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case4:山本咲(真意)

case4:山本咲(真意)


彼女はいう


死にたいんでしょ。


かたや彼女はいう


生きたいんでしょ。


どっちも正解でどっちも不正解。


なんだろ。


喫茶店から帰った私は天井をぼぉっと眺めていた。


そんなことを考えている頭の中とは裏腹に、心はとてもいい気分だった。


とても不思議な感覚だった。


そんな時珍しく玄関から両親の声が聞こえた。


帰ったぞ。

咲いるか?


父親だ。


ただいま。

咲ちゃんいるー?


母親だ。


2人が私の名前を呼んでいた。


普段だったら身なりを整えてすぐに出迎えに行くのだが、何となく出迎える気がしなかった。


そんなことを考えてベットでゴロゴロしていると、階段を上がる音がした。


コツコツコツコツ。

トントン。


咲、開けるぞー。


そういうと父親が部屋に入ってきた。


私はベットの上で、寝そべりながら父親を迎えた。


おかえり。


父親が私の扉を開いてすぐにその言葉を投げかける。


おぅ。

咲、ちょっと下に降りて来れるか。


私の即答に少しびったくりしてはいたが、それ以外は全く持って問題なかった。


私は程なくして2人の待つ部屋へ。


どうだ。最近は?


探りを入れるかの様に当たり障りのない話を父親が降ってくる。


はい。

特に変わりはございません。


私はいつ通り父親に伝える。


そっか。

あのさ、お前、無理してないか?


いきなり父親がそう私に話しかける。


あまりに予想外の問いかけに私は少し驚いて言葉を失っていた。 


いや、今朝不思議な夢を見たんだよ。


そんな驚いた表情を見ながら父親は話を続けた。


なんかさ、海辺の小さい街でお前が見たこともない笑顔で友達と話してるんだよ。

何でもない普通の街だぞ。

特に、目立ったもののない。

でも、ただその場にいるってだけで、本当に楽しそうに幸せそうに笑ってるんだよ。


父親をそういうと隣の母親もそれに同調して口を開いた。


実はね。

私も同じ夢を見たの。

私はお父さんとは違いどっかなお店で談笑してる姿だったけど、本当にその笑顔が小さい頃の咲を見ている様で。


私はびっくりした。

なんと、あの夢を3人で見ていたのだ。

そして、私が一番わかる様にその夢の私が今の私よりも生き生きして生活をしていた。


なぁ、咲。


父親が口を開く。


お前がいいなら3人で田舎にいくか。

ちょうどから俺のおばあちゃんがそんな感じの片田舎に家を持ってるだよ。

なっ。3人でのんびり暮らすか?


その言葉に、何故だかわからないが涙が溢れた。


あれ?

何で?


私自身が一番理解できなかった。


泣いてるの?


私は涙を手で拭った。


そして、その瞬間、そっと母親が私を抱きしめた。


今までごめんね。


その言葉を聞いた瞬間、一気に視界が開けた感じがした。

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