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前世の話1

しばらくは転生前の話になります。


ボクは世間一般でいうお金持ちと言う部類に入る家庭に生まれた。


体重3020グラムの元気な男の子として生まれたボクは保育園に入りすくすくと育ち小学校受験をして名門と言われる私立○○学校に入学。そしてそのまま中学生になりそして難関と言われる私立**高校に合格した。


ここまで聞けば『なんだテメー?自慢か?』と絡まれることだろう。


そしてボクの人生を狂わせた事件が起きたのは高校生として制服を着た初日。


ボクはその日、制服をちゃんと着て片手に学校指定の鞄を持った。


「行ってきます!」


そう言って自宅から最寄りの駅までの徒歩5分の道のりを歩き、準急の6両編成の列車の3両目に乗り込んだ。


『扉が閉まります、ご注意ください』


列車の中は人でぎゅうぎゅう詰め。

もちろん椅子など空いてるわけもない。


そんな中ボクは呑気に5駅過ぎるのを待とうと思い片手でつり革を持ち窓から見える外の景色を眺めていた。


『扉が閉まります、ご注意ください』


ボクが高校生活を過ごす予定だった高校は俗に言うお嬢様とかおぼっちゃま向けと言われる所だ。


だからだろうか、ボクが狙われたのは。


『扉が閉まります、ご注意ください』


そして乗り込んで着たのは赤いミニスカートを着た女性だった、ような気がする。


髪は茶色でそれなりの美形。


とは言ってもボクはそんなに興味は湧かない。

むしろ離れたいくらいだった。


なぜなら香水が臭いから。

それに化粧もちょっと濃い。


それでもボクは香水の匂いを我慢していた。


『扉が閉まりますご注意ください』


電車は進む。

ボクは窓の外をボーと見ていた。


電車が減速していく。

ボクが降りる予定の駅だ。


ボクが降りる予定の駅に電車が停止する少し前ボクの鞄を持つ手が突然握られ、そして上に上げられた。


「痴漢です!」


……この人は何を言っているのだろうか。


なんで周りの人達はそんな冷たい視線をボクにぶつけるのだろうか。


そして電車の扉が開く。


「ちょっと!こっち来て!」


ボクは何が何だかわからないままに香水がキツイ女の人に連れられ駅長室まで連れられていった。


握られた腕はアザになっていた。


「痴漢なんです!この人が私のお尻を触ったんです!」


女の人は少し涙ぐむような仕草で同情を誘っているのだろうか。

そんなことを駅長さんに言っている。


駅長さんは何故かやれやれといった様子でボクを見ていた。


「キミ、名前は?ご両親の連絡先は?」


駅長さんはボクを疑っているらしい。


「ボ、ボクは何もやってません」


「嘘を言わないでっ!この変態っ!私のお尻を触ったくせにっ!」


女の人は凄い剣幕でボクにナニカを言っている。


「まぁまぁ、落ち着いて。警察の人がもうすぐ来るから」


駅長さんは女の人をなだめている。


警察?なんで?ボクは何もしてないのに?


そしてしばらくすると2人警察官がやってきた。



ーーーーーーーー



そしてボクはよくわからないまま自宅謹慎になった。


両親はボクがやっていないということを信じてくれた。


そして1日か2日が経った頃相手側から示談の申し込みがあった。


ボクの両親はそれに応じた。

けどボクの両親はその女の人を調査し始めた。

ボクのことを信じて。


ボクは嬉しかった。


ボクの両親は持てる伝手を全て使ってその女の人を調査した。


すると過去にも8件ほど同じような痴漢事件で示談をしていたことが発覚した。


それを警察の人に言ったがボクがやっていないという証拠にはならなかった。


ボクの両親は結局、示談金を払うことにした。



ーーーーーー


謹慎明け。

ボクが登校すると冷たい視線をみんなから浴びせられた。


何もしていないのにいじめが始まった。


話しかけようとしても無視される。

当たり前のように飛んでくる罵倒の言葉。

ヒソヒソと聞こえるボクの悪口。

空気のように扱われたかと思えば汚いもののように扱われる。


とにかく、その全てが見えない形で行われた。


だから証拠がない。


孤独。疎外感。


ツライ、とにかく辛かった。


ツライ。もうどうしていいかわからなくなった。


ナンデ?ドウシテ?誰に聞けばいいかも分からなかった。


先生に相談しようと思ったけど先生達もみんな同じ目をしていた。


絶望した。


それからすぐボクは学校に行くのをやめた。


近所の人も同じ目をしていた。


ボクは家から出れなくなった。


外が怖い。みんな敵だ。



ある日ボクは両親が泣いているのを聞いた。


もう嫌だ。なんでこうなったのかわからない。



そんな中迎えたボクの誕生日、ボクの両親はパソコンを買ってきた。


誕生日は全然嬉しくなかった。

家族みんなが笑えなかった。

みんな表情が消えていた。



それからある日両親があの女を裁くための証拠を掴んだと、珍しく声出していた。


そして次の日両親は二人とも死んだ。


その場には女が冤罪を罪のない人々に着せて示談金を次々と騙し取っていたことに関する資料が散らばっていたそうだ。


おそらく謝罪を求めに行ったんだろう。

場所は高級マンションの一室。



そこでお母さんは首を、お父さんは心臓を


包丁で刺されて死んでいた。



ボクがそれを知ったのは両親が死んだ3日後。


誕生日プレゼントでもらったパソコンで知った。


あとボクの両親を殺したその女は逃走している途中にトラックに跳ね飛ばされて死んだらしい。


ボクは誰に復讐すればいいんだろう。



遣る瀬無い気持ちのまま久しぶりにテレビを付けるとそこにはその女の夫と娘が写っていた。



ボクは裁判を起こした。

過去に事例のないほどのスピードで裁判は進み全面勝訴。


その女の家族は自己破産した。




ボクの手元には莫大な量の慰謝料と両親の遺してくれた家そして莫大な量の両親の保険金だけが残った。



それからボクは無気力に時間を過ごした。

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