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掌編小説集5 (201話~250話)

ベンチ

作者: 蹴沢缶九郎

公園のベンチに一人の老人が座っている。何をするでもなく、老人はただ座っていた。

公園内には老人の他、公園の遊具や、鬼ごっこをして遊ぶ子供達の姿。傍らでは母親達が井戸端会議に花を咲かせている。


いつしか日も暮れかけ、先程まで公園内を賑わせていた子供達や、晩御飯の支度をと母親達は家路に着き、その後、時折、犬を散歩させた人が数人通る。


彼らが去ると、公園内には老人が一人だけとなった。


日が完全に沈み、公園の外灯が灯る。


老人は相変わらずベンチに座っている。その日、老人に声を掛ける者はなく、また、老人が誰かに声を掛ける事もなかった。


数時間が経ち、そろそろ日付が変わろうとした頃、老人の前にスーツ姿の男が現れ、


「どうもありがとうございました。これはお礼です」


と、現金の入った茶封筒を懐から取り出した。老人はその封筒を受け取ると、「またいつでも言ってくださいね」と言い、去っていった。


一日中老人が座り続けたベンチの温もりで興奮する性癖の男は、恍惚の表情でいつまでもベンチを撫でていた。

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