第1話 全力を出すたびに、なぜか「시발」。
見た目は完璧美少女。
中身は全員ちょっと危険。
一級執行者だった男、アダム。
理性はある。
常識もある。
だが、状況がそれを許さないことが多い。
ある日、馬車に轢かれ――
気づけば異世界。
そこにいたのは、自称天才の管理者シュビエル。
直感で動くカリア。
そして、まともに見えて一番危ない連中。
冷静そうに見えるが、
わりと本能で動く。
考えてから動くつもりだが、
気づけばもう遅い。
これは、
少しだけ理性を持った男が
危険な美少女たちとパーティーを組んでしまった話。
そして彼は今日も呟く。
「……시발」
20XX年X月。
「……시발」
やらかした。
行く場所もない。
帰る場所もない。
一級執行者?
肩書きだけ立派。
残ったのは放浪だけだ。
笑えねぇ。
その時。
ガタン。
鉄の音。
……は?
二十一世紀で鳴る音じゃない。
「ちょっと待て」
なんで。
なんでこっち来る。
距離。
速度。
方向。
無理だろ。
いや、来てる。
「……ふざけんな」
――
「落ち着け、俺」
角度。
風向き。
地面の硬さ。
どうにかなる。
……はずだった。
地面が震える。
蹄。
鉄。
うるせぇ。
その瞬間。
軌道が見えた。
同時に、馬の目。
……可愛い。
いや違う。
今それ考えるな。
身体が浮く。
衝撃がない。
音が消える。
クソみたいに自由だ。
そして――
落ちる。
ああ。
負けた。
テンプレ通り。
綺麗に。
「……시발。」
――
「いらっしゃいませ」
もぐもぐ。
「ここに人が来るのは久しぶりですね」
もぐもぐ。
「ご用件は?」
「……誰だ」
「シュビエル。中間界の管理者です」
もぐもぐ。
「シュビエルは天才です。知らない知識はありません」
一拍。
「あなたと違って」
「ほう」
俺は無言で菓子を奪った。
「天才様。まずは礼儀からだ」
「ちょっと!返してください!」
手が伸びる。
滑る。
「え」
光。
白。
足場が消える。
落下。
「うわああああああああ! お前のせいだ!」
「落ち着いてください」
冷静すぎる。
しかも俺を盾にしようとしている。
「お前なにしてる」
「合理的判断です」
「合理的に俺を使うな」
風が耳を裂く。
地面が迫る。
「死んでも蘇生しますよ」
「信用できるか」
「ええ」
即答。
信用できねぇ。
だが選択肢もない。
「……あとで話聞く」
体勢を整える。
だが。
シュビエルの方が強い。
地面が近い。
下に誰かいる。
――
「今日は稼ぎ悪いな」
「ギルド戻るか」
女が空を見上げる。
「……え?」
「ちょっと待ってなんでこっち来るのよ!」
ドン。
三人、まとめて衝突。
視界が揺れる。
暗転。
――PRIME SIN。
砕けるエンディング。
意識が落ちる直前。
俺は確かに思った。
「……시발。」
1…
(第6話まで投稿済みです)




