国王の説明
「みなさん、お静かに願います。」
国王らしき人物が前に立ち、話始めた。
「私はこの国の国王をしている、カレス·バーツです。今回私たちは誠に勝手ながらあなた方を召喚させていただきました。実はこの国は今ものすごく魔物が増えているのですが、数だけでなく以前よりも凶暴になってきてるのです。魔王は数百年前に倒されましたが、今の状況は魔王がいたころか、へたすればもっと危険な状態なのです!もちろんただとは言いません、衣食住は必ず確保することを約束しますし、優秀な教官を手配させます。大抵の要望は叶えられるよう協力もさせてもらいます。」
予想通り国王、そしてこの対応は予想以上のものだ。よほどピンチなのだろう、国王ともあろう人がとても低い姿勢で頼んでくる。そりゃ、聞いた話だと国家の一大事になるような言い方だし、ここで断られたらかなり大変なことになるだろう。
この言い方には戸惑いを隠せないのか、はたまた混乱しているのか、クラスメイトは困惑の表情を浮かべている。
え、俺?帰る家もないし、誰か助けなかったらこの国滅亡するだろうし、受け入れようと考えていた。
焦りはない。どうやら俺は以外と冷静なようだ。
「そ、それを断ったら?」
クラスの奴の一人が言った。本当はわかっているのだろう。けど、顔に認めたくないと書いてあった。
「その時は、民の、貴族の、騎士の、農夫の···それこそ、国民全員が何らかの形で死んでしまうでしょう。失礼ながら、あなた達もいつかは···」
ゴクッ。誰かが息を飲んだ。国王の一言は(本人は無意識かもしれないが)脅迫同然だった。