私は誰?
『………麻理華。』
私を呼ぶこの声はレイ?
『……アイリ。』
この名前を呼ぶのは一体誰?
−−−どいて。
え?貴女は誰なの?
−−−貴女こそだれなの?
私は麻理華。川端麻理華。
−−−麻理華……ねぇ。私はアイリ。
アイリ?なんでこんな所にいるの?
−−−私は貴女で貴女は私だからよ。
どういうこと?貴女は一体…………。
「………っりか。」
ああ。私は夢を見てたんだ。
「………おい、麻理華。」
一体私にそっくりなあの子……アイリは誰なのかしら?
「おいっ!聞いてんのか麻理華!!!」
「ふぇっ!………レっレイ。」
「ったく気づけよな。せっかく助けに来てやったってのによ。」
「………どうして私を助けに?」
どうして私が助けられるのだろう?
私はただ婚約者であるカイの家に来てただけなのに?
「はあ?どうしてってなんだよ?」
「……私はただ…。」
私が言いかけた時。
ガチャリ
部屋のドアが開きカイが現れた。
「麻理華になにする気?王子様。」
「わりぃが麻理華は返して貰うぜ。」
「……レイ?どういうこと?」
「………あれ?完全に消えて無かったんだ記憶。残念。
でも、これさえ掛かってるんだったら充分。」
「どういうことだ、カイ。」
「見た通さ。………僕らは婚約者なんだよ。」
そう。私とカイは婚約者。
婚約者の……はずよ。多分。
「レイ……っ!」
私がレイに話かけようとしたその時。
激しい頭痛が襲う。
頭が割れんばかりの大きな頭痛。
私は痛みに耐え切れず、あえなく意識を手放した。
『レルっ!だーい好き!』
−−−今、私は貴女に貴女は私に
このアイリに時間をちょーだい?
何代目かの私……
麻理華。