表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな少女の異世界記  作者: ナトセ
8/29

荷物確認と今後の目的

くるるる、きゅ~~~

くぅ~、きゅるるるる



二人でしばらく笑っていると小屋の中に二人のお腹の音が鳴り響く。

その音を聞いた二人は無言で向かい合い肯く。


「そういえば食料の確認をしようって話してたんだよね。本当はシャルの話を聞いてすぐに始めようと思ってたのに大賢者さんの仕込みですっかり忘れてたよ。」


「はい、わたしも同じなのです。まったく、本当に大賢者様はイタズラがお好きな方の様ですね。些細なものから大掛かりなものまで、まだまだいろいろとありそうなのです。」


「そうだね。あの時送られた情報も膨大だったけど大賢者さんの知ってることのほんの一部だったみたいだしね。まあ、過去の人の事だし考えてても意味はないかな?せいぜいその時その時で呆れたり驚いたりするくらいだね。・・・・・じゃあ早速だけど食料の確認をしていこうか。とはいっても細かくやると日が暮れそうだから簡単にね。」


「はいなのです。」


「うん、じゃあまず食料をしようか。まずなんだけど『収納庫アイテムボックス』を付与した魔道具っていうのはいろいろと種類があるらしいね。」


「はい、そうなのです。種類の分け方は多々あるですが大まかに分けると収納量、内部の時間の経過速度、そして機能性なのです。」


「で、この指輪に付与された『収納庫アイテムボックス』は収納量としては無限、時間経過はなしのものらしい。容量についてはいくら入れても上限がなかったらしいから不明といった方がいいかもね。そしてあとは機能性なんだけど、前に言ったように指輪同士の共有機能とそれに加えて使用者の意志に反応してほしいものを任意の場所に出してくれるタイプらしいね。だから・・・ん、これだね。こんな風にできる。出す場所を意識しなければ手元に出てくるみたいだね。」


と、説明していたカムイの手元に空間が歪み、それが収まると手のひら大の板が現れた。


「はぁ~~~、確かにこれは大賢者様の作ったものと聞いたですが、そこまで非常識な物だったのですね。わたしの聞いた話ですと世間に知られている最高のものは容量が最大であの城の一つ分ほどで、時間経過が十分の一だったのです。機能に関しては手元に送ってくれるタイプで、それ以外の場所には出せない物らしいのです。大賢者様の作ったものはそれすらも凌駕しているのですね。」


「うん、それともう一つ。これは機能と呼べるかはわからないけど、この板も指輪と連動しているみたい。」


「へ?その板もですか?それは何のためのものなんですか?」


「この板はそうだねぇ、簡単にいえば『収納庫アイテムボックス』の中のものを確認できる魔道具とでもいえばいいのかな?指輪の機能と似たようなものがついていてこの板を持って調べたいものやそのジャンルを思い浮かべればこの板にそれが記されるらしいね。詳しい使用法は板の裏にこんな紙が付けてあったからこれ読んでね。説明書だって。同じ板が何枚か『収納庫アイテムボックス』にあるみたいだからシャルも出してみて。ちなみにこの板の魔道具名は〔リストボード〕だって。」


そういってカムイはシャルに説明書を手渡す。

シャルはそれを受け取るとカムイの言ったとおりに『収納庫アイテムボックス』の中から〔リストボード〕を取り出してみた。


「シャルも〔リストボード〕を取り出したところで早速中身のの確認をしようか。じゃあまずは食料からだね。」


「わかったのです。」


そして二人は『収納庫アイテムボックス』の中身を確認していく。

まずは食料。これは保存食のようなものが一週間分。ほかにも果物や野菜も入っていていくつか取り出してみると確かに内部は確かに時間が止まっていたようで新鮮な状態であった。新鮮な肉や魚は入っていなかった。ただ保存食に大賢者からの手紙が添えられており、そこに肉や魚が入っていない理由が書かれていた。曰く、旅をするなら肉や魚はいずれ自分で狩りをする時が来るから、その時まで待つのではなく今から自分で狩りをして食材の確保を覚えることとあった。この手紙に書かれていることに従うも従わないも自由だったが、二人で話し合った結果手紙に書かれたことももっともだったため翌日からできる限り狩りを行うことにした。

調理されたものを取り出して二人で食べた後、他のジャンルのものも確認していく。

収納庫アイテムボックス』の中には本当に様々なものが入っていてその確認のみで夜遅くまでかかってしまうのであった。


あまりにも大量にあったため一つ一つ詳細を確認することもできないので、それは追々使うときになったら紹介するとして目についたものから確認していく。正直なところ『収納庫アイテムボックス』に入っている物の約半分が国宝級以上の代物であり他人に知られると命を狙われる可能性のある物ばかりであったため基本は『収納庫アイテムボックス』の肥やしとなり日の目を見ないことになりそうではあるが。それだけ大賢者の収集した物は桁外れの物が多かったのであった。


まずは装備関連から二人の主に使うであろう武器を代表として一つ目は一対の手甲。これは一種の魔道具にもなっており名称は〔可変式武具フレキシブルウェポン〕。見た目はかなりシンプルな手甲であり、魔力を通しやすく籠めた魔力の分強固になる素材で作られているためそのまま殴ることに使えるものであった。しかしその真価は他にあり、それこそ名前にもある可変式機能である。これは魔力を流して念じるだけで装着者の望む武装に変換できる機能であってあらゆる武器を扱うことのできるカムイにはもってこいの武装であった。これも国宝級の代物ではあるのだが見た目からは普通の手甲と変わらず、他の武器に変換している所を見られなければ問題はないということであったため今後のカムイ用の装備になる予定である。


二つ目は一本の短槍のようなものであった。というのもこの武器の本来の使用方法は魔力を扱う際の補助である。要はこれは槍型の杖である。穂先はアダマンタイト製で、柄の部分は魔力の伝導率の高いミスリルでできていて、魔石を取り付けるくぼみが二つ空けられていた。穂先も柄の部分も別の金属で周りをコーティングしてある為人目についても問題のなさそうな見た目であった。

魔石とは魔力が凝縮し結晶化したものであり、鉱山から採掘できることもあれば、魔獣の心臓が魔石化していることもある。ちなみに一つの属性魔力を多く内包している魔石は属性結晶と、それ以外を魔結晶と一般的に呼ばれている。主に魔道具の動力として使われることが多く、また属性結晶は魔法や魔術を強化する効果を持つため杖などの素材に使われることもある。

この槍のくぼみは石突と穂先に近い部分にあり、石突に魔結晶を取り付けるとそこに刻まれた軽量化の魔法陣が起動し、穂先に近い部分に属性結晶を取り付けるとその属性の魔法や魔術を使用する際の強化され、かつ槍での攻撃にその属性の魔力が付与される仕様であった。魔結晶も取り付けることはできるがその場合は強化はなしで槍の攻撃に魔力そのものが付与されるだけの様である。

シャルは元々魔術主体の戦い方が主なようでこの短槍はシャルが使うことにする。ちなみにこれの名称は〔魔導槍マギステルスピア〕であった。


次に魔道具からで一つ目は鑑定用の魔道具である。これは二種類入れられており、一つはある程度の魔道具の鑑定が可能な物。ただしこれはある一定以上の偽装をかけられている場合鑑定できないらしく、先ほどの二つの武器などの大賢者作の物や国宝級以上と称された品々は鑑定できなかった。もう一つはブレスレット型の魔道具でこれを身に付けていると使っている武器の特殊能力がなんとなく理解できるものであった。これは大賢者の作成したものらしく、さきの魔道具と違って詳細まで鑑定はできないがその分どんな物でも理解できるようになった、主に戦闘中の使用を考慮した仕様になっていた。前者は一抱え程の大きさで一回の使用毎ににそれなりの魔力を消費するが、後者は能力を制限した結果少量の魔力も微々たるものになっていた。どちらも一長一短ではあったがカムイもシャルも道具関連は実際に使うことができるかどうかが重要と考えていたため後者の魔道具の方が魅力的に映っていた。まあ要は二人ともそこまで細かいことを気にする性格ではなかったのである。


二つ目は人工の魔石を生成できる魔道具。これは大賢者が考察した魔石の生成の条件をもとに作られた魔道具で、人工の魔石は天然の魔石よりは魔力の純度は低いが一定の形で生成されるため加工の必要はなく安易に使いやすくなっているようであった。〔魔導槍マギステルスピア〕にもはめ込むこともでき、実際に生成されていたものをはめ込むと、石突用の魔石は問題なく使用可能。穂先のくぼみにはめた場合天然物よりは少し付与される魔力量は減るがこちらも問題らしい問題はなく使用することができたため当分の間は魔石の残量に考慮せずに使うことができそうであった。


他にあったものと言えば、生活を便利にできそうなもので水を出す魔道具、携帯コンロの様な魔道具、魔術、魔法について書かれた魔導書はじめ薬の調合法、各ジャンルの図鑑などの書物類、オリハルコン、アダマンタイト、ミスリル、ヒヒイロカネの四種の神聖金属をはじめとした各種鉱石類、世界樹の枝などの各種植物類、動物素材以外のほとんどがある程度の量入れられていた。


これらを確認しながらカムイはこれからどういう生活をしていくか考えていく。

この世界に来た第一の目的はシャルを城から助け出すことで達成できた。あとはシャルに城の外の世界を見せながら旅をするだけである。

第二の目的は自分自身が楽しむこと。カムイが中津流を習い始めてから九年ほど彼女は自分を鍛えることが第一であった。自分より強かった者を超えるために自分を鍛えたり、あらゆる策を弄して勝った時彼女はとても嬉しかった。それ自体に楽しみを感じていた。だから彼女は自分自身を向上させる手段があれば様々な特訓を行った。それが九年で中津流戦術極伝を修めるという結果である。そして彼女に適うものは元の世界ではいなくなってしまった。そもそも中津流戦術の中伝以上の者は一騎当千の力を持つとも言われていた、その最上級である極伝修得者に適うものは同じく極伝を修得した者一人か戦術皆伝修得者三十人がかりでやっと互角になるのである。そんな世界最強と言っても過言ではない彼女にとって元の世界は平和すぎた。極伝修得後、しばらくの間彼女はさらに強くなるために今まで通り様々な相手と対峙していたが何も成長できないどころか極限まで手加減しなければ十全に勝負ができなくなり一つの結論に至る。

この世界ではもう自分は強くなることはできないのではないかと。そういう結論に至り、それでもさらに強くなることを諦められずただ漫然とした月日を過ごしていた時この事態に遭遇したのだ。

そしてこの世界に来てすぐに感じることになる。この世界にはまだ無数の戦いにあふれていると。

さらに強くなることができると。もっと楽しむことができると。これがこの世界に来た第二の目的。

第三の目的に強くなることのほかに自分の楽しめること、シャルも楽しめることを探すこと。今後カムイはシャルと行動を共にする。それにあたり戦い強くなることだけが楽しみなことになるのはシャルに悪い気もしていた。そのため自分の、そしてシャルの楽しめることを探していろいろとやってみようと思っていた。


そう考えているとシャルがカムイをのぞき込んで聞いてきた。何を考えているのかと、それに正直に言ってみるとシャルは笑って返す。


「それはいい考えなのです。カムイさんもわたしも楽しめることが見つかるといいのです。」


「そうだね。でもそれをするにはいろいろと旅をすることが一番手っ取り早いけど、それにも路銀や投資、それを稼ぐ仕事が必要になると思うんだ。だからその仕事をまずはどうしよっかな?って思ってね。」


カムイがシャルにそう答えるとシャルは目を輝かせながら提案を口にした。


「カムイさん、それならいい仕事があるのです。それは・・・・冒険者なのです。」


「冒険者?う~ん、あの冒険者でいいのかな?ライトノベルとかで出てくるやつ。(ボソッ)一応どんな仕事か教えてくれる?ボクの知っているものと違うかもしれないし」


「はい、わかったのです。冒険者というのはですね・・・・・」


そして『収納庫アイテムボックス』の確認をしながらのシャルによる冒険者についての講義が始まった。

誤字脱字などありましたらご指摘お願いします。


可変式武具フレキシブルウェポン〕についての説明を少々修正

カムイのメインウェポン➝カムイ用の装備

いくら見られないようにとは言っても人が多いところでは使いにくいかなと思ったからですね。

人の多いところでは『収納庫アイテムボックス』にある武器を、仲間内や人のいない所、緊急時に使う形でいく予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ