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case2:荒井牧子(認識)

はっ。


気付いたら家のベットの上だった。


あれ?

あれは夢?

って、仕事!


近くのスマホ見たら会社からの大量の電話が入っていた。


あぁーあ、欠勤したことなかったのになー


ただ、不思議と私の心は晴れ晴れとしていた。

私はそっとスマホの電源を落として、窓の外を見た。


こんなにのんびりしたのはいつぶりだろう。


特にいく宛もなかったが私は家を出た。

そう、何かに導かれるように、


気付いたら私はあの喫茶店の前にいた。


カランコロン


営業中だったのだそっと扉開けた。


あら?

また来たの?


あの時の女性がこの前と同じ席でコーヒーを飲んでいた。


私は思わず彼女の前に席に座った。

そして、定員さんにコーヒーと伝えると彼女の顔をまじまじと見つめた。


綺麗な顔だな。

肌綺麗だな。


私があまりにもジロジロしていたせいなのか彼女が私にそっと呟く。


何か私の顔にでも付いているの?


恥ずかしくなり、はっ。と視線を逸らしタイミングでコーヒーが運ばれてきた。


やっぱりここは落ち着くな。

こういうのんびりした時間を久しく取ってないな。


ねぇ。

まだ悩みは解消できてないみたいね。

大丈夫?


彼女が私に話しかけてくる。


うん。

私は何がしたいのか、何をしてたのか急にわからなくなっちゃいまして。

どうしようかなって。


彼女は若干興味なさそうな感じで


ふーん。

なら、またコーヒーを覗いてみたら?


と言ってきた。


あぁー、そういえば望みの自分?だっけ?

そんなこと言ってたよね。

覗いてみようかな・・・


コーヒーを覗いた瞬間

意識がふわっと飛んだ。


おーい。

パン焼けたから持って行っておくれ。


どこからともなくそんな声が聞こえてくる。


聞こえてる?

パン。パンを持って行って。


また聞こえてくる。


おーい。


次の瞬間、意識が鮮明になり、辺りが明るくなった。


ここはどこ?


辺りをキョロキョロしていると、また先程と同じ声で、


大丈夫かい?

無理なら休む。大丈夫ならパンを運ぶ。

どっち?


とハキハキとした声が聞こえてきた。


はい、

運びます。


その言葉に少し圧倒され私はそう答えてしまった。


わかった。ならこれをそこに。それをあそこにお願いね。


はい。

わかりました。


言われた通りなパンを並べていく。

どうやらここはパン屋みたいだ。

とても混んでいて忙しそうだ。


これお願いね。

はい。

そこ助けてあげて。

はい。


パン屋で働いたことなんてないに今まで働いていたかのように身体が違和感なく動く。


そうこうしているうちにピークが過ぎたのか、少しお店が落ち着きだし、余裕が持てるようになった。


ほら、休憩行ってきな。


そんなタイミングで私はパンと飲み物を渡された休憩をもらった。


うーん。

ここはどこなんだろう。


お店を出るとそこは中世ヨーロッパみたいな街並みが広がっていた。


本当にここはどこ?


でも、妙に心は晴れ晴れしている。


うーん。とりあえず頂いたパンと飲み物でも飲もうかな。


少し高台にあるベンチに座って私はそれらを食べることにした。


本当にここはどこなんだろう。

そして、元の世界には戻れ。いや戻れなくてもいいのかな。でも、この世界でどうやって過ごしていけば。


そんなこんなを考えていたらあっという間にご飯は食べ終わり、先ほどの女性が私を呼びにきた。


どうだい?

全部食べれたかい?


先ほどの女性が私の隣に座ってそう話しかけてくる。


はい。

どれも美味しかったです。


私は思ったことを素直に伝えた。


よろしい。


そういうと、先ほどの女性は私の頭を雑に撫でた。


少し痛かったがとても心地良いものだった。

このまま一生時が止まればな。

そんなことも考えていた。


そんなことを考えていたら彼女私に一つ提案をしてきた。


どうだい?

ここに1週間ぐらいいてみるかい?

ちょうど、今2階が一部屋空いているんだよ。


私は咄嗟なことにびっくりはしたが、二つ返事で、はい!と言ってしまった。


ちょっと前の私だったら仕事を投げ出して。なんてありえなかっただろうな。


そんなことを思いながら彼女に案内されるままお店の2階にある部屋に着いた。


さぁ、狭くて何もないけど好きなように使いな。そして何かあったらいつでもいいな。なんか悩んでんだろう。


図星だった。

でも、私も即答するぐらいだから認めないといけないのかな。

力無い乾いた笑いをした後、彼女はベットに横たわり、気付いたら寝てしまっていた。

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