依頼の受注
「ちょっと仲間にも聞いてみるので待ってもらえますか?」
と、受付嬢の問いかけに答えたカムイは後ろにいるシャルとクルルに尋ねる。
「こんな依頼なんだけど受けてもいいかな?二人はどう?」
「う~ん、それがカムイ姉さんの選んだ依頼なんですね?クルルはどう思うです?わたしは決まっているのです。」
「たぶんクルルもシャル姉と同じような答えなの。なんなら一緒に答えてみるの。」
「そうですね。せ~のでいくです。せ~の」
「その依頼でいいのです。」「その依頼も受けるの。」
どうやら二人は答えをすでに決めていたようでカムイに向きあったまま声を合わせて答えた。
カムイはその答えを聞き受付嬢に向き直る。
「うん、受けさせてもらいます。その詳細について教えてください。あと、この二つの依頼も受けるこでこれも受注処理と説明をお願いします。」
「はい、こちらもですね。承りました。では、処理をしながら説明しますね。」
三人はそのまま、受ける依頼の説明を聞いていく。
シャルとクルルの選んだ依頼に関しては内容そのままである。
追加事項として依頼主の名前と詳しい住所の記された紙を渡される。
これがギルドを通して受注したという証明書にもなるとのことであった。
カムイの選んだ依頼についても説明をされる。
これについては他のと違って細かく説明される。
詳しい内容は以下の通り。
まず、依頼主の家族構成は母と依頼主の姉妹(八歳と六歳)の三人家族。
依頼主の母親が病にかかり最低でも一週間は安静にしていなければならない為、子供達が家事をしようとしたが、母親の看病もしなければならない為、二人だけではほとんどできなかったので冒険者ギルドに依頼を出したとの事。
手伝いとは書かれているが、詳細は記していない為、依頼主と相談して何をするか決めること。
報酬に関しては追加の可能性があるが基本このまま。ただし、その分ギルドへの貢献度が他の依頼よりも多くもらえるとのことであった。
そして説明後、この依頼の証明書をもらった。
「ふむ、要は依頼主との相談次第では何をやってもいいってことですよね?あと、報酬に関しては期待しない方がいいけど、その分昇格しやすくなるってことですか?」
「その通りです。」
「わかりました。ではこれで受注完了という事でいいですね。あ、ちなみにこういう依頼ってその日のうちに消化しきれなさそうな場合ってどうするんですか?期限のある依頼とかもありますし、Gランクなんかは当日期限なんかも多いみたいですし、それを受ける人がいなかった場合って依頼主が困るかもしれませんよね?」
「ああ、それはですね、いくつか対処法があったりします。まず、Fランク以上の依頼は主に対処できる冒険者に直接紹介します。とはいってもほとんど強制依頼に近いですが、その分貢献度が高く設定されていたり、ギルド側から追加報酬があったりします。次にGランクの依頼ですが一部に関しては受注いただかなくても回っていきますね。依頼主もあわよくば受けてくれればという感じですし。それ以外で受注の必要性があるものは冒険者に回すというのもありますが、基本的に翌日に非番のギルド職員がその依頼に対処しますね。職員も元冒険者だった人もいたりしますし。」
「へぇ、それなりにしっかりとしたシステムはあるんですね。」
「はい、とはいっても町によってそういう依頼の扱いも違ったりするんですよね。この町は大丈夫ですがギルドマスターの性格が悪い町のギルドに行ったときは気を付けてくださいね。最悪達成できなさそうな依頼なんかも回されかねないので。」
「なるほど、参考になります。この町である程度ランクを上げたらいろいろと旅をしてみるつもりだったのでそういう情報はとても嬉しいですね。っとそろそろ行きますね。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」
カムイはそういうと二人を連れてギルドを出ていくのであった。
「よし、じゃあ早速だけどシャルとクルルの選んだ依頼を片付けちゃおうか。その後にボクの選んだ依頼に行くよ。」
「え?カムイ姉さん、それはなんでです?どれも近隣の依頼の様ですし同時に受けたほうが早いのではないです?」
「そうなの、もしカムイ姉の選んだ依頼で外に出ることはなくても三人なので一人は他の依頼に行けばいいと思うの。」
「う~ん、それも出来なくはないんだけどね。もしそうなったら誰が行くの?」
「カムイ姉さんかクルルです。」「カムイ姉かシャル姉なの。」
「あ~、やっぱりね。たぶん二人とも自分一人ではできないだろうから自分以外にってことなんだろうけど、まあここはボクが行くとしよう。その場合、二人はどんな内容でもできる?掃除だけ、洗濯だけとかなら出来るかもしれない、けどたぶん料理なんかもあると思うよ?それにボクがいないうちにぼろが出るような発言をしないって言いきれる?」
「「あ・・・。」」
「うん、考えてなかったみたいだね。だからまあ、最初に比較的簡単にできそうなものを三人で受けて、そのあとやろうと思ったんだよ。」
「あぁ、なるほどなのです。」
「確かにクルルもシャル姉も、料理はあまり得意ではないの。」
「二人ともわかった?じゃあ、気を取り直していこうか。」
三時間後、三人は何事もなく依頼を達成する。
「よし、これで二つとも終わったね。」
「はいです。それにしてもそんなに苦労もせずに達成したですね。これもGランク依頼だからですかね?」
「そうかもしれないの。Gランクは十歳以下の見習いもいたから、そんなに難しい依頼はないと思うの。」
「いや、それもあるだろうけど、たぶんこの二つの目的地が意外と近かったからじゃないかな?パンの配達先が市場だったから買い物の依頼も配達がてら出来たしね。たとえばこれの目的地が町の端から端までだったらもう二時間くらいはかかってたかもしれないし。次からはそういうのも確認しておいた方がいいかもね。」
「なるほどです。」
「確かにそうなの。」
「まあ、その辺りの反省についてはあとにするとして、次の依頼だけどこの家だね。」
二つの依頼を終えて話しながら歩いていた三人は次の目的地についていた。
カムイは左右の二人を確認するとドアをノックして声をかける
「ごめんくださ~い、こちらの依頼を受注したんですけど誰かいますか~?」
「は~い、今行きま~す。」
そう声が聞こえたので三人はそのまま待つ。
家の中から走ってくる音が聞こえ、内側からドアが開けられ少女が出てくる。
「お待たせしました~。えと、冒険者さん達ですよね?」
「はい、そうですよ?とりあえずコレ、受注証です。」
カムイはそう言って受注証を少女に差し出した。
「あ、うん。確かにそうです。じゃあ、依頼について確認し・・・するのでこっち・・じゃなくてこちらに来てください。」
「はい、わかりました。シャル、クルル、行こうか。」
「はいです。」「はいなの。」
カムイ達は少女の先導で家の中に入っていく。
「えっと、こちらに座って・・・ください。」
「はい。っとその前に一つ良いかな?」
カムイ達を案内して椅子をすすめた少女にカムイは今までと口調を少し変えて尋ねる。
「え?あ、はい、なんで・・・何でしょう?」
「えっと、とりあえず普段通りに話してくれていいよ?何だったらボクも口調を普段のに戻すしね。」
「は、はい・・・・じゃなくてうん、わかった。こんな話し方だけどいいの?」
「うん、それでいいよ。」
「よかったぁ。どんな人が来るかわからないから考えて話してたんだけど難しくて。それであってるのかもわからなかったし。」
「大体は良かったかな?ちょっとぎこちなかったのはあるけどね。話の腰を折っちゃってごめんね、さあ、本題に入っちゃおうか?内容次第ではすぐに始めたほうがいいかもしれないしね。」
「うん、じゃあ話すけど。はじめにわたしは依頼を出したローラって言います。内容っていうのは依頼の通りなんだけど、最初から話した方がいい?」
「うん、その方がいいかな?何をするにも知ってることが多いほうがいいしね。」
「わかった。最初はわたし達はこの家にお母さんとわたし、妹のソーラの三人で暮らしていたんだけど一昨日からお母さんが体調を崩しちゃってお医者様に見てもらったら過労っていうので動けないから短くても一週間は休まなきゃいけなくなったの。その日はお母さんが家の事全部やっていたからいいんだけど、昨日からはわたしとソーラの二人でやらなきゃいけなくて・・・。一応お料理はお母さんの手伝いをしてたから簡単なものはできたんだけど、それ以外は全然で。これが一週間も続くなんて思ったら怖くなっちゃって昨日冒険者ギルドに依頼を出したの。」
「なるほど、そういう事ね。じゃあ、早速だけどボク達が何を手伝うのを決めてっと行きたいけど一応お母さんと妹さんにあいさつをしてもいいかな?家に上がり込んじゃってるわけだしこれからいろいろと動き回っちゃうだろうしね。」
「うん、わかった。お母さんに聞いてみるからここでちょっと待ってて。」
そういってローラは家の奥へ消えていった。
「ふう、シャル、クルル、予想はしてたんだけどこの依頼、たぶん時間がかかりそうかも。」
「そうなの?」
「え?なんでです?」
「まあ、なにをするかは受けた人によって違うし、人によってはただ手伝うだけで終わるかもね。でもボクとしてはちょっと見捨てられなくてね。それに妹さんもいるって言ってるし。だから最低限できるくらいの事は教えておきたいなって。そうすれば今後はあまり困らないでしょ?ただ、その分時間も取られるし、報酬もないかもしれないから二人にも言っておこうと思ってね。」
「なるほどです。わたしは構わないです。元々カムイ姉さんに助けられた身なのです。今度はいっしょに他の人を助けるっていうのも良さそうなのです。」
「クルルも同じくなの。」
「そっか、良かった。じゃあ、できる限りのお節介を焼いちゃおうかな?二人も何かあったらよろしくね。」
「わかったです。」「わかったの。」
カムイは二人の同意を得ることが少し安心する。カムイの考えていたことは少しというよりかなり時間のとられることだったし、報酬も期待できないというのは事実だった。その時間があれば今日みたいな依頼をやっていれば少しでもお金が手に入るのにその分を二人にも無駄にさせてしまうことを少しだけ気に病んでいたのだった。
そんな感情を表には出さず、カムイは続きを話す。
「とまあ、そんなわけで手伝いは元から確定していたんだけど、掃除、洗濯、料理で二人は何ができる?場合によって買い出しとか看病とかも含まれるかも。」
「何がですか・・・。一応、掃除なら出来ると思うです。ただ他人の家なので指示がないと厳しいですが。」
「クルルは料理以外ならある程度できるの。お母さんとか他の人にも教えてもらったことがあるの。」
「ボクはどれもある程度までできるから、あとは相談の結果次第かな?あ、あと報酬なんだけどお金じゃないんだけど少し要求しようと思っているものがあってね。」
「え?何するです?」「なにをするの?」
「うん、あの子たちに町を案内してもらおうかと思ってね。ほらテスラと同じように地元の人間みたいだから面白いところ知ってそうだしね。」
「確かにそうですね。」
「名案だと思うの。」
パタパタパタ
「おまたせ。お母さんに聞いてきたらぜひ会いたいって。」
と、そこまで話したところで奥の方からローラが戻ってくる。
「うん、じゃあローラ、案内お願いね。」
「わかった。こっちだよ。」
こうして三人はローラに案内され、家の奥へ行くのだった。
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