case1:男子学生(接触)
山方慎吾。
今回の私の対象者。
そしてその魂は今日も今日とて、その生命を終えようとしている。
彼は、特にこれといって特徴もない人間だった。
成績も容姿も生まれも何もかも。
ただ、その目だけは違った。
へらへら笑ってはいても常に何かを訴えているように見えた。
そして私はその瞳に惹かれた。
いや、その目に宿る光に惹かれたんだと思う。
そしてこう思った。
まだ死ぬべき人ではない。
死神様が生神様かの判断をしたらそれに伴って行動を始まる。
今回の私の担当調整官としての役目は生神様に繋げることが仕事だ。
よいしょっと。
いくよ。
やることが決まったら早速の元へ。
そして、そんな彼は今、私の目の前で大きな欠伸をしている。
「ねぇ」
そんな彼に声をかけるが、彼は私を見ることなく、眠たげに答える。
「なに?」
「今、何考えてるの?」
そんな私の問いかけに彼は答えた。
「んー。なんだろうなぁ」
その曖昧な返事に私は少しイラッとした。そしてそんな私の感情とは裏腹に彼はまた大きなあくびを一つするのだった。
そんな彼の態度に私はまたイラッとするが、それをぐっとこらえて彼に再度質問した。
「ねぇ」
「なに?」
そんな私の言葉に彼はまた眠たげな声で答えた。その声と態度は私にさらなるイライラを募らせる。
「なに考えてるの?」
「んー」
私の二度目の質問にも彼は眠たげな声と共にその意思を示そうとしない。
そんな彼の態度に私はまたイラッとするが、それをぐっとこらえて再度彼に質問した。
「ねぇ」
「何?」
「何考えてるのよ?」
そんな私の質問に彼はようやくその口を開いた。
「いやさ、なんか最近、変な夢見るんだよ」
その言葉に私は少し興味が湧いた。
「へぇ、どんな夢よ?」
彼はその眠たげな表情のままこう答えた。
「なんかさ、周りの人がみんな笑ってるんだよ」
彼のその答えに私は少し興味が湧いた。
「ふーん」
私の言葉に彼は続けた。
「それでさ、なんだかみんな笑っているから俺も笑ってるんだよ」
そんな彼の言葉にも私は興味が湧いた。
「へー」
彼はそんな私の反応に少し困惑したようだ。
「なんだよー!
彼はそんな私の反応に少し困惑したようだ。
「なんだよー!興味なさげに!」
「いや、そんなことないよ」
私はそんな彼の言葉に対してそう答える。
「ただ、その夢ってどんな意味があるのかなって?」
そんな私の疑問に彼は答えた。
「なんかさ、みんな笑ってるんだよ。だから俺も笑わないといけないのかな?って思って笑うんだよ」
そんな彼の言葉にも私は少し興味が湧いた。
「へー」
「でもさ、本当は笑っては行けないと思うんだよ。なんて言うか、周りに流されてるというかさ』
「じゃあ笑わなければいいんじゃない?別に義務じゃないし。」
そんな言葉に彼は少し困った表情になった。
「いやさ、1人だけ笑ってなかったら変だろ?みんな笑ってるのにさ。って、お前誰だ・・・?』
おーい。山方。お前誰と話してんだ。
担任の先生からチョークが飛んできた。
いや、ここにいる・・・
あれ・・・?
寝ぼけてるじゃないぞ。
試験も近いんだし、しっかりしろよ、
すみません。
教室中が笑いに包まれる。
全く、あれはなんだったんだ?
そんな姿をそっとみて私はまた彼と距離を置く。