リュウはスキルを使うが間に合わず僕はもろに毒を浴びてしまう。