鍵の謎と記憶の封印
「おいっ!……麻理華!麻理華!」
麻理華とカイが婚約者だなんて、天地がひっくり返ってもありえない。
俺は麻理華に問い掛けようとしたのだが……。
ガクッ
突然、麻理華は糸の切れた操り人形のように力なく倒れる。
俺はすぐに麻理華の体を抱き起こす。
「どうした?!おい、しっかりしろ!」
「……ぅ……ん。」
意識があるのかないのか微妙な所だ。
唸ってはいるのだが応答がない。
「………まさか。」
何故かカイは焦ったように麻理華を観察する。
一体麻理華の中で何が…………?
「………レル。」
………………………え?
いつのまに意識が戻ったのだろうか?
確かに、確かに、麻理華の声。
しかし、呼ばれた名前は俺であって俺でない。
―――ずっと昔の俺の名
麻理華の口から出てくるのは本来の声よりも少し幼い声。
「……レル。」
もう一度名前を呼ばれる。
頭の中を走馬灯のように封印された記憶が巡る。
「………アイリ、なのか?」
「そうよ。……麻理華と入れかわりでね、一時的に表面化したの。」
「そう、だったのか。
じゃあ、俺は?」
「貴方はレイのままでも記憶はあるわ。だから……。」
麻理華……いや、アイリがなにか話しつづけようとした、その時。
「あはははははははははははは、あはは、ははははははは!!!!」
つんざくような嘲笑い。
酷く歪んだ笑み。
「なん、なんだ……。」
遠い記憶が呼びかける警報。
このカイはもう…………
―――悪魔に取り付かれている
先程から妙な気配がしていたが、まさかカイだったとは。
「貴方……。貴方が私を殺した悪魔……ね?」
恐る恐る、アイリが尋ねる。
俺は、アイリを守るように前に立つ。
くつくつと微笑しながらカイはニヤリと気味悪く笑う。
「……ああ。その通りだよ。生き返った姫さん。」
「……っ!」
一歩、カイが歩みよる。
アイリはやはり動揺が見えはじめている。
………ん?生き返った?
正確に言えばよみがえったが正しいのではないだろうか?
「……僕には全てお見通しさ。
なんだったら説明してあげようか?そこの馬鹿王子の為にも。
そうだなぁ………。
まずは鍵のことから話そうか。」
カイは笑いながら不気味な声で話始める。
「………そもそも、王族が持っている鍵は、過去に王子が後世でまた姫と巡り会うために創った、言わば探知機のようなもの……だよね?」
「え、……ええ。その通りよ。
レルは私が死んだ後、自分の能力を注ぎ込んで私の魂を呼び戻し、鍵に封じ込め、生まれ変わりとなる少女を探していたの。
今まではいなかったわ。王族側が女性だと効果は無効だから………。」
苦しげにアイリが話す。
なるほど、確かにあの鍵があることは少しの謎でもあったし、王族は今ままで女性が多く継いでいた。
「………そうさ。それで、現れたのが川端麻理華だろう?
君の生まれ変わりの器となる少女には鍵の作用により、過去の記憶が植え付けられる。無論、王子にも。
そのまま、麻理華が全てを思い出してくれればよかったが………麻理華は思い出してくれなかった。
まあ、王子のほうも曖昧だけど………。
麻理華が持ってた鍵はつかえないからねぇ。」
………こいつは全てをしっている。
鍵のことも、遠い記憶のことも。
俺は、俺はどうすればいいのだろうか。
俺の中の王子はアイリ、俺は麻理華を守りたい。
そして、たどり着く結論は。
悪魔………この魔術師を倒すこと。
どうも、お久しぶりのラッキーラインです。
はい、すいません。
ここ最近ストックだったんで後書きを書いてませんでした。
しかも、ストックがつきた後放置してました。
もう一度言います。
すいませんでした!
さて、解説のようなものに入ります。
皆様、お気づきかもしれませんが、またまたお得意の転生もんなのです。
いやぁ……ね。
書くとネタがなくなってくるからどうしてもこうなるんですよね……。
私の他の読むとまるかぶりだと思います。
はい、ワンパターンです。
しかし!
ラストは今までにないようなものにいたします!
では、また次回!
(いらない情報:前の月と太陽の双子はじつは月の女神、アルテミスと太陽の神、アポロンをもじってます。)