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Wonder Worker World ~ 隻眼の英雄 ~  作者: 今宵 侘
第2章 グリトニル迷宮 潜入編
50/50

魔眼と約束 - 2


のろま更新でついに50話到達です。

何かご意見ご感想などあれば、是非に。


「取り引き…?」


「うん、取り引き。 まあ正しくは情報交換ってところかな」



そう言う彼の表情は、いつもの捉えどころのない笑みに彩られている。



「お互いに隠しておきたいことの一端を知られちゃっただろ? だからもう無意味な腹の探り合いはやめて、秘密をこっそり教え合いましょうってこと。 どうだ?」


「どうだって言われても…カイトが知りたい秘密とやらは何なのよ?」


「おれが知りたいのはセリカ達が属してる共同体のことと、君らがこの迷宮に来た”本当の目的”のことかな」


「…単刀直入に聞くわね」


「まぁな。正直あれこれ推測すんのも面倒になってきたし」



やはり目的が別にあるのは彼にもバレていたらしい。

しかし今までの会話で、もう彼が何を知っていてもおかしくは無いとさえ思ってしまう。



「それもそうね…で? アンタはその対価としてどんな情報をくれるの?」


「おれが教えられる範囲ならどんな情報でも良いぞ」


「ふーん、じゃあ……その”魔眼”の能力とかでも良いわけ?」


「ああ、もちろん」



意外に何の躊躇いも無い回答に、私の方が驚いてしまう。


「本当に良いの?」


「存在がバレた時点でもう隠すようなことじゃないだろ? むしろ能力の説明しないと”ただの不吉な赤い目”とか思われてそうで嫌だよ」


「まあ、確かにそうかも…」


いや、明らかに能力を使ってる一部始終を見たからそれは無いんだけど…そもそも、何かしらの能力があると思ったからこそ質問したのだ。


「ほらやっぱり! 今からちゃんと説明するからちゃんと聞けよ? あ、時間が勿体ないから歩きながらにするぞ」


そうして彼は一つ咳払いをして、通路の奥へと進みだす。


「良いか?”魔眼”っていうのは伝説とか歴史書の中ではただ”災いを呼ぶ”としか述べられて無かったりするんだけど、実際はどの”魔眼”にも固有の能力が存在して、そしてそのいずれの能力が

も強力すぎるから話を誰も信じないせいで曖昧な伝説しか残らないんだよ」


「…とんでも無い話ね。 カイトの”魔眼”はどんな能力なの?」


聞くのも恐ろしいが、ここまで来て引き下がれるほど無関心でも無いのだ。


「おれの能力は≪支配ドミネイト≫って言うんだけど…まあ名前は置いておくとして、おれが”魔眼”を行使している間は半径10m――大体ここからあの曲がり角くらいまでかな――のあらゆる物体を自由自在に操ることが出来るんだ」


「…よく分からないんだけど」


「んー、じゃあ例えばセリカがおれにむけて矢を真っすぐ放ったとするだろ? そこでおれが≪支配ドミネイト≫を発動させると、矢が範囲内にあれば触れずに軌道をずらしたり勢いを失くしたり、やろうと思えばへし折ったりも出来る。 多分、全方位から射撃されても傷一つ付かないくらいの自信はあるな」


「なっ……!!」


何よそれっ!!

それじゃあ、私がどれだけ弓の技術を上げても彼には届かないってことなの!?


その理不尽さにすでに心が折れそうになったけれど、質問を重ねる。


「じゃあ、その気になれば私のこともその矢みたいに操ったりへし折ったりできるの?」


「いや、実は生物にだけは≪支配ドミネイト≫は効かないんだ。とは言っても、着てる服とか周りの空気を操って動きを封じるのは簡単だけど」


それってつまり……


「アンタ、魔眼使ったら無敵じゃないのよ…」


彼の話を聞いて自分に思いつく限りの対策を頭に浮かべようとするも、どんなことをしても勝てる気がしない。


奇襲するにしても魔眼どころか魔術無しでもあれだけの反応を見せるヤツに何が出来るというのだろうか……



「まあ、魔眼が発動してればな…でも、そんな能力がリスク無しで使えるわけがないのは分かるだろ?」



リスク、ね…

右手で目を抑えながらそう言うのを見て、彼が魔眼を発動した時に感じた恐ろしいほどの魔力を思い出す。


「もしかして、魔眼を発動している間は大量に魔力を消費し続けなければならない、とか?」


「ご名答! 何かを操る時にはさらに多くの魔力が必要になるんだ。 ま、普通の人間が使ったら5分でミイラだろうな」



じゃあどうして……?

自分が予想したことにも関わらず、私は彼の答えに大きな疑問を抱いていた。



「私はてっきり魔眼の能力で魔力量が増えるものだと思っていたのだけれど…じゃあ元々カイトにはそれだけの魔力量があったってこと?」


「当たり前だろ、そんなの」


「当たり前じゃないわよ!! 何で精霊族でも無いただの人間のアンタがあんな滅茶苦茶な魔力持ってんのよ!?」


「それはまぁ…増やしたし」


「ふ、増やしたぁ!!?」



ありえないでしょ、そんなこと……なんだか頭が痛くなってきた……。



「増やすって、そんなこと本当に出来るの…?」


「自分の命賭けて、人に言えないような外法を使えばなんとかな」


いたずらっ子のような微笑みからは、彼が言うことの重大さは読み取れないが…また一つ、疑問が生まれる。


「そこまでして魔力量増やしたのって、魔眼を長く使えるようにする為なのよね?」


「うん、そうだな。 おかげで魔術もたくさん使えて一石二鳥だけどな!」


…狂気の沙汰としか思えない。



「ねぇ…どうしてそこまでする必要があるの? 何か目的でもあるわけ?」



そう言うと彼は目を伏せ、何かを考えるように歩を緩める。



「”大切なもの”を取り戻す為には、どうしてもこの魔眼が必要だったんだ」



私は息を飲む。


彼のどこか定まっていない目は、今まで見たことの無いような強い意志の光を帯びていたような気がした。



「―――――と、魔眼の話はここまでかな。 まだ他に聞きたい事とかある?」



フッと私の方に焦点を合わせた時には、カイトはやはりいつもと変わらない薄い笑みへと戻っている。


その表情が、「その”大切なもの”って何だったの?」と聞くことを躊躇わせる。




「…これ以上は特に何も無いわ」


結局、何も聞けずに言葉を返してしまう。


「…そっか。 じゃあ、セリカも今おれが渡した情報に見合うことを教えて欲しいな」


…あれ? 私はいつのまに彼の取り引きに応じてしまったのだろうか。


してやったりという表情に見えなくも無い彼の笑みを少し腹立たしく思いながらも、私は観念して”等価値の情報”とやらを彼にくれてやることにする。



「じゃあ、私やライ、ダラリオが所属している共同体―――組織の話でもしてあげる。 ただし、条件がある」


「条件って?」


「今から話すことは絶対口外しないこと。 それがどんな内容でも、そして私が喋ったっていう事実も全部。 良いわね?」


「ああ、おれは口が堅いからな」


自慢げに言うカイトだが、そんなことを言う奴に限って信用ならない…まぁ良いか。

彼も頭が悪いわけでは無いから。



「じゃあ、始めるわよ」


共同体=コミュニティと解釈してください。まあそのままですが。


カイトの魔眼はチートです。正直やりすぎなくらいです。

でもこのくらいにしないと後々キツイんで…


今日中に続きを投稿したいです。

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