終結
「はっ!なにを馬鹿げたことを言っているんだい?」
悪魔が嘲り笑う。
きっとまだこいつは俺が覚醒していることに気づいていない。
これは逆に有利になることができる。
「……おい、アイリ。
まだ、俺が目覚めてない ようにした方がいい。」
「……そうね。」
小声で作戦を立てる。
これさえ、成功すれば奴を倒せるはずだ。
「……大丈夫?レイ?」
「心配するな。俺が麻理華もアイリも守る。」
俺達は、早速作戦を開始させた。
奴は何を思ったかニタリと笑って見せた。
「……さあ、ここからが本番だ。
…………レル王子。」
「っ!」
なぜだ?
絶対こいつなら騙せると思ったのに。
「……あぁ。やっぱり変わっていたか。」
さあ、どうするか。
それはもう、限られた選択の中から選ぶしかない。
「……なあ、できる限り俺達二人であいつを弱らせたら……後はあいつら二人に任せてみないか?」
「……え?」
俺が選んだ選択。
それは、これ以上惨劇を繰り返さないための選択だ。
「……悪魔を倒すには俺達二人の魔力を合わせなければ完全な消滅はさせられない。
だから、悪魔を弱らせてから二人でレイの鍵に入りあいつらに魔法を使わせる。」
「………でも、それじゃ私達は?」
「………消えちまうだろうな。
でも、俺はそれでいいんだ。もう惨劇を繰り返したくない。」
「………。」
アイリが俯く。
こんなことを話している間にも奴は攻撃をしかけてくる。
「……わかったわ。
私だって、もう終わらせたいもの。」
これで、アイリの了承が得られた。
さて…………。
まずは奴を弱らせないとな。
「絶対におまえには負けねぇ!」
あれからだいぶ時間が経った。
もう、俺達の体力も限界に近い。
しかし、それは奴にも言えることのようである。
「……アイリ。そろそろ開始するか?」
「……そうね。」
俺達は二人で手を繋ぎ、鍵の中に自ら移る。
「また……。また会えたらさ、平和に暮らそうな。」
「うん……。」
一言交わすと俺達は意識を集中させた。
「……っ。あれ?なんで 私が?」
いきなり頭痛がしたかと思うと私は再び表面化していた。
「……ったく。意味わかんねぇ。」
それはレイも同じのようだった。
「……ねぇ、レイ。なんか光ってるよ。」
「………ん?あぁ、鍵か?」
レイが取り出した鍵は今まで見たことがないくらいに眩しく輝いていた。
(…麻理華、レイ。)
鍵の中から声がする。
きっとこの声は……。
「アイリ?!どうしてまた鍵の中に?」
(…詳しくは言えないけど、まあ悪魔を倒すためよ。
貴女達にはこの鍵を使って悪魔を倒してほしいの。)
「……どういうこと?」
「鍵を使うって言っても んなことできるのか?」
(……大丈夫よ。貴女達はこの鍵を持って祈って。)
(……奴を倒せるように。)
なんだか、わけがわからなくなりそうだ。
でも、きっと私達がここで何かをしないと悪魔を倒すことはできないだろう。
「……わかったわ。」
「祈ればいいんだな?」
私達二人は意識を集中させる。
−−−どうか、悪魔を倒せますように。
次の瞬間、悪魔がまばゆい光に包まれた。
『…ひ…りはいや…。』
ここは何処だろう。
一人の小さな少年がないている。
しかし、その少年には見覚えがあった。
そう、その少年はあの悪魔だったのだ。
『一人はいやだ……。』
泣きながら一点をずっと見つめている。
そこには幼いアイリとレルがいた。
『……あいつらばかり。』
次に見た悪魔の顔は憎しみで顔が歪んでいた。
「……たた。あれ?戻ってる。」
あれは一体なんだったのだろう。
気づくとレイが横に倒れており、悪魔……いや、カイだろうか?カイも倒れていた。
「……っ?あれ、僕は……。」
やはり、カイだった。
悪魔が抜けたからか前に見たときより顔が優しげだ。
「……終わったんだな。」
レイも無事だったようだ。
いつのまにか鍵は輝きを失っていた。
「……悪魔はきっと、淋しかったんだろうね。」
「ん?なんのことだ?」
あの夢は私だけが見たものらしい。
ん?そう言えばアイリとレルはどうしたのだろう。
「……ねぇ、レルとアイリは…。」
「消えたんだろう。」
「……そう。」
消えた、か。
でもきっと二人ならまた一緒にいられるだろう。
「……城にもどるか。」
レイが立ち上がる。
でも、私はカイをおいていくわけにはいかない。
「……カイも、一緒に行こう。」
「……いいのかい?」
カイは戸惑いながらも嬉しそうだ。
「さ、城に戻ろう!」
こうして、私達の戦いは終わりを告げた。
どうも、ラッキーラインです。
ついに後一話で完結です。
今まで見てきて下さった皆様、ありがとうございました。
では、次回をお楽しみに!