遠い記憶
「はぁ……はぁ………。くそっ!何処に居やがるんだあのやろーは!」
城を出てもう1時間は経っているだろう。
麻理華がいない。
思いつく場所へは全て行ってみた。
それでも麻理華は見つからない。
「なんで……なんで見つからねーんだよ!どうしてだ!」
今の俺の姿を見たら誰しもが怯えて逃げるだろう。
一国の王子ともあろう人間がライフルを片手に付き人も付けずに森をさ迷っているこの俺は。
どんなに滑稽で
アホなのだろうか。
『−−レイ』
ふと過ぎる少女の声。
笑顔が綺麗な眩しい少女
「……それをあのやろーは………。」
悔しさに歯を食いしばる。
許せなかった。
麻理華をさらったあいつも
麻理華を助けられなかった俺も……………。
俺はまた大切なものを目の前で亡くすのだろうか?
紅い鮮血 響く泣き声
嘲笑う一人の男
あの子の最後の微笑み
淡い、淡い
俺が俺になる前の
遠い記憶
『−−−大好き 。』
ああ。俺はいつのまにか。
あの子と麻理華を重ねていたんだ…………。
でも…………
あの子は一体
誰だったのか……?
どうも、ラッキーラインです。
今回はスピード進展です。
この物語の鍵となる記憶が出てきました。
この記憶がどう繋がるのか考えながらお楽しみ下さい。
それでは、また次回!