(3)
これまでの話を魔王討伐編としてこれからも少し続きます。
次の日、俺はアマノジャクを置いて学校へ行った。
もし、魔物が現れたら行ってもよいとは言っておいた。
平日の学校のある時間帯だとバレにくいだろうし。
教室に入ったら美結が、
「おはよう!」
と声をかけてきた。
「おはよう!朝から元気だね。」
「うん、いっつも言われる。」
もとから元気な子らしい。
「よ、おはよう。」
と龍亞もあいさつしてきた。
友達に朝からあいさつされるなんていいなと思っていたら、
「よーし。席についてー。朝のホームルームはじめるよー。」
と先生が入ってきたので話をやめて席についた。
このあとは特に何もなく午前中で学校は終わった。
帰りになり、美結とまた一緒に帰った。
「一緒に帰ってるから付き合ってるみたい。」
って言われてどきっとした。
今まで、こんなことがなかったからどうしていいかわからず、ずっと話を聞いて相槌を打つことで精一杯だった。
今日は昨日と違う場所で別れた。
そんな夢のような時間が終わり、変な生き物との時間がはじまった。
「は〜。」
「帰ってきていきなりため息なんかつくなよ。」
「だってさっきまでが夢のようなだったから…」
「私といる方が夢のようだと思うけど…」
「もう慣れた。」
「そんいえばお前、私を見ても驚かなかったな。」
「一応驚いたけどそこまでだったから。」
内心、どうでもよかったし。
「ってかお前の方こそ異世界に飛ばされたのに普通にしてんじゃん。」
「私たちの教え上、冷静にしてなきゃいけないからな。」
「ふ〜ん。騎士道的な感じ?」
「騎士道とはなんだ?」
「騎士の礼儀とか心構えとかの教えみたいなのだよ。」
「ならそんな感じだ。」
「やっぱりどこでもそう言った教えみたいなのあるんだ。」
なんか少し感激してしまった。
その後は、飯を食べて休憩をしていた。
「おい、お前なんか特技はないのか?」
「んー、水を出せて、操れるとか?」
「……そんなことが出来るのか。」
全然知らなかった。
「まーな。ただ、自分で水をつくり出すと水分を摂らなきゃいけない弱点があるがな。ちなみにこの前の小刀も薄く水で補強して使ってたんだぜ。」
と自信ありげに自慢してきた。
「なら、ここにいていいから毎日植物に水をあげといてくれ。蛇口の水を使っていいから。」
ちなみにこの植物たちは趣味だ。
基本は食べ物系統だけど。
金欠になっても生きていけるように…
「使い方を教えてくれ。」
とこいつは言った。
なので俺はこいつに蛇口の使い方を教えた。
「これはすごく画期的じゃないか。」
「普通だろ。」
「これなら水が飲み放題じゃないか。」
「これお金かかるからな、出しっぱなしにするなよ。」
「わかった。」
これで俺の仕事が1個減った。ラッキー!
「さっそくやってみるよ。」
そう言うと、こいつは蛇口をひねり水を出すと水を触った。
すると水が蛇のように動いた。
「こんな感じだ。どうだ。」
凄すぎて何も言えなかった。
そのままベランダにのばして水をあげはじめた。
1分もせずに水をあげ終えた。
この能力を使えば…
「おい、あと風呂洗いもお前やれ。」
「どのようにすればいいんだ?」
一気に水仕事をしなくて良くなった。
やり方を教えるとすぐ覚えて難なくこなした。
戦士は頭もいいみたいだ。
「こんな感じでいいのか?」
3分で済ませてしまった。
「完璧だ……」
しかも行動力もある。
などと感心していたら、
「魔物が出た。行くぞ。」
と言われたのでこいつをバックに入れて家を出た。
今回は近くに出てきたからすぐに着いた。
そしてすぐに倒せた。
ただ、元の世界に戻そうとせず取り押さえただけだった。
たぶん情報を聞き出そうとしてんだろう。
「おい、お前なら知ってるだろ私の仲間のことを。」
「ああ、知ってるさ。だが、敵に言うわけないだろ。馬鹿かお前は。」
確かにそうだ。
「ならお前を元の世界に戻す。いいな。」
「待て、言う。言うからそれだけはやめてくれ。」
「……なぜそこまで嫌がる?」
「魔王様は、異世界で負けた奴はつかものにならないと思っていらっしゃるため殺してしまうんだ。」
魔王はなんてひどいんだ!
「だからやめてくれ。なんでも言うから。」
「なら昨日現れた仲間のこともわかるのか?」
「ああ、あいつは副軍隊長のコチだそうだ。」
「名前は思い出したが顔が思い出せない…」
「魔王様の能力は最強だ。だが一つ欠点がある。」
「それはなんだ?」
「それは、その人が故郷へ帰ると記憶が戻ってしまうことだ。」
「なら、ウォーターアイランドに帰れば記憶が戻るのか?」
「ああ、そういうことだ。あと、お前の姿も元に戻る。」
「どういうことだ?」
「魔王様は別世界に飛ばす前に姿も変えさせたんだ。出現する近くの人の1番思い出のある生き物にしたっておっしゃってたな」
「そんなこともできるのか?」
とつい俺は聞いてしまった。
「ああ、魔王様はいろんな魔法を操ることができる。」
それならこんなに強いこいつが負けてしまったこともうなずける。
「で、今コチはどこにいる?」
「たぶん、この街の一番東のところだろう。」
「おい龍我、そこに何がある?」
「ちょっと待って。今調べる。」
俺はケータイで調べた。置いてこなくて良かった。
数分たって何があるのかがわかった。
電子機器って便利だね☆
「たぶん………今は使われてない工場だろう。」
「そこへ連れてってくれ。」
「わかった。」
ふと疑問がわいた。
「お前はどうするんだ?」
と俺は敵に言った。
「たぶん私は魔王様に追われるだろう……だから私は逃げる。」
「大丈夫なのか?」
「ああ、頑張って生き延びるさ。」
「じゃー気をつけろよ。」
そう言って俺は自転車をこぎ始めた。
「ああ、お前らも頑張れよ。」
そう言って彼は姿を変えてどこかへ行ってしまった。
「急いでくれ。」
「わかってるよ。」
俺たちは急いで目的の場所に向かった。
20分後俺たちは着いた。
そこにいたのは……
「………ネコ?」
つい変な声が出てしまった。
ただ、それ以外何も見当たらない。ってことは…
「お前がコチなのか?」
「………お前は誰だ?」
「私はお前の軍の隊長だったアマノジャクだ。」
「………ほんとうか?」
「ああ、本当だ。」
「………お前の出身はどこだ?」
「私の出身はウォーターアイランドだ。」
「………あっているようだな。ただうちには記憶がない…どうしてここにいるかわかるか?」
「私たちは魔王に負けてここに飛ばされたらしい…」
「………なるほどな。」
こいつらが仲間ってことは…
「おい、お前も何か特技があるのか?」
「………誰だ?」
思いっきり構えられた。
命の危機を感じたから両手を挙げて無抵抗であることを伝えてみた。
「こいつは敵ではない。むしろ味方だ。」
「………そうなのか。戦闘態勢になってすまない。うちは風を操ることができる。」
「?どういうふうに?」
「………風の刃を作れたりできる。」
「すごい…」
彼女(?)の周りに半透明の刃が現れた。
そして手を近くにあったドラム缶の方に向けたら一瞬で斜めに切れた。
さすが選抜された軍の中の副隊長だ。
「………他の仲間は?」
「まだ、連絡がつかないんだ。」
「………生きているのか?」
「それすらわからない…」
「………そうか。無事ならいいが…」
仲間思いの副隊長みたいだ。
「さて、どうしますか?」
「お前の家に連れて行くしかないだろ。」
「………いや、このまま一人でいる。」
「なぜだ。一緒に行動したほうがいいだろ。」
「………うちはワープホールを探す。」
「…そんなものまであるのか。」
頭を抱えながらつい口を挟んでしまった。
なんでもありだな…
「………ああ、定期的にあっちの世界に行けるワープホールが開くはずだ。」
「なんで今まで教えなかったんだ!」
思いっきりアマノジャクを揺さぶった。
「…だって知らなかったんだもん…」
「軍の隊長なのに?」
「…だって私たちは専用のワープホールがあるから使ったことがないし…」
「ってことはその専用のワープホールを使って助けが来るんじゃないの?」
「これは私の想像だが私たちは死んでいる扱いになってると思うんだ。」
「なんで?」
「私たちは魔王に負けて帰ってこないから殺されたとでも思っているだろう。」
「なるほど……」
だから助けが来なくて帰れなかったんだ。
「それなら私たちも手伝った方がいいだろう。」
「………いや、隊長のその格好では目立ってしまうだろう。」
「…確かにそうだな。なら今回はお前に任せる。発見次第すぐに私たちに知らせろ。」
「………わかりました。」
そう言って彼女は探しに行った。
「さて、俺たちは帰りますか。」
「それしかないか。」
ということで買い物しながら家に帰った。
この日はこれで終わった。