表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Wonder Worker World ~ 隻眼の英雄 ~  作者: 今宵 侘
第2章 グリトニル迷宮 潜入編
44/50

グリトニル迷宮 内廊 - 1

長くなりそうだったので分割しました。

なので短めです。


グリトニルの隠された地下迷宮…ライ達の言う”ご先祖様”がここを封印してから未だ何人たりとも入ることの叶わなかっただろう場所へと、ついにおれ達は到達したのだ。


幸いにして厳重に守られていたのは外側だけで、内側である地下迷宮には特におれ達の行く手を阻むものは無かった――――――とは行かないのが現実の辛いところ。




「うおおおお今度は岩かよおおおお!!?」


「あかんあかんこれはシャレにならんって!!」


「御託は良いからさっさと走りなさいっ!!」



ただいま、巨大岩との絶賛追いかけっこ中です。



地下迷宮に入ったおれ達を待ち受けていたのは、想像を絶するようなトラップ地獄。

”ご先祖様”の恩恵か、ライは地下迷宮のおおよその地図を所持していて俺にも複製を渡してくれているのだが、罠のあまりの多さの為に行程は中々進んでいない。


四方からの矢や火責め、串刺し落とし穴に落下してくる天井……言葉だけではベタな罠だと笑って済ませられるようなラインナップでも、実際に体験するのとは訳が違う。



こうして先程まで味わってきた恐怖を思い返してる今も、広いとは決して言えない廊下の横幅いっぱいを占領した大岩が、加速をつけながらこちらに襲いかかってきている。


「うわあぁぁぁああん、もうこんなのばっかりいいいい!!」


「もうちょっとで左に抜けれる、それまで気張りぃや!!」



どんどん加速する大岩に迫られる中、ライの言葉通りに左側に通路が現れ、おれ達はそこへ飛び込むようになだれ込む。


おれ達の横を高速で通り抜けた大岩は、しばらくして突き当りにぶち当たったのか遠くから鈍い衝突音が響きわたる。


「あー、死ぬか思たわ」


「それ言うの何回目だよ…なんで地図はあるのに罠の仕掛けてある場所は書いてないんだ」


「そんなんボクに聞かれても…『この試練を乗り越えられた者だけが秘宝を手にすることが出来る』っていうご先祖様の意向ちゃう?」


「はた迷惑な意向だな、それ…むしろ『秘宝は絶対お前らなんかに渡さない』って信念を感じるのはおれだけか?」


疲れを紛らわすようにライと軽口を交わしていると、セリカが立ち上がる。


「もう行くわよ」


「え…も、もうちょっとだけ休ませてくれへん?」


「悠長なこと言ってる場合じゃ無いでしょ? こんな罠だらけの場所で一夜を明かす気?」


「いや、それは拙いんやけどな…?」


出発を急かすセリカを何とか引き留めようとしているライ。


二人の会話を聞けば、セリカが焦りすぎているような気もするのだが――――今回に限って、おれはセリカに全面同意だ。


横目でルルの方を見る。

一見すればいつも通りのルルのように見えるが、胸に手を当て乱れた息を整えている姿は普段よりも疲労の色が濃いように思える。



「ルル、大丈夫か?」


「うん、大丈夫だよ…?」


心配するおれを安心させるように薄く微笑むルルだが、いつものような元気さが影を潜めている。


「しんどかったらいつでも言えよ? 何ならおぶって行っても良いんだぞ?」


「へ、平気だから!」


頬を染めながら慌てて立ち上がるルル。


…そんなにおんぶが嫌なのか。



「ともかく、出来るだけ急いだ方が良いとおれも思う。 出発するぞ」


未だに愚痴ぐち言っているライを引っ張り起こし、先導するように歩き出す。


「あ、アンタの意見なんか聞いてないわよ…」


すると、何故かむくれたセリカがおれの前を遮るように進んでいく。


どんだけおれのこと嫌いなんですか…。

やっぱり報酬の件は取りやめにするべきかな…。



セリカとの和解方法を考えていたその時、前方から近づいてくる何者かの気配を察知し足を止める。


セリカもやはり気付いたようで、武器を構えながら足を止めた。


「―――――何か、来る」


セリカの囁くような声はしっかりと全員の耳に届いたようで、各々が戦闘態勢に入る。



とす、とす、どす、どす………



だんだんと近づいてくる気配に、足音まで聞こえるようになる。



そして、通路の角から姿を現したのは――――――



「なんなの、あれ……」


「かかかカイ、なななな何あの怪物…?」


「…あれは」



毛むくじゃらな表面からも分かるほどに膨れ上がる筋肉をまとい、四本足で立つ雄々しいソレには、禍々しいつの(・・)が伸びている。


「いやぁ、伝説上の生き物をこの目で見られるなんてな……ハハハ」



グルル、と真ん中の首が低い唸りを上げ、両隣の首もそれに同調する。

今にも襲い掛からんばかりに足を浮かせる神話上の生物に呼応するように、こちらもそれぞれの武器を構える。



「ご先祖様も、エライ試練を与えてくれたもんやな…」


ライの茶化す様な呟き。



それが合図となったように、俺たちと異形の怪物は激突する。



未踏の地下迷宮――――薄暗く狭いこの場所で、”ケルベロス”との戦いが始まった。





ケルベロスとの戦闘シーンは省略予定ですw

もし希望があったら描きますw



ケルベロス(Κέρβερος 希)…ギリシャ神話における冥界の番犬。名は「底なし穴の霊」という意味。竜の尾と蛇の鬣を持つ巨大な犬や獅子の姿が一般的によく知られている。冥界からの逃亡者を捕まえて貪り食ってしまう、言わずと知れた「地獄の番犬」である。神話ではケロべロスの唾液からトリカブト毒が生まれたそうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ