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エピローグ
「……ねぇサイモン、あなたはなんで、そんなに残酷でいられるの?」
研究室のドアの外、ラナはうつむいたまま、僕に訊いた。
そんなこと、言うまでもない。
「僕はただ、歴史の転換点をこの目で見たいんだ。いつか、どこかで訪れる転換点、それが偶然ここになっただけで、ここでその転換点を潰したところで、別の何処かで転換点が発生する。偶然ここで起きたんだ、この目で見届けたいだろ。史上最悪の発明をした男、ジャック・スミスの発明の過程と、彼の素性を」
ラナは踵を返し、僕から離れて行った。
ラナは確かに、人道的かもしれない。ただ、世界の転換点に出会えるとチャンスを捨てるのは、一等の宝くじを捨てると同義だ。いや、もっと価値があるだろう。
感謝してるよ、ジャック。そしてエリー。僕に世界の転換点を見せてくれて、ありがとう。これから君達は、NATOに行くことになるだろうね。
これにて、この中編は完結です。ご愛読ありがとうございました。




