FOR〜誰のために〜
初の異世界ものです。正直自信はないですが頑張ります。
「もうお前はクビだよ！二度とうちのギルドに顔見せんじゃねえ！」
「そんな、後もうちょっと時間をーー」
「お前にやる時間なんてものはねえよ！」
男はクビを言い渡した少年を蹴り飛ばし建物の外に出した。少年は痛そうに背中を摩っている。
「さっさと他のクラン探しに行きなさーい。」
男の隣にいる小さな女性が言う。
「おいおい、よせよ。こいつを拾ってくれるギルドなんてあるわけ無いだろ。」
別の男が笑いながらそう言う。
少年はその場に座り込み遠くからでも分かるほど歯を食いしばっている。
「そもそも、あんたみたいな雑魚スキル持ってるやつがうちのクランに入ることが間違いだったのよ。」
そう言われると少年はその場から走って逃げた。
「おいおい、イロハが言うから逃げちまったじゃん。もっといじめたかったのに。」
「それはごめんなさいねー。ソラのこと考えないでいじめちゃった。」
イロハはソラに身を委ねながらそう言う。
「はあ。ソラ、イロハ、早くハウスに帰るぞ。」
「「はーい。タツミ団長」」
3人は少年がいなくなると建物内に帰って行った。
クソクソクソ！何で僕はこんな目に会うんだ。
「はあ。はあはあはあ。」
心臓がバクバクと音を立てていることが分かる。僕は息を整えて再び歩き出す。
僕の名前はジュン。スキルはリバースって言って相手との立場を逆転させることができる。この説明を聞く限り強そうに見えるが正直「最弱スキル」の一つだ。
このスキルの使い方としては、まず自分に傷を負わせなければいけない。それも致命傷にならない程度の。その後スキルを発動させることで僕のダメージが割合となって相手に与えることができる。そして僕のダメージは相手の元のダメージと一緒の割合となる。要するに相手のダメージの割合と自分のダメージの割合を交換するのだ。
ちょっと分かりにくい説明だった思うけど、僕もあまりこのスキルについて詳しくは知らない。いや分からないのだ。
僕には家族がいない。一人っ子でお母さんは僕を産んですぐに亡くなった。そして僕が10歳の頃お父さんも病気で死んだ。
僕は家の前までたどり着き中に入り、荷物を置いてすぐにベットに横たわった。
お父さんは亡くなる直前に僕にある呪いをかけた。
「お前は……人の役に立て……！」
父は振り絞るような声でそう言った。今でもしっかりと覚えている。その後、僕は父の言う通りに自分なりの「人のために生きる」を実行した。しかし、結果は惨敗。どのギルドでもクビの宣告。「悪魔（この世界のモンスター）に対抗できない人間はギルドにいらない。」と耳が腐るほど言われた。
僕は天井を見つめ、手を前で祈るように組み質問する。
「僕は、誰のために生きればいいの？」
