『姫を誘う魔道師』
「………ねぇ、王子。」
口喧嘩も一段落し、私達は今、庭を散策している。
いろとりどりの花で囲まれているこの庭はリコ女王に教えてもらった城の中庭だ。
「………レリでいい。あと、なんで俺様まで「あんたが勝手についてきたんでしょ?」……そうだったな。」
でなきゃ誰がこんな野郎と庭に来るかボケっ!
…………と思いつつもまた口にして言い合いになると大事なことを聞き逃すわけにはいかない。ここは黙っておこう。
「じゃあ、レリ。さっきの『カイ』ってのは一体なんなの?」
ザァーーーとタイミングを見計らったように風に木が揺れる。
すこし、レリ(俺様野郎)が渋い顔になった気がする。
「………あいつは、『姫を誘う魔道師』。…………やつにだけは気をつけろ。」
渋い顔のままレリが言った言葉は、私にとってわけのわからないものだった。
「『姫を誘う魔道師』って…………。悪い人なの?」
微かだが、あのカイの瞳からは凡人らしからぬ気が発されていた。
しかし、そこには隠れた哀しみがこめられていたようだったのであまり悪い人には思えないのだが…………。
「こちらにとっては、とても都合の悪い奴だ。
いつも、いつも大事な姫を惑わせ誘い恋に狂わせる。」
「恋に狂う………?」
「『愛の鍵』はその力を半減させ、魔力を封じている。
もし、奴の手に渡れば…………。」
「渡れば………?」
「姫は奴に恋狂い、奴の魔の手に堕ちる。そして…………。」
−−−この世界は朽ちる−−−
「朽、ちる?」
驚きのあまり声が震える。まさか、あの鍵にそんな力があるとは。
確かに、カイに話し掛けられてしばらくすると体の力がぬける感覚に襲われけだるくなる。
「………だから。あいつには絶対鍵を渡すな!」
「分かった……。」
今いるこの世界が朽ちるのは御免だ。ここは素直に返事をしておこう。
でも………………。
一体なんなのだろうか。
この胸のモヤモヤ感は………………。
残念だね、王子。
いまさら遅い。
麻里華はもう…………。
僕に惑わされてるんだから………………。
どうも、ラッキーラインです。
更新、物凄く遅れてしまい申し訳ありませんでした!
もう一つの小説の更新に忙しく…………。なかなかこちらを更新できませんでした………。
これからは気をつけて行きたいと思います!
では、また次回!
(書き方を少しかえました)