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腐った国、腐った兵士

ボク達はまず奴隷の位置を確認することにした。

クーデターを起こす際に隷属の首輪を一斉に破壊して混乱を起こさせるつもりだからだ。


だけど混乱を起こせば少なからず奴隷の人たちは殺されてしまうだろう。

だからそれを防ぐためにも位置を確認しておかないといけない。正確にいうなら奴隷の人たちに魔術的なマーキングをマーリンがする。

そして隷属の首輪を破壊と同時にマーリンが防護魔法を使う予定になっている。


それと同時にこの国から出て行った外の集落に住まう人々がこの国に流れ込みこの国の女王を討つ、そんな計画だ。


外の集落の人たちをボクが説得できるかわからないけど外の集落の人たちを説得しないことにはこの計画は始まらない、でも獣人の女の子の妹達には時間がない……これはボクの努力次第だろう。


策は練った、でもボクの考えだとまだ足りない。

クーデターを起こしても、おそらく国の兵士たちに負けて女王のもとにすら辿り着くことは出来ないと思う。


だから内通者と協力者も必要だ。


……やることが多いけどまずはすべての奴隷にマーリンがマーキングをつけることが先だ。

あとのことはそれから考えよう。





あれから6時間が経った。

街中を気配を消して猛スピードで巡りマーリンがどんどんマーキングをしていく。

今は大体昼の3時頃だろうか?獣人の女の子の妹達は確かあと1日半で殺されるらしいから早くしないと。


「君、君の妹達の場所へ私たちを案内なさい」


未だに偉そうな口調でボクの心にダメージが入るけど今はそんなことを気にする場合じゃない。


でもクーデターの為に彼女の妹達を助けるわけにはいかない。クーデターは奇襲のようなものだから警戒されれば、ほぼ確実に失敗する。


だからこの女の子には悪いけど妹達をすぐに救うわけにはいかないんだ。


「こっち、ついてきて」


彼女はボクが妹達をすぐに助けないと知らない。

申し訳ないけど案内だけしてもらうつもりだ。

マーリンのマーキングもするし獣人の身体能力ならおそらくこの国の外まですぐに逃げることができるだろう。


彼女についていくと城のすぐ脇にある物置小屋のような建物が見えた。


「ここは、城の奴隷が全員入ってる。ここから城にも入れるけどそこは兵士たちがいるし武器庫も近いからここからは入れない」


へぇ、武器庫が近いのか……これは使えるな。

そうなると奴隷にはここから思いっきり離れてもらって兵士を誘導してもらわないといけないな。

……いや、待てよ?防護の魔法があるなら奴隷達が武器を持てばここに兵士が集まるから正門がガラ空きになるはず……


とりあえず女の子についていく。


「私の妹達はここにいる……待って、多分兵士がいる」


女の子が物陰に隠れる。

ボク達も物陰にすぐ隠れた。


すると野太い男達の声が聞こえてきた。


「あぁー気持ちよかった!お前ら最高の娼婦だな!」

「あぁ全くだ!ほら今回の報酬だ。ありがたく食えよ」

「肉が落ちた女なんて抱きたくないからな!」


ハハハ!と男達が笑う


すると階段を駆け下りるような音とともにおっさんが走ってきた


「お前ら何をしているっ!」

「げっ……隊長」

「げっとはなんだっ!お前ら早く修練に戻らんか!」


「「はいはい、隊長」」


「あーいい気分が台無しだ」

「全くだ」

「隊長は石頭なんだよ」


兵士たちは愚痴を言いながらズボンのベルトを締め、城へと続く通路は入っていく。


「あいつらは全く……お嬢ちゃん達も大変だな、俺は奴隷なんて嫌いだし今のこの国も嫌いだ、だが先代の王の愛した国を見捨てることも出来なくてな……どうしようもない愚痴を聞かせてしまったな、すまない」


隊長と呼ばれたおっさんも城の方へと消えて行った。


「サイテーだな……」


ボクの口から思わずそんな言葉が漏れた。

獣人の女の子はショックのあまりか地面に座って目には涙を浮かべている。

少しすると彼女の妹達と思われる声が聞こえてきた。


「あぁ最悪…避妊の魔法だけ覚えておいて助かった……これで飯が足りるな。というかあの隊長も口だけじゃなくて行動しろよ、『大変だな』じゃねぇーよ!」

「隊長さんは悪い人じゃないんだろうけど『大変だな』はない。おっ結構今回は量が多いよ。お姉ちゃんの分まで余るかも」

「それにしてもあの下衆ども、ほんと毎日毎日来やがってサルかよ」

「でもお姉ちゃんがこんな目に合わなくていいから……できれば私もこんなことされたくないけど」

「そうだな……私もそうだけど、お姉ちゃんがいつかここから出してくれるからまだ耐えれるな。つーかくさっ。はぁ、あいつら……カピカピになるから綺麗な水くらい欲しいな」

「あー、水魔法覚えておけばよかった……」


……こんなに嫌な思いをしてるのに家族思いなんだな。

女の子もすごく泣いてる。


「マーリン、マーキングは?」

「この国の奴隷全部もう済んでる。どうするマスター?」

「外の集落に飛んでくれ」

「了解だ」


1秒でも早くあの子達を助けないとダメだ。


この国は国も兵士も腐ってる。

兵士は罪のない人々を食い物にしているし、人攫いが堂々と町を練り歩いている。

人殺しも見逃されているし、町の中で獣人の人が血だらけで倒れていても誰も気にしない。


市民の人は大体が見て見ぬ振りをしている。

いや、見て見ぬふりしかできないのだろう。

次の標的が自分になるかもしれないのだから。


見て見ぬふりをする人はまだいい、便乗するような奴は市民でも言い逃れができないクズだ。


中には腐ってないのもいるかもしれない。

でも一回全部入れ替えるべきだろう。


そのためのクーデターだ。


ボク達はマーリンと一緒にテレポートした。

場所は外の集落の手前だ。


ボクが旗印になると言ったけど今更ながらに不安になってきた。


でもやるしかないんだ。

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