2025年六野作品まとめ
コロン氏の企画を発見したので、今年を振り返っていく。本来なら2025年が完全に終了した後にやりたい(少なくともボカロの分野は)が、おそらくそこまで企画期間はないので、今書いておく。主に小説関連が中心である。
〇新作短編、または準短編(第1回しか投稿がないもの)
『覚醒の代償』:ハイファン短編 3196文字 26pt 2/26投稿
前年に企画に出した作品の本人投稿版。本来この作品は現実世界で構想していた。最初の一文は初期案から決めてあったものである。余白の大きい終わり方だが、長編にする必要性がそこまで高いわけではない。「迷惑な能力」というのがテーマで、これは私の作品の根底に流そうとしているものである。本来優れた能力というのは絶対的な素晴らしい力ではなく、それには副作用が伴う。この事実を象徴的に描こうという試みであった。異世界の超能力であれば、それを明瞭に示せるというわけである。
『回生』:詩短編 315文字 42pt 3/1投稿
久しぶりの、そして今年唯一の詩である。ここまでの、特に24年初頭あたりからの一連の流れに終止符を打つ作品であるとともに、『永訣』と対になる作品でもある。ここを境に私の作風が変化しているように感じられる。「自我の統合」と「老い」の心理学的なつながりの意識、または「自壊の歴史」と「誰かの~死骸」の上に「立ち上がろうとする」、もしくは「永遠の子供」を主張するとともにそこから永遠に脱却しようとしている。これは私の詩の、少なくとも抒情的なもののひとつの完成形でなければならない。
『知ってると格好良いクラシック用語集』:エッセイ短編 4178文字 136pt 3/6投稿
おそらく今年最も評価された作品。久しぶりの「勢いのある六野」の文体である。1800年台←おそらく誤字である。1800年「代」が正しい。なんとか中立性を装っていますが六野はベートーヴェンが大好きです。六野が今年最も厨二的な作品であり(もっと厨二的になるべき作品があるにもかかわらず!)、私がX上でもクラシックの話題をよく出すようになったことでこのエッセイを出す機会が生じた。2/8に私はX上でクラシックと絡めた長文の柊マグネタイト擁護をやったのである。要するにオワタPの替え歌と違ってテトリスが批判されている要因は原曲の知名度の低さに起因するもので、テトリスは優秀な二次創作に過ぎず、両界隈は協力して原曲の普及に努めるべきである云々。良い論考であったはずなのに、周知の通り翌日にはさらに大きな問題が持ち上がってすべてが忘れ去られてしまった。
『県道7号の最期』:純文学短編 1965文字 18pt 3/28投稿
カクヨムで初出23年5月頃の旧作を投稿し忘れていたので慌てて投稿したもの。初期の自然主義的な六野作品の代表的なものでもある。まだネットミームをよく知らないようで、県道7号は「ファッ!?」と言うべきである。なお県道番号は基本このように受け継がれることはない。それにしても終盤のやっつけ勝負感が凄い。これは作者も時間がなかったのではないだろうか(もはや当時のことは覚えていないが!)とにかく県道の擬人化って何だよ。
『遠くの街へ行こう』:詩短編 334文字 10pt 4/8投稿
実はさらに詩があった。本来書かれるべきではなかった詩である。謎に完成度が高いのは不本意である。「遠くの街であっても近くの街でしかない」というのが現代社会の多くの場面で起こっていることで、情報化社会の完成によって「遠くの街」は消失したのである。この作品はそれについての批判もこめられているとも言いたいが、それは結果論である。結局ふたつの詩の根底には「象徴的な自分の理解者」があって、それは過度に理想化されている。
『匿名企画にいくつか参加した感想』:エッセイ短編 714文字 118pt 6/8投稿
これも本来書かれるべきではなかった作品で、文字数に対してptが高すぎるところからも異常性がわかる。現在の視点から再検証すると、匿名企画は作者自らがじぶんの最も繊細な部分を武器として戦うものであるから、そもそも匿名企画自体が物書きたちの対立と分断を煽る結果になりつつあることへの警鐘としてこの作品は意味を為す。なお肝心の企画参加作品は散逸した。
『ランキング通知機能が実装! いったいどうなるのか?』 エッセイ短編 1358文字 134pt 6/28投稿
実はクラシックエッセイと同程度評価されていた作品。うまく時流に乗って稼ぐことに成功している。なおこの程度のptではエッセイ年間ランキングには入れず、月間が限界な模様である。しかしこれ当時は画期的だったけど、リワードの衝撃を経た今では大したことがないように感じられる。
『篠原第二中学校バドミントン部(短編版)』 ヒューマンドラマ短編 4101文字 0pt 6/29投稿
まさかの連投であるが、見事に0ptである。おそらく匿名企画の作品(なお評価されなかった)。私はバドミントン部経験があるので、それをどこかで活かしたいと考えて作ったものである。清算打は我ながら秀逸である。特に説明せずに読者にクリアーを理解させる試みである。なんでただのスポーツ小説で初回から不穏になるんだよ。連載化は未定。
『半期ボーカロイド』 エッセイ連載(初回のみ) 3372文字 26pt 7/1投稿
今年の短編唯一のボカロ関係の論考。下半期ももちろんやりたい。ファイアダンスは絶対にニコニコで1年以内伝説入りできなさそうだ。なおDECO*27は下半期も十分に支配的で、テレパシは少なくともニコニコではまだ年覇権曲を維持している。ユキ曲の投稿数についての検証も面白い。下半期についてあまりここで語ると下半期回のネタがなくなるので、これくらいにしておく。
『幼児はなぜ排泄物に興味を持つのか』 エッセイ短編 2167文字 28pt 11/9投稿
某大御所ドライパー氏の疑問提示から考えてみたもの。心理学的な思考は専門分野であるので口を挟まなければならない(使命感)(実際は大したことは言っていない)。私も成長して、自然主義とそれに対するアンチテーゼについて冷静に論じられるようになってきた。結局エッセイ・評論としては一年を通じて似たテンションが維持されているように思われる。
〇今年開始された、または更新された連載
『東を目指す』 ハイファン 2回7526文字 20pt 25/8/17初回投稿
匿名企画で唯一評価された作品。キノの旅のイメージを基調に置きつつ、タイトルは蜜柑星のデイブレに影響を受けている。月が二つあるのは冒険的要素。ゴーガシャは恒河沙(10の52乗)から取った(特に意味はない)。ああああああああああロムリス可愛すぎてばんじゃいしちゃうばんざいばんじゃいばんばんじゃいっ(以下略)
『日刊ボーカロイド』 エッセイ 286回257940文字 242pt 22/9/22初回投稿
主力連載(最近更新されていない)。7月にボカロネタツイで10万バズしたときに返信欄にこれを貼ったら30ptくらい伸びた。いやー下半期も衝撃の展開の連続でしたね(良い意味ではない)。なんだかんだ25万字も続いていることに戦慄している。更新すれば読まれるんだしリワードの主力なんだからもっと真面目に連載しなさい。
『第三日記「ろくのみちかけ」』 エッセイ 4回6398文字 30pt 25/11/8初回投稿
リワードが始まったときにpv稼ぎとして始め、結果的にKiite界隈の日記ブームに乗っかることになった作品。短編連投になるといけないので駄文はなるべくこちらにまとめる用のやつ。気が向いたら更新される。
『あすなろの木』 純文学 4回10075文字 0pt 25/3/31初回投稿
最近あまり更新されていないが、もう一度読み返してこの作品を私のライフワークにするべきであると確信した作品。概要欄「あるきょうだい」←これが平仮名であることがひとつのポイント。人間と人間でありながら人間と隔絶されている者たちとの対比とその悲哀を描く予定である(まだほとんど物語が始まっていないが)。この対比はボカロの永遠のテーマと類似するもので、そのあたりが私がボカロを愛する理由なのであろう。評価される必要はない作品でもある。
〇総評
上半期は企画参加が中心であったが、活発に活動し、24年後半に落ちていた界隈への影響力をある程度復活させることには成功したといえる。ただしそれはいくつかの代償を伴うものではあったが。しかし全体として安定した立ち回りを続けることができた。下半期はXがうまくいき始めたこともあって小説関連の活動は減少したが、リワードの導入をきっかけに創作意欲が再燃した。来年も引き続き気ままに活動していく予定である。
〇進行中の未発表作品(題名のみ)(すべて小説)
サットマール青年隊、下手な絵の紹介、記憶裁判、十日間の恋、わっしょい宍喰くん、消えたランドセル




