表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

できれば関東の大学がいいです


ーもし、願いが叶うなら、この想いが届くまで貴方のそばに。

ーもし、願いが叶うなら、この想いを伝えたい。



 春は出会いの季節、といっても、こんな田舎の高校じゃ、人数が少なすぎてクラス替えはないし、1年生の時点で学校中の人と出会いは終わってるんですけどね…。私の春は大学に期待するしかない。そのためには、受験生である今年は勉強に捧げて、絶対イケメンと順風満帆なキャンパスライフを送るんじゃー!!


 「はーるーちゃん?私の話聞いてた?」

 「ん?聞いてないけどどうした?」

 「もう、この後すぐ下校だから私の家でおばさんが来るまで待ってる話、覚えてるかなって」

 

 この私と違い、死ぬほど男受けをしそうな「黒髪・ロング・ストレート」のThe 清楚系女子は水川雫みずかわしずく私の自慢の幼馴染である。家が隣同士ということもあり、家族ぐるみで生まれた時から一緒だ。成績優秀容姿端麗…ヒロインか!と中3まではツッコんでいたが、隣にいすぎて慣れてしまっている自分がいる。彼女は愛想もよく、なにせあの顔面なので引くほどモテる。多分この高校の男子は全員しーちゃんが好きだ。それくらい完璧な女なのだ、私の幼馴染は。でも、誰かと付き合ったことはない。本人曰く、「恋愛はまだいいかな」らしい。


 だがしかし、私はこの世に完璧な人間などいない系思想なので、幼いころから彼女の弱点を探し続け、ある結果に辿り着いた。「謙虚にもほどがある」これだ。あんなにヒロインみたいな人間にも関わらず、自己肯定感が低いというか、自信がないというか…彼女にはもっと胸を張って生きて欲しい。


 私の家は、両親が仕事で夜遅くに帰ってくることが多い。その時は、しーちゃんの家で預かってもらうことが幼い頃からのルールだ。

「もちろん、今日もよろしく!」

「はいはい、あ、お母さんが今日の夕飯肉じゃがだって言ってた。」

「マジで!?やばい、もう帰りたい!」

「ふふっ、まだ朝だよ?今日は4時間で帰れるらしいから、ゲームでもしよっか。」

「オッケー!今日こそは6-2ステージクリアしようね、私はひたすら皿洗いやってるからしーちゃん料理お願いね!」

「もう、そんなんじゃ一生クリアできないよ…」


 私の幼馴染である木島晴菜きじまはるなは明るくてまっすぐです、そしてとっても優しい。本人は否定しているけど、とっても可愛い。小学校から変わらないセミロングにぱっちり二重の瞳、私より少し小さい彼女は、私を越すためにこっそりと牛乳を飲んでいることはおばさんから教えてもらっています。昔からいつも私を外に連れ出してくれて、色んな世界を見せてくれます。自信がない私に欲しい言葉をくれます。はるちゃんといる時の自分が好き。その想いはやがて変化していきました…


ー『はるちゃんのことが、好き』ー


 この気持ちに気づいたとき、真っ先に浮かんできたのは「恐怖」でした。はるちゃんが私の気持ちを知ったとき、嫌悪の表情を浮かべながら離れていく姿、この関係が終わってしまうことの怖さが頭の中を埋め尽くしました。もし、この想いを告げたとしても、はるちゃんは私が想像するようなことをするような人じゃないと分かっています。でも、心のどこかで最悪の事態が起こることを考えてしまいます。だから、私は決めました。この想いは、誰に何も言われることのない、自分だけの宝箱にしまっておくと。そうすれば、はるちゃんとずっと一緒にいられる。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ