表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わらない夜のための鎮魂歌  作者: 水城四亜
10/17

呼ばれて飛び出て_以下自己規制

「何だろ、これ。」ラズは入った部屋の広さに驚いた。


入った部屋にはトイレの個室と思われるものは無く、広々としたローテーブルとソファーがあった。その一角に陣取ると、ラズはパソコンを開いた。


『・・・ラズライト!?ラズ!?聞こえるか?』トパーズの声が聞こえる。声だけだ。この世界に来た時のように映像は見れない。


「トパーズ・・・!」ラズはその懐かしい声に涙がにじむ。


『無事か?』


「はい。・・・・はい・・・!」状況は決して喜べるものではなかったがラズはそう答えた。


『アダマス様から任務がある。ラズライト、よく聞くように。』トパーズの次の言葉は意外だった。


『ラズ・・・・お元気ですか。』ラズは涙をこらえ、真っ黒な画面の先にいる人を思い浮かべる。


「アダマス様・・・!」ラズの心は歓喜した。美しいその声は、忘れることない自分の主のものだ。


『ラズ・・あなたは今困難な場にあり、このようなこと頼むのは心苦しいのですが・・・聞いてくださいますか。』


「わたくしに出来ることであれば、何なりと。」ラズは少し冷静になった。一体異世界で何の任務があるというのだろう。主は、何を求めているのだろう。先ほどまでの動揺が嘘のように心が静まる。


『【赤の封印】から持ち出されたものがあります。』そこからアダマスの声の質が変わる。


「何ですって!?」


『その世界の報告は先日、トパーズから聞いています。その『四分の三の夜』の原因がそもそも【赤の封印】から持ち出された禁書にあるのだとわたくしは考えております。ラズには、その持ち出した犯人の捜索と、討伐、そして禁書の奪還と封印を命じます。」


「何てこと・・・」ラズは血の気が引くのを感じた。


『もちろん、討伐に際し、こちらからクルセドニーを二人送ります。あなたの身を案じてのことで、決してあなたを信頼していないのではありません。いいですかラズ、決して早まった行動はしないように。』


(もう遅いかもしれません・・・)ラズはいきなり我に返った。どの面出してこの部屋から出ればいいというのだろう。今度追求にあったら交わせる自信は無い。


「クルセドニーは誰が来るのですか?」


『ふふ・・・それは着いてからのお楽しみよ。・・・・ラズライト。』そこからアダマスの声が威厳のあるものから静かなものに変わる。


『封印はもう解かれているのですよ。いつまでも自らを偽る必要はありません。わたくしも、ラズがラズであって欲しいと願っています。』その言葉にラズは首を振ると、


「いいえ、いいえ_アダマス様。わたくしは、あなた様の御為に生きることができれば、幸せなのです。ラズライトはアダマス様の忠実なる僕。それ以上でも以下でもございません。」それはラズの偽りのない心からの言葉だった。


『・・・・いずれ、わかる時が来ます。それでは二人をそちらへ送りますよ。』その言葉にぎょっとなったラズは一瞬言葉を忘れた。


「・・・って今ですか!?」その瞬間にもパソコン『天青石』が光輝きはじめる。


「訪問は正式な場所からの方がって・・・あーもう通じないし・・・」ラズはため息をついてこれから現れるだろう人を待った。


(いくらなんでもトイレから登場ってのは、どうなんでしょう。)と、途方にくれながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ