(8)
最後の道なのかレットカーペットが敷かれた廊下がずっと先までのびている。
ざっと500メートルぐらいだ。
端にはたくさんの甲冑が並んでいる。
「おばけ屋敷みたい…」
「どうしたの龍亞。まさか、怖いんじゃ…」
「何言ってんのツチミカド。そんなわけないじゃん。」
「そうだよね。この年にそんなことあるわけないよね。」
龍亞、見栄はってるし…
「しゃべってないで行くぞ。」
アマノジャクを筆頭に歩き始めた。
そんなに時間がかからず大きな扉の前に来た。
「開けるぞ。」
アマノジャクが開けると大きなダンスフロアのようなところが目に入ってきた。
一番奥に玉座があり、そこに5メートルぐらいの何かが座っていた。
よく見ると顔は魚のように鱗に覆われていて龍のようだ。
しかし、体は普通だ。
「久しぶりだなアマノジャク。また倒されにきたのか。」
と大声で笑い始めた。
「姫を返せ!」
「まだ能力を使わせてないからな。」
「使わさせてたまるか。」
アマノジャクは全力で飛びかかって、
「水槍」
と叫び、水を変形させ槍の形にしながら行った。
しかし魔王は容易くそれを弾いた。
いや、魔王に着く前に水が弾けたのだ。
アマノジャクも驚いている。
その隙に魔王はアマノジャクを殴って吹き飛ばした。
5メートルほどノーバウンドで飛んでいきその後、何バウンドかして壁が壊れるほど強く当たって止まった。
さすがのアマノジャクもすぐ動けないようだ。
「さて、次はだれが来る。」
と明らかな挑発してきた。
こっちはツチミカドとコチは連携をとって攻撃するようだ。
コチが突進していく途中、分身が現れた。
どうやらツチミカドの技のようだ。
さすがの魔王も対処できないと思ったが、魔王は手で払うような仕草をすると、分身が土の塊になって床に落ちていった。
しかし、本物のコチはいない。
よく見たら虹音がコチと瞬間移動をして魔王の裏にまわって、コチがたくさんの風の刃で攻撃しようとしている。
「………鎌鼬」
「いける!」
と思ったが魔王は気づいていたようで、裏拳のように後ろに手を振ると風の刃がすべて消えて2人が殴られて飛ばされた。
ツチミカドもとっさに動けなくコチ達に巻き込まれ吹っ飛んで行った。
残るは俺と龍亞と優菜しかいない。
龍亞は、
「炎剣」
と言って炎を出して剣のような形にして交戦するつもりだ。
なんと、魔王も正面からやりあうようで刀を出してきた。
先に龍亞が動いた。
小細工なしの真正面から突っ込んでいき切り裂くつもりだ。
魔王も構えてやりあうようだ。
龍亞は剣を振り下ろして真っ二つにしようとする少し前アマノジャクが、
「ダメだ、今すぐ戻れ。魔王の力は(能力を消す)というのもあるぞ!。」
といったがすでに遅い。
龍亞の炎が消えて無防備なまま突っ込んでいることになる。
優菜が俺への結界を解いて龍亞にかけるがその結界も消されて、龍亞は峰打ちをくらい、吹っ飛んで気絶した。
俺は優菜を後ろに下げて、前に出た。
女の子を危険なめにあわせる訳にはいかないからな。
「やめろ、龍我。無茶だ。」
と言うアマノジャクの声を無視して突っ込んで行った。
もちろん、一撃で吹っ飛んだ。
壁に当たってやっと止まった。
その時、俺の中のスイッチが入る音がした。
どうやら痛みのせいで体が興奮と間違えているようだ。
痛みがほとんど消えて、笑いながら俺は立ち上がった。
「氷帝」
といつの間にか言っていた。
すると、辺りが雪景色になり、吹雪が吹き始めた。
優菜は驚いていたが結界をアマノジャクたちにはって守ってくれているようだ。
これで心置きなく出来る。
手を魔王の方に向けると雪がそっちに吹いていく。
さすがに危険に思ったのかいきなり姿がかわり、本物の龍になった。
だが、なぜか魔王は雪を能力で消さない。 火を吐いて対処している。
今はそんなことどうでもいい。
畳み掛けるように、
「絶対零度」
そう叫ぶと魔王が凍り付いた。
「氷爆」
と言うと魔王が砕け散った。
討伐できたようだ。