あなたの傍に居させて
──────じゃあ、ずっと傍にいてよね
ふと脳裏に浮かぶ優しい笑顔、透き通る声。
右手に残るあの細い指と温かった温もり。
──────約束、だからね……
いつだって思い出す。いつの日も忘れない。
あなたがくれたかけがえのない宝物。
あなたと出会ったのは、私がまだ社会人に成り立ての頃。
────私は新人であなたは先輩社員。
時に怒られ、時に共に笑って……一緒に仕事していくうちに自然とあなたに惹かれていました。
そんなある日、私は思い切って告白をしましたね。
目を大きく開いて驚いていたあの顔は今でも笑いが止まりません。
ですが、私はあなたの手を掴んで────
『一生涯愛します! 私と結婚してください!』
当然、大勢の人の真ん中で愛を叫ぶのは些か夢を見過ぎていたのは確かです。
はっ、と我に帰った途端、一気に冷や汗が背中と顔から滲み出るように溢れてきました。
玉砕覚悟……いえ、自殺覚悟。遺書すら胸ポケットに仕舞い込んでいました。
『──────はい、こんな私でよければ』
言葉に出来ないほどの嬉しさが溢れた。
思わず私は泣いてしまって、幼少期以来の大号泣。
後にテレビニュースで報道されてしまったのは一生の思い出です。
それからというものの、あなたと過ごしていく日々がとても何ものにも代え難い思い出でした。
映画、遊園地、レストラン……他にもいっぱい思い出したら明日が来ても語っていられる自信があります。
だから────お願いします。置いていかないで。
私の料理を初めて美味しいと言ってくれたあなた。
私が優柔不断だから、何かと前を歩いてくれたあなた。
私が人生で初めて愛したあなたを失いたくない。
あなたがいないと食事も、水も口を通らない。
いつも笑っていたあなたの笑顔が見たい。
新人だった頃の私みたいにまた怒って欲しい。
「もう一度でいいから……笑ってください」
『────じゃあ、一生涯愛すなら……ずっと傍にいてよね』
『はい! 約束します!』
『────約束、だからね』
あなたの傍にいさせて、ください────
まずこの短編小説及び処女作をご愛読していただき誠にありがとうございます。
初心者故に至らぬ点やわからないこともわからないものですので、どうかコメントの方をよろしくお願いいたします。
改めてご愛読していただき誠にありがとうございます。