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case4:山本咲(夢の中)

case4:山本咲(夢の中)


カランコロン。


扉の開く音で私は目を覚ました。


あれ?

ここは?


確かさっきまで、自宅にいたはずだ。

それが気付いたらどこかの喫茶店のテーブル席に座っていた。


ようこそ。


ドアの開く音と同時に、定員さんの声が聞こえてくる。


あの方は常連客なのだろか。

慣れた感じでお店に入り、とある奥の一席に座った。


本当にここはどこだ。

ただ、なんだか懐かしい感じがする。


こんにちわ。


そんなことを考えていたら目の前に肌の白い女性が立っていた。


こんにちわ。


私は咄嗟ということと目の前の女性があまりにも綺麗だった。ということとより、あいさつに対する返事が、少し気持ちの悪いものになってしまった。


ははっ。こんにちわ。


どうしたの?

何か変なことでもある?


彼女がそんなことを尋ねてくる。


いや、何も。

ただ、いきなりだったからびっくりして。


彼女の問いにそう返す。


ふーん。ならいいけど、


そういうと彼女は私の対面の席に座った。


その顔、その瞳がとても綺麗で、私はただただその後はその顔を眺めることしかできなかった。


コーヒーでも飲む?


見惚れている私に彼女がそう呟く。


はっはい。


またぎこちない感じの返答になってしまった。


うーん。

いい香りね。

ミルクと入れる?


コーヒーの到着と同時に彼女がそう聞いてくる。


いえ。

ブラックで大丈夫です。


私はそう伝えると彼女はそう。とでも言った表情で、私にコーヒーを渡してくる。


そのコーヒの香りが鼻を通った瞬間は、目の前の風景が変わった。


あれ?ここは?


さっきの喫茶店から急にどこかの知らない街の上に私は浮いていた。


大きい建物もない。

目立ったものもない。

人が多いわけでもない。


なんでもないただの街だ。


あれ?

見覚えのない街なのに?

見覚えのある人がそこに歩いていた。


そう。

私だ。

なんで?


そしてその街にいる私は見たこともない自然な笑顔で周りにいる友達と談笑しながら歩いていた。


楽しそう。


今の私と違う。


ズキン。


あっまただ。

心が痛み出す。


そんな感情を抱きながら、私は私を目で追っていた。


声が聞こえないので、何も話しているかはわからないが、本当に楽しそうにしている。


そうしていると、とある寂れた商店にもう1人の私は入っていった。


佐藤駄菓子店?


そう。

昔ながらの駄菓子屋だった。


私もその後追う。


そして、そのお店の扉を開いた瞬間、辺りが光に包まれ、気付いたら先程の喫茶店に戻っていた。


おかえり。


対面に座った彼女が全てを見透かした様な笑みを浮かべて私に話しかけてきた。


私は、少し恥ずかしくなり、コーヒー啜る。


で、どうだった?


彼女は私の返答などお構いなしに話を続けた。


どう?

どうって?


私はその質問の真意が何となくではわかったが、あえて少しとぼけた感じで彼女に伝えた。


まぁ、いいわ。

多分、わかってるんでしょ。


彼女はそういうと席を立ち、私の耳元でこう呟いた。


まだ、本当は生きたいんでしょ。


私はその言葉に何も返すことができなかった。

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