魔道師、カイ。
「あ〜!もうっ!」
私は、一番始めにいた部屋に戻るために廊下を全力疾走している。
「全く……。わけわかんない!なんで私があんな、あんな!俺様王子と結婚しなくちゃいけないわけ!」
………愚痴を大声で叫びながらだが。
しばらく、ぐちぐちと愚痴を吐きながら走っているとやっと部屋に到着した。
「ったく………。あ〜、疲れた。寝よ。」
私は、部屋に入ると真っ先にベットにダイブした…………のだが。
ゴチッ!
ベットの上にだれかいたらしくものすごい音がしたあと激痛が相手に当たった腕に走った。
いったいだれだろうかと、私に潰された人を見るために起き上がった。
「痛いんだけど。」
私の目の前には、美少年と呼ぶにふさわしい綺麗な顔立ちをした少年がベットに座っていた。
「貴方は、誰?」
恐らく、身長からして私より年下だと思ったので優しく聞いてみる。
「僕かい?僕は、魔道師のカイだよ。」
さらりと、正体を明かしてくれた。
「で…………。なんで、この部屋にいるの?」
聞きたいことは山ほどあるのでどんどん質問することにする。
「ある物を探しててね。」
「ある物……………?」
いったいなんのことだろうか。私が聞くと、魔道師のカイは私の目を見て語りはじめた。
「愛の鍵だよ。それの力があればなんでものぞむことが叶うんだ。…………ま、君が元の世界に戻りたいなら僕に愛の鍵をわたしてくれさえすれば元の世界にかえれるよ。」
「マジで!」
うれしすぎる。あの俺様野郎と結婚しなくても帰れるなんて!………でも、女王はそんな力があるなんて言ってなかったな…………。
少し、私は疑いはじめた。それに気づいたのか、カイは私の方になぜかいきなり近寄ってきた。
カイは、どんどん近寄ってくる。顔が、近すぎて思わず顔が熱くなってくる。カイは、私の耳元に顔を近づけこう言った。
「僕に、まかせて。そうすれば君は最高に幸せになれるから。」
耳にカイの熱い息がかかる。私は、急にまるで催眠術にでもかかったかのようにぽぉーと体全体が熱くなった。
鍵を渡したほうが自分が楽になれる。なぜか、そう考え始めた私はポケットに入れていた鍵をカイに手渡した。その時!
「なに、大事なもん勝手に渡してんだよ!!」
いきなり、なんとあの俺様王子が入ってきた。
「な、なんであんたが………!」
「っ!………王子。あともう少しだったっていうのに。」
カイは、また私に鍵を返すとポンっと消えてしまった。
「大丈夫かよ!ったく、世話かけさせやがって。俺様が相手してやんのは言っとくがおまえだけだからな。」
「大丈夫よ。鍵あるし。…………って、なにあんたさらっと恥ずかしいこと言ってんのよ!」
「あ?言ってねーよ!」
また、私と王子は口喧嘩になってしまった。
でも、この鍵の力っていったい……………?