太陽と月の双子
「はぁっ、はあ………。んだよこの城はっ!………さすがにあいつの城ってだけあってトラップが多いなっ…と。」
俺はあいつの砦に入りひたすら階段を上っている。
その間に槍がふってきたり、岩が転がってきたり……………。
しかし、さっきここに来る前に頭を過ぎったあの記憶は一体……………。
『レル早く、早くっ!』
え……………?
再び頭を過ぎる記憶。
今度は激しい頭痛が襲ってきた。
『………ったく。分かってるよ。』
『本当にぃ?』
『そうに決まって……っ!!』
「うっ………。」
先ほどより激しさをます頭痛。
記憶はまだ頭を過ぎり続ける。
『キャァァァァァッ!!』
『アイリっ!!』
目の前を染めるあの子…………アイリの鮮血。
ギラギラと光る妖しい悪魔の瞳、銀色の血に濡れたナイフ。
『……アイリ?………アイリっ!!おい、しっかりしろっ!』
『ふははははははははっ!!どうだレル?!これでお前も終わりだ!太陽と月は二人で一つ。片割れがいなくなればこちらのもんだ!』
悪魔は狂ったように虫の息のアイリを刺し続ける。
笑いながら、虚ろな瞳で。
俺は手も出せなくて。
アイリを助けられなくて。
『やめろっ!やめろぉぉぉぉぉぉ!!』
『ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!!』
狂った笑い声と絶叫の中。
アイリは最後に僕を見て
こう言った。
『………大好きだよ、レル。』
片割れを失った俺は
意識もないままに
いつのまにか
悪魔を刺し殺していた。
「………っ。」
ああ。
思い出した。
アイリは
俺の大切な大切な……
双子の妹だったんだ……。