表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わらない夜のための鎮魂歌  作者: 水城四亜
6/17

第一の報告

かたかた、と音が鳴る。


薄暗い部屋でベットのサイドテーブルの上にパソコンを開く。

かたかた。

風に揺れる窓ガラスが小さな音を出す。


ラズはパソコンの前に座り、ウィンドウを開く。

それは真っ黒な画面で、時折砂嵐ノイズが走っていた。



ラズライトからトパーズへ第一の報告。


親愛なるトパーズへ


今、『タイラス』の町にいます。私がここへ来た時に入った町エレクから少し西の場所にあります。



この世界でも文字があり、『ミュラ』を駆使してはいますが、解読には時間がかかりそうです。幸い、言葉は通じたのでどうにかなっています。


これから職を探して、住む場所を探します。

親切な方と知り合いになりました。名前はオルトさんです。葬儀屋さんなのに、格好は派手な女性です。


それから・・・この世界は『影』というものにおびえています。

『四分の三の夜』という夜と、残りの時間9時~15時までを昼とした奇妙な空間が成立されています。



太陽らしきものはありますが、日の出や日没を楽しむような時間は無く、突然の闇と、突然の光がこの世界を支配しているのです。


元は、我々の世界と同じであったようなのですが、突然3ヶ月前からこのような世界に変化したそうです。



人々は、それと共に現れた『災厄』こちらでは『影』と呼びますが、それにも負けずに生きています。


少し気になるのは、その影はこの『天青石』を恐れるようなのです。私にも原因はわかりません。まだ、確信たるものが無いので、今は断言できませんが、おそらくそうだと思います。


そして、その『影』に対抗するのが『浄化光』と呼ばれるもので、人々は鉱石にそれを携帯して守りとしています。


オルトさんに一つお守りを頂きました。そこでラズは少し言葉を切って、


トパーズからもらった飾り、売ってしまいました。ごめんなさい。御方様のためにも頑張ってそちらへ帰れる手がかりを探します。


それでは、今日はこれで。


なんだか日記みたいだと思いながら、しかし相手がトパーズなのでこれでも通じるだろうとパソコンの電源を切った。

『ミュラ』はパソコン上で様々なことを成すためのシステムの名前で、パソコン自体は『天青石』と呼んでいた。ラズはふぅとため息をつくと、窓から外を見下ろした。

闇がうめつくしている。

その先の町の灯りは、今のラズを助けるべく先にある光明のように思えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ