(6)
町の中に入るとアマノジャクたちに変化があった。
いきなり体が光ったのだ。
「思い出した。」
という事はここがウォーターアイランド。
見た感じは湿地の中にある城下町のようだ。
真ん中には大きな城が建っている。
「とりあえず、王のところに挨拶しに行こう。」
とアマノジャクは歩き始めた。
オレ達もそれについてった。
町の中は江戸時代のような感じでとても賑わっている。
程なくして、お城に着いた。
ここだけ少し洋風だ。
門の前には門番が立っていた。
「私はアマノジャクだ。帰ってきたので挨拶がしたい。」
「…ほんまにアマノジャク隊長かいな?死んだはずでしゃろ…」
なぜか関西弁…
「あー、私達は違う世界に飛ばされただけだ。死んではいない。」
「信用できへんな…」
「ならどないしたらいい。」
関西弁が移ったし…
「せやな…そや、動けんよう縛り上げてから王に見せるちゅうのはどや。」
「仕方ないか…」
ということで軽く身体検査をされた後、手を縛られ罪人のような状態で連れて行かれた。
「ポセイドン様、失礼いたします。」
と門番が戸を開けたので俺たちはなかに入っていった。
そこにいたのは男の子だった。
年は10歳ぐらいに見える。
「ポセイドン、私です、アマノジャクです。」
「おお、アマノジャクじゃん。生きてたんだ。」
とても軽い感じだった…
「他にもツチミカドとコチじゃん、それ以外は…誰?」
「すいません、説明が遅れました。右から沼澤龍我、森優菜、宮北龍亞です。決して悪い人ではなく、違う世界で行き場のなかった私達を助けてくれたのです。」
すべてアマノジャクが答えてくれた。
このままこいつに任せよう。
他の二人も同じことを思ったのか黙っている。
「そうか、いいやつらだったんだな。疑ってすまないな。私はポセイドンだ。よろしくな。っていうかなんで縛られてんの?」
「私がやりました。本当にアマノジャク隊長かどうかわからなかったので…」
と戸の近くで待っていた門番が答えた。
「そうだったのか。よし、解放してやれ。」
「は!了解です。」
門番は俺たちの縄を解いてくれた。
「さて、これからどうする。」
「また討伐に行こうと思っています。姫の能力を乱用されないように…」
「そうか…ならまた組織せねばな。」
「いえ、その必要はないです。この人たちが一緒についていくそうなので。」
「こやつらは強いのか?」
「はい、強いはずです。」
「おぬしがそう言うなら……信用しようじゃないか。」
俺たちが一緒にいくことを認めてくれた。
「とりあえず今日は休んでいけ。」
「ありがとうございます。」
ということで俺たちはここに止まらせてもらった。
ここはたくさんの湧き水が出ていて温泉などもある。
気になったので俺は先に入らせてもらった。
服を脱いで外に出てみると露天風呂になっていた。
少し高い位置にあるのか見晴らしがいい。
湯船に入ろうとしたら物音がした。
音がした方をみると優菜とアマノジャク達 と知らない女の人がいた。
俺は慌てて、
「すいませんでした。すぐ出ます。」
と言ったら、
「出なくて良いよ〜。こっち向かなければね〜。寒いでしょ。」
と返ってきたので俺はそっちを向かず湯船に入った。
そして、興奮しないように平常心を保った。
「この子さっき知りあった虹音ちゃん。この子、もともと私たちと同じ世界の子だったんだって〜。」
たぶんさっきの知らない人のことだろう
「王からお供しろと言われた虹音です。よろしくお願いします。」
声からして俺らと同じぐらいの年だろう。
「あ、そうそう。さっき話してたんだけど〜、龍我君さ〜、美結のこと好きでしょ〜。」
といきなり図星を突かれた。
俺は溺れかけた。
テンパってんのがばれないように言えば問題ないかも…
「いや…そんなことはないとおもいまひゅよ。」
…思いっきり噛んでしまった。
「あはは、やっぱりそうなんだ〜。態度見てたらわかるよ〜。」
ばればれだったらしい…
これでも隠しているつもりだったのに…
「ってことは美結は知ってるの!?」
「いや、美結は鈍感だから気づいてないみたいだよ〜。」
「良かった。」
安心したわ〜。
「じゃ、私達そろそろ上がるからこっち見ないでね〜。」
ということなので欲望を本気で抑えてお湯のなかに潜った。
扉が閉まった音がしたので俺は浮かび上がってきた。
なんとか息はもった。
扉の奥から龍亞の「ヒャッハー!」と言う歓声と鼻血(?)が吹き出る音と殴る音と誰かが倒れた音がした。
魔王のところに行く前に龍亞が死ななければ良いけど…
次の日、なんとか龍亞は生き延びて、討伐に行くため集まっていた。
「死ぬことだけはやめろよ。優秀なお前が消えるとうちに損害が大きいからな。」
「わかっています。ポセイドン王。」
と別れを告げていた。
「さて、そろそろ行きますか。」
「「「「「「おー!」」」」」」
とは言ったものの、ワープできる場所に行ったら装置が壊されていた。
幸先がわるい……
仕方がないので歩いて行くことになった。
いやー、本当に魔王までの道のりが長いんですよ。
こっちの世界に来てウォーターアイランドに行く道の2倍以上あるし…
しかも、途中で敵が出てくるし…
そのため、俺たちがつく頃には日が暮れ始めていた。
いや、ここら辺一帯だけが暗くなっている。
魔王の力かな?
などと思っていると暗いとそれらしい雰囲気が出るお城のところに着いた。
「ここだ。ここが魔王のすみかだ。」
やっぱり…
「これから出てくる敵はさっきの雑魚とは違うはずだ。気を引き締めていけ。」
……そう言われても俺、役立たずだし…
中に入ると2つに分かれた階段があった。
話し合いの結果、二手に分かれることになった。
右には、俺、アマノジャク、優菜、虹音。
左には、龍亞、コチ、ツチミカドとなった。
「絶対、死ぬなよ。」
とアマノジャクが言って解散となった。
次から本格的なバトルを始めるつもりです。