謎の少女
すぐにのはずが遅れてしまいました
しかも短いです・・・
少女は眠り続けていた。
彼女が寝ているのはホルス宅、カイトのベッドの中である。
傷つき倒れている少女を発見したカイトは、苦手分野である治癒魔法を使ってケガを治し、そこから一番近いホルス宅に運んで、予備のベッドも無いのでとりあえず自分のベッドに寝かしつけたのである。
(なんであんな場所に倒れてたんだろう・・・)
彼女は全く起きるそぶりを見せない。
彼女が起きないのは、カイトが見つけた時に魔法を行使したとき特有の魔力の残滓が見られたので、魔力の過剰消費が原因とみられる。
加えて、泥だらけの体やボロボロになった服が、少女がまるで何日も森の中を彷徨っていたことを裏づけていた。
普通の森ならまだしも、ここは"魔獣の森"である。
屈強な冒険者達でさえ避けて通るようなこの森で、しかも魔獣達が騒ついているこの時期に歩きまわって生きていたのは奇跡だと言える。
いくつもの不可解な部分を持つ少女であったが、カイトはそれらの事とは更に別の事に意識を向けずにはいられなかった。
ケガを治したものの、少女は全身ボロ雑巾のような姿だったので、カイトは彼女の服を(出来るだけ見ないようにしながら)着替えさせ、体や髪を濡らしたタオルで拭いていったのだが・・・
カイトは唖然としてしばらく動けなかった。
金色に輝く髪、長いまつ毛に整った鼻、雪のように白い肌に、小ぶりの唇と頬にはうっすらと朱が差している。
少女は、人間の造形にしては余りに整いすぎていた。
その容貌は美しさを超えて神聖ささえ感じさせる。
それが、カイトに連想させる。
彼がこの世界で修行を続けてきた理由。
絶対に救い出すと決めた、"彼女"のことを。
(一体何者なんだ、この子は・・・)
ベッドにイスを近づけ、背もたれを抱え込むように座りながら少女を見つめる。
良い夢でも見ているのか、少女が少しだけ微笑む。
その表情に思わず見惚れてしまうカイトだが、すぐにハッとした表情になり顔を激しく横に振る。
(い、いかんいかん・・・こんな小さな子にドキドキしたらただのロリコンじゃねーか)
カイトは肉体年齢では10歳ほどだが、転移前と合計すると24年もの人生を歩んできている。
その時、カイトはこちらに近づいてくる二つの強大な魔力を感じ取る。
「やっと帰ってきたか。この子の説明をしないとな」
次も出来るだけ早く更新します。




