二人で一人
「・・・っく。」
私は今、離れて戦いを見守っている。
レイは銃を使っているのだが、相手になかなか当たらない。
きっと悪魔の魔力におされているのだろう。
(レイは大丈夫なの?全然当たっていないじゃない!)
今は私と表面交換している麻理華もレイのことが心配なようだ。
「どうした?おまえの力はその程度か?」
もう悪魔は原型をとどめておらずただただ狂気の色を宿していた。
「へっ!んなことねぇよ!」
レイは苦しそうな顔をしながらも答える。
もう、傷ついてほしくない。もう、一人になるのは嫌だ。
しかし、このままではレイが負けてしまう。
いくら、レイがレルの生まれ変わりだとしてもレルのような魔力はない。
今はなんとかもっているがいつまでこの状態が続くか・・・?
(ねえ、アイリ。レイを助ける方法はないの?)
麻理華には、もしかしたら私の影響でレイに対する恋心が生まれたのかもしれない。
そうでもないとあんなに嫌っていた相手を必死で助けようとはしないもの。
「・・・・助ける方法はあるわ。
だけど・・・。貴女が消えてしまう可能性があるから。」
そう。方法はあるのだ。
しかし、その方法はあまりにもリスクが高すぎる。
(そんなこと気にしてる場合じゃないわ!貴女はいいの?またこんなことが繰り返されても。)
麻理華は必死に私に訴える。
私だってまた死ぬのも、レルが死ぬのも見たくない。
数回だけ麻理華の前にやってきた少女がいたのだが、はまったく記憶を思い出してもらえず魔道師の手によって殺されてしまっていた。
ある少女は火あぶりにされ、ある少女は惨殺された。
もう、これ以上だれも殺させたくないのだ。
「・・・・ねえ、麻理華。もし、貴女が消えてしまったら私はどうすればいいの?
もう、私のせいでいろんな人が死ぬのは嫌なの。」
(私が消えても貴女が生きてくれるじゃない。それに、絶対に消えるとは限らないのでしょう?
なら少しの可能性にかけるしかないでしょ!)
なんて、強い少女なんだろう。
自分が消えるといわれながらこんなに強くあれるだなんて。
「・・・・わかったわ、麻理華。作戦を実行する。」
(了解。私はなにをすればいい?)
「とりあえず、私と一緒に集中してレルに呼びかけてほしいの。」
(呼びかける?どういうこと?)
「今の状態だとレルの魂をレイに届けさせ、レルを覚醒させて戦うしかないわ。
だけど、鍵が壊されてしまった以上私が魔力を使わなければいけない。」
(なるほどね。わかった、じゃあよろしくねアイリ。)
「ええ。じゃあ、いくわよ。」
全神経を集中させて魔力を集める。
「(お願い!レル、助けて!)」
同時に願う。
たぶん、今の魔力放出により麻理華の意識はないはず。消えていないとしても何回も使えば一生目覚めない。
この一回で成功するといいのだが・・・・。
「・・・・ありがとな、アイリ。おかげで目が覚めた。」
「・・・・・レ、ル。」
レルが覚醒した。
これできっと、きっと悪魔を倒せる。
「ありがとう・・・麻理華。」
レルとなったレイと私となった麻理華。
レルと私は二人で一人。
でも、私と麻理華、レルとレイも二人で一人。
すべて、つながっているの。
「俺たちは二人で一人。」
「誰にも邪魔はさせない。」
「「絶対に二人であなたを倒す!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー信じてるよ、アイリ。